第3話 氷姫のルナ

「いやぁ……昨日は最高だったな……」


 魔神の力を少し試しに行ってみたらまさかの触手系魔族と遭遇。実に素晴らしい曇らせを拝ませてもらった。


 しかしアニメにはあんな敵いなかったはずなんだが……もしかして何かしらの変化が起きてるのか? 


 ……まぁいいか。そんなことは些細なことだ。俺は俺の夢を追う!


 謎の存在オメガとして魔法少女達も無事救えたし、これからも頼むぞ、魔法少女たち!


『朝から随分と楽しそうだな、蒼太。』


(ん? まぁな。そういうお前も少し楽しそうじゃないか。)


『我も久々の戦闘だったんでな。昨日は楽しませてもらった。』


(その節はありがとな。昨日お前があの触手を防いでくれなきゃ終わってたわ。)


『うむ。それにしてもこれが学校というものか?』


(ああ、私立流星学院。歴史のある名門校だ。昨日の魔法少女たちもこの学校に通ってるんだぞ。)


『なるほど……学校生活と魔法少女としての活動……大変そうだな。』


 まぁ、実際かなり大変そうだ。


 魔族達は魔法少女達の事情も関係なしに現れるから卒業単位を取るのだって大変だろう。


 そんなことを話しながら歩いていると生徒達の視線がある一点に集まっていることに気づいた。


「見て! 生徒会長よ!」


「相変わらず美人だわ……」


 他の生徒たちとは明らかにオーラが違う一人の生徒。


 生徒会長、橘玲奈。


 美しい銀髪を靡かせ優雅に歩く姿は百合の花を彷彿とさせる。容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群なまさに絵に描いたような完璧超人。


 孤高の生徒会長として生徒たちから尊敬され、畏怖されている。


 だがその正体は魔族から街を守る魔法少女の一員、『氷姫』のルナ。魔法少女としての彼女はクールではあるものの市民の為にその身を挺して全力で戦う心優しい魔法少女だ。


 昨日かなりボロボロになっていたが無事で何よりだ。


『あれが昨日の娘の学院での姿か……』


(ああ、生徒会長としてもかなり優秀で歴代トップと言われてるくらいだからな。おまけに名家の令嬢で将来も安泰だ。)


『ん? 何故そんな娘が魔法少女などやっているのだ? 何も得などないだろうに。』


(さぁな……そこまでは俺も知らない。でもまぁ学園では関わることはないし、モブの俺にとっては雲の上の存在であることには変わりない。)



 ◇



「聖斗、飯行こ。」


「ふっ、悪いな蒼太……俺は今から図書委員長の来栖さんと一緒にランチに行ってくるんだ……」


 何故かドヤ顔で羨ましいだろ? と自慢してくる聖斗。俺はこいつの顔面に右ストレートをお見舞いしてやりたい気持ちをグッと堪えた。


 星空聖斗。


 モブである俺、速水蒼太の唯一の友人。


 コイツもアニメでは見たことはないので恐らくモブのはずなんだがやけにキャラが濃い。


 しかも顔が無駄にいいのでそこもムカつく。


「それで? 来栖さんにはちゃんと許可とったのか?」


「ん? いいや、必要ないだろう? 俺の誘いを断る理由なんてないじゃないか。」


「いやだめだろ、ちゃんと許可取れよ。」


「ふっ、俺は自由にやりたいんでなそんなものは必要ないんだ。」


 本当にコイツは……この性格なんとかならないのか……


 悪い奴ではないんだが……やはり言動やその態度を見ているとやはり不思議だ顔を殴りたくなる。


 全く、なんでこんなイかれた狂人がモブにいるんだよ……俺みたいに真面目にモブやれ。


「ということだからじゃあな!」


「ああ、頑張れー」


 俺は適当に聖斗を見送ってから歩き出し、屋上へと移動した。


 ここは最近の俺のお気に入りの昼飯スポットで基本的には誰も来ないので一人でゆったりのんびりと昼飯を食べることができる素晴らしい場所だ。


『蒼太、ぼっち飯か?』


(うるさい黙れ)


 そう、たまには晴天の空の下で一人落ち着いて飯を食べるのもいいだろう。


 俺がコンビニで購入しておいた弁当を食べようとした時、誰も来ないはずの屋上の扉が開かれた。


「あら? 先客がいたのね」


 振り返ると銀髪の美少女、橘玲奈……氷姫のルナがそこにいた。

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