第19話 英雄王との死闘
バラキは、この国に代々伝わる国宝の大剣を手に取った。
国宝といっても、見た目は巨大な肉切り包丁みたいな形をしているわ。
この剣で、私を素早く切りつけてきたの。
でも、エルフさんの魔道具のおかげで、身体能力も反応力も底上げされてたから、私はバラキの攻撃に余裕で反応出来て、斬撃をかわすことができたの。
(ほう、こいつ、俺の攻撃にここまで反応できるのか)
そのまま、二撃、三撃と、連続で振り下ろされるバラキの斬撃をかわしながら、私はしばらく様子を伺っていた。
「攻撃してこないのか?かわしているだけでは俺には勝てんぞぉ?」
(ま、俺にはお前の攻撃をかわす必要は無いんだけどなあ!!!)
バラキは突然攻撃をやめて、仁王立ちをした。
「特別サービスだ。お前の攻撃を受けてやる。さあ、攻撃してこい!!!」
(見え見えの罠ね。でもいいわ。そんな余裕も持てないくらいにボコボコにしてやる!!!)
私は、茨の鞭をすべてバラキにぶつけた。
でも、バラキはそんな攻撃はまるで効いていないかのように涼しい顔をして、私の鞭の一つを掴んでたぐりよせたの。
そのまま、私はバラキに押し倒されてしまったわ。
「クククっ。捕まえた。もう逃げられないぞ。さあどうする?」
私は残りの鞭でバラキの身体全体を締め上げたけど、バラキの鍛え上げられた身体にはあまり効いていないようだったわ。
バラキはそのまま私の首を手で締め上げてきたの。
「どうやら詰んだようだな。ふふ、そうだな。このまま殺すのも惜しいな。喜べ、今から俺の子を孕ませてやるよお!!!!!」
そう言ってバラキはもう片方の手で私のドレスを乱暴に引き裂いて、私の下着をずらして身体の上にのしかかろうとしてきたわ。
けどね。
(このケダモノめ、死で償わせてやるわ!!!)
私は、のしかかられる直前に、バラキの身体を切り刻んでやったわ。
「なん、だと?」
茨の鞭は目くらましにすぎないの。
私の本当の武器は漆黒の糸。
あの自在に形を変化出来る魔道獣を、限りなく細くて見えづらい黒い糸に変化させたの。
この糸は目に見えないほど細いけど、その分圧縮されて密度が高いから、鋼を切り刻めるくらいの強度がある。
私は、この漆黒の糸でバラキの両腕と両足を切り落としてやった。
でも、バラキの胴体の切断面から肉片が動き出して、両腕と両足が再生されて、バラキの身体はあっという間に元通りになってしまったの。
「チッ!!やっぱり再生能力だったか!!!」
クロウネのメモには、バラキの魔道獣の能力は再生で、そのおかげでバラキはどんな致命傷を受けても超再生能力で即座に肉体を再生して回復出来ると書いてあった。
……メモの記述のとおり、やっぱりこいつの能力は再生能力だった。
「その声は、アン・クオールだな。ははは、まさかお前がイバラ姫になるとはな。だが、わかっただろう。お前がどれだけ攻撃しても、俺には勝てんよ。いくらでも再生出来るからなあ。まあ、どうあがいても無駄ってやつだ。諦めて俺に跪け!!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます