第7話
大会会場に到着し、フィアと私の作品を提出する。
あとはしばらく待つことになるが...そういえば、カイルとフィロスはこの間どうしたんだろう?
「やあ、エミール! フィア! ここにいたのか!」
人混みの中からカイルの声が聞こえる。しばらくすると、人混みを突き抜けてカイルが見え始める。
「ああ、カイル、久しぶりだね。どうだった?」
「まあまあ、フィロスと一緒に陶芸を作ったり、遊びに行ったりしていたよなぁ」
遊んだんですか、ちょっと羨ましいですけど。
「君たちはその間、陶芸頑張ったよな? 無事に提出できたか?」
「うん、さっき提出した」
「よかった! 途中で割れたりしなかったんだな!」
だからフィアに任せてないんですけどね。 そういえば、だからオヤジが急いで持ってきたのかな? それなりに作品に気を使っていたんだね。
「うーん、ああ、そろそろ発表の時間だ。じゃあ、私はフィロスのいるところに行くから! また後でね!」
「ああ、また後でな」
カイルが向こうに消えていく。
やがて審査が終わったのか、下位から順に賞を発表する。
「...10位、ソフィア様」
おお、フィアちゃんの名前も呼ばれた。フィアは10位か。 まあ、急造の初心者にしては悪くないだろう。入賞ラインは聞いたんだな。 そして続々と発表をする。
「...5位、カイル様」
あいつ、きっと完全に陶芸を作ってるわけではなく、半分くらいは遊んでいたのだろう。きっと私みたいに陶芸なんてやったことないはずなのに、やっぱりあれは天才キャラなのか?
「...2位、エミール様」
「え? 私が2位?」
「やったね、エミール!」
と、唖然としてしまう。どうしたんだろう? しかし、受賞作品をよく見ると、私の作品は下位受賞作と比較しても全く見劣りしない。派手な技巧は欠けているものの、形の安定性や表面処理などが順守されており、基本的な完成度の面では高かったのだ。
いや、私も陶磁器を見たばかりだが、おじさんのお店で陶磁器に囲まれてしばらく作っていると、だいたいのことはわかるものだ。
「待望の1位、フィロス様です!」
お前だったのか!?
あらかじめ表彰台に呼ばれたのか、陶器を高く掲げてセレモニーをする奴が見える。
...いや、もう少し嬉しそうな顔をしてください。 ポーカーフェイスの維持には程度があるし...
「へえー、フィロス君すごいですね!」
うーん、陶磁器も本当にすごいけど... あいつが陶器みたいなものを作ったことは見たことがないような気がするけど。 もしかして移住してくる前に経験があるとか? 本当に優勝狙ってたのか。 それよりお前が優勝したかったからきたんだな?
とにかく、いろんな意味ですごい奴だ。
「1等賞品は、アーティファクトかもしれない首を一度は守ってくれるかもしれないネックレスです!また、トロフィーも一緒にプレゼントされます」
知らないことだらけだ。 しかも条件がピンポイントすぎる。
ええと、アーティファクトって何?
「2等賞品は最高級の耐熱手袋です!耐熱機能と耐久性に優れ、指の手袋で手袋をした状態でも感触が敏感に感じられるそうです!
3等賞品は...
また、等数ごとの賞品として各...」
表彰式が終了した。
「チッ、あいつさえいなければ優勝できたのに...」
私は不機嫌そうなおじさんをおじさんに向かって言う。
「ごめんなさい、やっぱり1位は無理でしたね?」
すると、おじさんは目を大きく見開いて言う。
「この野郎!最後まで怒らせるような話はやめろ! あそこの子もお前と同じような年頃なんだぞ!
お前らは一週間しかやってないのに、お前らより経験も長くて年齢も高い連中を押さえ込んだんだ。もう少し時間があれば、あそこに立っていたのはお前だ。そしてそれは俺の技術を伝授されたから当然のことだ!
お前らはそれなりに器用だし、頭も悪くない方だ。若い奴が可能性を閉ざすなよ」
え? 褒められたのか?
「はぁ...。ありがとうございます」
「エミール、どうだった? よくやったぞ」
人混みの中からフィロスがトロフィーを持って出てくる。
「ああ、フィロス、おめでとう。結局、本当に優勝したのか?」
「お前だったのか!!!」
おじさんが怒ってはしゃぐ。いや、これじゃあ敵に鉢合わせしたようなもんでしょうか。
「くそっ... お前! 次は覚悟しろ! 次は半分に折って、このバカを優勝させるぞ!」
「さっきあの頭いいって言ったでしょ? で、もう勝者は出てこないんですよ?」
「ああ、言っただろう。優勝しに来たのだ。優勝賞品が欲しかったもので、これはいらないからお前にあげよう」
彼が私に優勝トロフィーを手渡す。
「え? いいのか? これは...。
まあ、こんな記念品、君には価値がないでしょうね。 でもこれ、結構いい素材だし、売ればお金になるんじゃない?」
「俺を酷く見すぎだ。 いくらなんでも、そんなものを売ったら先程の参加者やこの町の人たちに酷い目で見られるだろう。 ここでは無理だ。処理に困るから、お前にあげよう」
「他の村で売る気はあったんですね?」
「元々俺がいなかったらお前のものだったし、俺に勝つなんて規格外だから仕方ないだろう。勝手に弄って処分しろよ」
この野郎のとんでもない自己評価...。いや、ちゃんとしたのか? とにかく腹が立つ!
