第6話 深まる謎

アリシアはドアを2回ノックし


(アリシアです、2人を連れてきました)

すると中から声が聞こえてくる。


(いいよ!入ってー!)


それを合図にアリシアと俺達はマスターのいる

部屋に入室した。


(いらっしゃい!よく来たね

レオ・アストラルとカズ・レイス

待っていたよ、君達に《俄然》興味があったから

僕はエリック・マキア、適正魔法は闇属性と炎属性

よろしく頼む)


エリック・マキア

その風貌はすらっとしているがどこかオーラを感じさせるような佇まいだった。

髪は赤色で目は紫色をしていて

底がしれないような表情をしている。



闇属性と炎属性?

2つの適正がある人物なんて初めて聞く。

そもそも、ひと目見た時から分かった。

この人は強い、穏やかな声で話してくれているけれど相当の実力を持ってる。

じゃなきゃマスターだなんて呼ばれていないだろう。


(不思議そうな顔をしているねっ、まぁ無理もない

2つの属性適正がある人物なんてこの世で数人いるかいないかだからね。

でもフィーナに会わなかったかい?

彼女も稀な2つ持ちだ、あぁ見えて、めっちゃ強いんだぜあの子)


にひにひと笑いながらエリックは語る


(でだ、与太話はこれくらいにして君達の

ことを教えてくれるかい?)


(分かりました)


俺達はあの日起こったことをなるべく詳しく話した

カズが勇敢に立ち向かったこと

突然の力の発現と暴発

俺の中の謎の声


(ふぅん)エリックは拳を自分の頬にあて考え始めた。


(レオくんの力、再生能力と爆発的な炎の力

炎属性では腕の再生なんて不可能だし

スピードも火力も並の炎とは比べ物にならない

もしかしたらレオくんのは炎属性ではないのかもしれないね)


俺はその言葉が信じられなかった。

確かに体は熱かったし、あの時は確かに紛れもない炎だった。


(ッ!?炎属性ではない?じゃあいったい…)


エリックは顔を横に小さく振りながら


(それは僕にも分からない、そんなものは聞いたこともないし特定の属性概念にも当てはまらない

もしかしたらレオくんが聞こえたその声に

なにかヒントが隠されているかもしれないね

なんて言っていたのかやっぱり分からないかい?)


(はい、あれはそもそも声なのか音なのか

でも俺には声という認識がありました)


そもそも声が聞こえるだなんて普通は信じてもらえない。

そんなことを言えば異常だと思われて精神病院に

送られるのがオチだ。

でもこの人は俺の話を真剣に捉えてくれている

興味なのか、警戒しているのか、

それは分からないがここまで来たらうち明かすしか

ない。


エリックは続けた。


(それに君達が倒したモンスターなんだが、、

あれはA級モンスターと言ってかなり強い類の

やつなんだ。

名前はフューリー・ドレッド

魔法も使ってくる危険なモンスターで

本来、12人パーティーでかかって倒すような

大物だ、カズくんに関してはそれほど大きなギルドに

所属してないみたいだし知らないのも突然だよ)


(クッ…)

カズは自分の無力感を感じるような表情を浮かべ

下を向いてしまった。


(まぁそう落ち込まないで、1人で立ち向かおうとしただけで上出来さ、なっ!カズくん)


エリックはカズを見ながらニコッと笑い

慰めるように肩に手を置いた。


(ありがとうございます、俺もっと強くなります!)


ハンターとしてカズを見るようになって

警備員の仕事をしている時とではもう見え方が

全く変わっていた。

あの表情は自分を鍛え上げ、何にも負けたくないという強い意志の形だろう。

あの時カズを失わなくて本当に良かった。



(アリシアくんも急行してくれて助かったよ

被害を止めてくれたそうだね、おかげで死者は

出なかったみたいだ)


(い、いえ!私に出来る事をしたまでですので)


アリシアは微動だにせずただエリックを見つめていた。


(さてっと、話も落ち着いた所で君達に探して来て貰いたい人物がいるんだが…)


(探して来て貰いたい人物?)


(そうさ、名前はシエラ・ミケル

魔法や属性で世界一詳しい哲学者さっ)


哲学者?なぜ今その人を探すんだ。

なにか思い当たる節でもあるのだろうか。


(シエラなら、レオくんの力についてなにか分かるかもしれないんだよね。しかし残念なことに今

ここにはいないんだ)


すかさずアリシアが場所を尋ねる。

(シエラ様はどこなのですか?)


エリックはニコッと笑い

(マナフロウ・ハイツだよ〜

天変地異の正体を突き止める!!なんて言って

飛び出してそれっきりさ)


エリックは、はぁっとため息をつき横に手を広げて飽きれたような態度を取る。



なんの因果か分からないが、丁度俺も早く向かいたいと思っていたところだ

都合がいい、受けない選択肢などない。


(…マナフロウ・ハイツ、俺行きます)


(先輩…行きましょう俺達3人で)

カズはぐっと拳を握り真剣な眼差しで俺を見ていた。


(言っとくけど、もうあんなことしたら

私、許さないわよ?)

アリシアは疑いの目で俺を見る。


(分かってる、あんな事はもうしない)


俺は再び覚悟を決めて心に誓った。

必ず父さんと母さんを助け出す。

そして自分自身の力の正体を突き止めることを。


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魔法世界で俺だけ無属性 ラビル @sky-pivot

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