第20話 絶体絶命
私の糸はとっておきだったんだけど、バラキに手の内がバレてしまったから、もう有効打にはならない。
あの糸は強度を出すために長くすることができないの。
だから、距離を取られてしまうと攻撃ができなくなってしまう。
それに、どれだけ切り刻んでも、バラキはすぐに肉体を再生してしまうからね。
仕方なく、私は目くらましとしてドレスの中に隠し持っていた閃光弾をバラキに投げつけてから、ずらされた下着を素早く元に戻して、破れたドレスをなんとか身体に結びつけてから、バラキから距離を取るために王座の間から出て、王宮の中を走った。
バラキが乱暴にドレスを破ったせいで、走ると中の下着がチラチラ見えてしまっていたけど、そんなことを気にしている余裕はなかったの。
この閃光弾は私が元いた世界の閃光手りゅう弾とほぼ同じ魔道具で、魔力を流し込むと時間差で閃光と爆音が発生して、相手の視覚と聴覚を一時的に奪って動きを止めるもの。
「目くらましか!!アンのやつ、こざかしい真似をする!!!」
相手に直接ダメージは与えられないけど、足止めには本当に役に立つのよ。
これはあのエルフさんが、いざという時のために私にくれたものなの。
あ、あと、これ読んでるあなた、勘違いしないでね。
私、逃げたんじゃないわよ。
でもバラキは、すぐに回復して私を追いかけ始めた。
そして、私を追いかけながら、周りにいた兵士たちから生体エネルギーを無理矢理奪っていたわ。
あの魔道獣は、触れた生物の生体エネルギーを奪う能力も持っているみたい。
おそらくだけど、肉体を再生するのにもそれなりに生体エネルギーを消耗するからかもしれないわね。
さて、どうしようか?
あの糸で身体をたくさん切り刻んでいけばバラキも消耗するでしょうけど、それはさせてくれなそう。
それに不用意に近づくと、私の生体エネルギーを奪われてしまうから、やっぱり近づけない。
幻術も何度かやってるんだけど、バラキには耐性があるのか、全然効果が無いの。
とりあえず、距離をとって戦うしかないわね。
生体エネルギーを吸収し終わったのか、バラキは大剣に生体エネルギーを乗せて、斬撃を飛ばしてきた。
振り下ろされた大剣から、生体エネルギーが斬撃の形をして飛んできたの。
私が一撃目の斬撃をかわすと、すぐにバラキはニ撃目の斬撃を飛ばしてきた。
でも、その斬撃は私のはるか頭上を飛んで言って、天井にぶつかった。
「しまった!!!」
バラキの攻撃を避けることに意識を集中していた私は、一瞬反応が遅れてしまった。
一気に天井が崩れてきて、私は落下してきたコンクリートの塊に足を挟まれてしまった。
「ぐぅっ!!」
「クククっ、もう逃げられないぞ、アン。さあて、そろそろお仕置きの時間だなあ。たっぷりとかわいがってやるよ。ははっ、俺のは大きいからなあ、腹が壊れても俺を恨むなよ。あははははぁ!!!!!」
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