第21話 反撃するアン

 私は足がコンクリートに潰される前に、硬化した魔道獣で足を覆って、なんとか足を保護することが出来た。

 でも、身動きが取れないことに変わりはなかった。

 コンクリートを攻撃して破壊出来ればいいんだけど、足を保護するのに精一杯だから、それは出来なかった。


 だから、私は足が痛くて動けないふりをして、バラキがスケベ心丸出しで私の上のコンクリートを壊すのを待ったの。

 私にお仕置きをするには、コンクリートが邪魔だからね。


「ぐぅっ!!ぐぅっ!!あぁっ!!あぁっ!!」


 私がうめきながらもがいていると、案の定、バラキは私の上にあるコンクリートに斬撃を飛ばして破壊してくれた。


「もう動けないだろう。ククッ。さあ、お楽しみの始まりだ。もっとかわいい声で鳴いて、俺を満足させてくれよ」


 バラキはニヤニヤしながら私に近づいてきたわ。

 でも、私はバラキの顔の変化を見逃さなかった。


(顔の筋肉が下がってきている。そろそろだわ)


「さあへ、さっきのつづきをしようかへ???な、なんはぁ。ほかしいお、なへさへれん。なにはぁほひたあ!!!」


(急に言葉が喋れなくなった??何が起きた??うっ!!腕も足も動かん!!動け!!動け!!!何故動かん!!!!)


「おまへ、おへになにほひた!!!」


 私は、クロウネの残したメモでバラキの能力を事前に知っていたから、あらかじめ対抗策として、漆黒の糸に麻痺性の毒を仕込んでいたの。

 私の寄生させている魔道獣の中には、毒を精製出来るものがあったからね。


 いくら再生能力が高くても、麻痺性の毒で動きを鈍らせることが出来れば、肉体の再生そのものを遅らせることができるかもしれないと考えたの。


 どうやら成功したみたいね。

 麻痺性の毒が全身に回れば当然言葉を話すことも身体を動かすことも出来なくなるわ。


 このバカは、その毒が自分の運動能力と再生能力を徐々に鈍らせていったことに、最後まで気づかなかったみたい。

 ふふっ、もうろくに喋ることも出来ないみたいね。

 私がこのケダモノに犯される寸前まで我慢して作ったチャンスですもの。

 これで、成功しなかったら女神様を呪っていたわ。


 毒が効いて動けなくなったバラキの身体を、私は漆黒のの糸で、バラバラに切り落としてやった。

 もう、再生もままならないみたいね。


 そのまま朽ち果てて、あの世でクロウネに詫びなさい!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る