そう言われても俺も別に見ることはないのだが... まあ、これは用途が決まっているんだな。
「おじさん、これあげるよ、狙ってたでしょ?」
おじさんに渡す。
「いらねーよ! あんたが優勝したわけでもないのに偉そうなこと言うなよ」
「あの剣みたいなの持ってるでしょ? 冒険家だから危険なところに行くことが多いから、こんなの持っているとすぐ壊されますよ。あ、手袋も渡しますよ、これは私が受け取ったものですから」
おじさんが舌打ちしてトロフィーを手に取りながら言う。
「いいや!そんなガキ用手袋はいらん!トロフィーはもったいないから俺がもらうよ」
フィアがいきなり飛び出し、言う。
「そろそろ話は終わりましたか? とりあえず祝杯をあげましょうか?」
「えっ...って、そんなお金あるんですか?」
私たちはフィロスを見る。
「...材料は俺が買ってくる。場所とか用意しておいてくれ。夕方くらいに集合だ」
フィロスは商店街へ行ってしまう。あ、そういえば私たち賞金ももらってたんですね。 まあ、もう行ってしまったので仕方ないですね。
「俺の陶磁器屋に来い、特別に場所を提供してやる。代わりに掃除でもしておいてくれ!」
「はい。じゃあ行きましょう」
「いや、俺はちょっと寄るところがある。ほこり食いたくなかったらちゃんと掃除しろよ!俺はやらないから!」
そうして来ましたか。
◆
「ねえ、フィロス。時間かかりすぎじゃないの?」
私はフィロスを迎える。おじさんが入ってきて、またある程度時間が経ってからフィロスが来た。
「閉店セールで遅れました」
「主婦ですか?
「いいえ、安いから」
主婦です。
「フィロス君、お帰りなさい!火は準備できたし、焼くだけですね?」
「おい、お前ら!!!陶器の焼き物に鍋を乗せるなよ!!」
ダメなのか。
「チッ、時間もないし仕方ないな。 終わってからちゃんと拭いておけよ!」
なんか懐かしい気分... あ!フィロスを見て思い出した。これはツンデレっ気ですね。
ごちそうを食べて、いつの間にかみんな眠い時間になってしまい、解散して帰る。結局、器具の臭いは消えなかったけど...気づく前に帰ったんですね。
◆
「ああ、言っただろう。優勝しに来たのだ。優勝賞品が欲しかったもので、これはいらないからお前にあげよう」
私はエミールにトロフィーを渡す。
「え? いいのか? これは...。
まあ、こんな記念品、君には価値がないでしょうね。 でもこれ、結構いい素材だし、売ればお金になるんじゃない?」
まあ、その通りだ。 だから適当な人に譲るのが正解だろう。
「俺を酷く見すぎだ。 いくらなんでも、そんなものを売ったら先程の参加者やこの町の人たちに酷い目で見られるだろう。 ここでは無理だ。処理に困るから、お前にあげよう」
「他の村で売る気はあったんですね?」
「元々俺がいなかったらお前のものだったし、俺に勝つなんて規格外だから仕方ないだろう。勝手に弄って処分しろよ」
「おじさん、これあげるよ、狙ってたでしょ?」
エミールが陶器おじさんにトロフィーを渡す。
...
「...材料は俺が買ってくる。場所とか用意しておいてくれ。夕方くらいに集合だ」
私は商店街に足を運ぶ。
夕飯の食材を考えながら買い物を済ませて帰る途中、...そういえばどこに帰ればいいんだろう? 彼らの宿にいるのか?
集合場所を指定してないんだな。
ん? しばらく迷っていると、村の道端から少し離れたところにある丘から人の気配が...。陶芸家のおじさんだ。うーん、あの人に聞けばいいだろう。 もしかして私が行ってから集合場所を決めているのだろうか。
丘を登り、おじさんがかなり近くに見える距離まで行った。最初は話しかけようと思ったが、気を取り直して気づかれないように静かにしている。
墓石のような石の前に陶芸大会の優勝トロフィーが置かれていて、おじさんはその前に立っている。確かに、初日にエミールが問題を起こしておじさんと絡んだ時に調べたところ、彼は優秀な陶芸家として家業を継ぎ、息子が店を継ぐ予定だったが、息子は...
「...」
おじさんは沈黙している。
これは、ちょっと時間がかかりそうだな。
◆
翌日、用事も済ませ、町を出る道をおじさんが見送る。
「お前!次の大会に逃げずにちゃんと来い! 絶対にちゃんと優勝させるぞ!」
「いや、私、もうしばらくは陶磁器に会わなくてもいいんですけど...」
フィロスが答える。
「わかった、訓練の調子が悪いようなら、たまにここに連れてきて気分転換に鍛えさせますよ」
「それをお前が決めるなよ」
「じゃあ、おじさん、私たちはもう行きます! またね!」
ソフィアと私たちの挨拶を最後に、私たちは地の村を離れ、中央の村に戻る。
◆
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