第10話 休日
休日。
俺は珍しくショッピングモールへと足を運んていた。
『うむ、面白かったぞ蒼太!』
(そりゃよかったよ)
『映画館とは初めてのものだったが……実に素晴らしいものだな。まるでその場にいるかのような臨場感、そして大迫力の映像とBGM、全てが噛み合って一つの作品となってある』
ちなみに今日見た映画は前世でもかなり有名だった未来からロボットが来て同じく未来から来たロボットと現代で戦いを繰り広げるやつだ。
俺も魔法少女以外の映画を見るのは初めてだったがかなり楽しめた。
(ああ、めちゃくちゃよかったよな。今度、魔法少女の過去の戦いの総集編があるから見にこような。)
『それはお主の脳内がうるさくなりそうだな。』
(まぁ、それはしょうがないな。)
あの魔法少女達の曇らせを無言で見ろという無理な話だ。
『それで、次はどこに行くのだ?』
(腹減ったからラーメン屋に行こうと思ってる。)
『おお……ラーメン……! お主がこの間動画で見ておったやつか!』
(ああ、美味いぞ。)
俺は一度ショッピングモールを出てから駅の方へ向かって歩き出す。
少し歩くと今日の店が見えてきた。
店内に入ると俺はカウンター席に座り、食券を店員さんに手渡す。
『楽しみであるな!』
(ああ、楽しみだ)
水を飲みながら少し待っていると俺の横の席に誰かが座った。
その瞬間ふわりといい匂いがしたのでふと横を見て衝撃で水を吹き出しそうになった。
肩あたりまでの夜空のように美しい藍色の髪、おっとりとしていてこの世の全てを包み込むかのような優しい瞳、そして目の横にある泣きほくろ。間違いない。
な、なんでこんなところに魔法少女がつ!?
そこには魔法少女『慈愛』のノア、来栖優菜がいた。
「あら? あなたは……あの変な人とよく一緒にいる方ですね。」
「いえ、恐らく見間違いですね、あんな変人と俺が友達なわけないじゃないですか」
俺は変人こと、聖斗を見捨てた。
「ふふ、よくわかります。私もあの変な人と知り合いだと思われなくありません。」
ノアは常に笑みを浮かべているもののその様子から本当に聖斗のことを嫌っていることがよくわかった。
ノアと言ったら学校でも聖母様とと呼ばれてめちゃくちゃ優しいことで有名なのに……あいつ何やったんだ?
「俺とあいつは関係ないので安心してください。俺は速水蒼太です。」
「ふふ、私は来栖優菜です。図書委員長をやっています。」
「はい、もちろん知ってます。でも以外ですね来栖さんもラーメン屋なんか来るんですね。」
「そうですか? 私、こう見えてラーメンとかコッテリしたものが大好きなんです」
ダイエットとか糖質制限とかしてそうなイメージだったんだが……結構食べるんだな……
そんなことを考えながら待っていると店員さんがこの系列店独自の質問をしてくる。
「お兄さんから、ニンニク入れますか?」
「ヤサイニンニクアブラカラメマシで」
『ん? なんだ、その呪文は?』
(まぁ、ある意味呪文のようなものだな。これを唱えるととんでもないカロリーお化けが出てくるんだ。)
『ほう、なるほど。それは楽しみだな』
すると俺のコールを聞き終えた店員さんが今度はノアに質問する。
「今度はお姉さん、ニンニク入れますか?」
「ヤサイアブラマシマシカラメマシオオブタダブルでお願いします」
その瞬間店内が軽くざわついた。
なん……だ……と?
まさかこの子こんな食べるのか?
「はいこちら、ヤサイニンニクアブラカラメマシになります」
お、来た来た!
『おお、これが……!』
これでもかと盛られた野菜に上からたっぷりの背脂がかかった様子は正に食の芸術品のようで自然と食欲が湧いてくる。
さぁ、食べるか!
まずは野菜と一緒に油を絡めて食べると口の中に旨味が広がる。続いて麺をしたから掘り出し啜るとガッツリとした味が一気に口の中に溢れる。
『むっ!! これは美味いな!!』
(ああ、美味い……!)
やはりラーメンは美味いな!
ふと気になり隣に視線を送ってみる。
すると俺より一回り大きいラーメンをなんとも美味しそうに食べていた。
一口一口食べる度に本当に幸せそうに頬を緩め、次々とラーメンをたべ進めていく。
あの体のどこに入っていくんだ……と思いたくなるくらいのとあっという間に完食してしまった。
「ふぅ、美味しかったです。」
「で、ですね……」
あれだけの量を食べたというのにまるで軽いおやつでも食べたのかと思うような涼しい表情でお腹をさするノア。
ちなみに俺はもう何も食べれそうにない。
「速水くんはこれからどちらへ?」
「俺は今からショッピングモールへ行こうかと」
「あら、私と同じですね。私も友達と待ち合わせしているんです。では目的地まで一緒にいきましょうか。」
「は、はい!」
ん? 待てよ?
この流れってもしかして……
「……で、なんで蒼太がここにいるの?」
ですよねぇ……
数分後目的地に着くと案の定、魔法少女達が勢揃いしていた。
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