第8話 村の秘密と私の秘密
また私のお話を読みに来てくれたんだね。
ありがとう。
今日は、私がローゼンブルグの辺境にあるとある村を訪れた時のことを話すわ。
この村では、表向きは、全ての人々が平等で暮らせるようにしているの。
そのために、見た目で優越がつかないように顔をお面で隠して、全員が同じ服を着て、生活や仕草なんかも統一されているの。
文明に否定的で、魔道具を使うのは禁止。
村の外部との接触も禁止されているわ。
ちょっと厳しすぎるような気もするけど、これも村のみんなが平等であるためには必要なことだとされているらしいわ。
でも、そんな平等村だけど、いいことばかりではないの。
その掟に外れると、指導として村長の部屋に呼ばれるの。
そして村長は指導と称してその村人に酷いことをするの。
それでね、少し前にこの村から逃げ出した子がいて、私、その子と仲良くなったんだけど、村長から懸賞金をかけられてしまって、結局、私と別れた後に、バウンティハンターに捕まって村に連れ戻されてしまったの。
でも、彼女とあった時に、彼女がこっそり私に「助けて」って書いてある紙を渡してきたんだ。
だからね、私がその村に潜入して彼女を助けてあげたんだ。
私の顔を見られるといろいろと面倒だから、最初は村人たちのつけてるお面や服と同じものを手に入れてから行こうとしたんだけど、どうやら特殊な素材で作られたものだったみたいで、入手するのが困難だったの。
だから、私は村に入ってから、村の建物を探索して、余っていそうなお面と服を見つけて、こっそり借りておいたの。
彼女は村長の家の地下にある座敷牢に幽閉されていて、村長から、指導と称して酷いことをされていたわ。
私は、前にあった時に覚えていた彼女の匂いを辿ったから、すぐに彼女を見つけることができたのよ。
私は仮面をつけていたから、座敷牢の中にいる村長の前に堂々と姿を見せてやったわ。
「クククっ。どうやらあなたは、この村の人間ではないようですねぇ。私の魔力の影響を受けていないのは、この娘と同じか。まあいいでしょう、そろそろこのおもちゃも壊れるころです。よろこびなさい、私の新しいおもちゃにしてさしあげますよ!!!」
村長は村人に洗脳系の魔法をかけて操っていたみたいね。
脱走した子は私と同じ特殊体質で、洗脳系の魔法が効きにくかったの。
だから、村から逃げ出すことができたの。
もちろん、私には魔力の完全耐性があるから洗脳なんて効かなかったけどね。
村長からの虐待で気を失っていた彼女に回復魔法をかけてから、私は魔力を一気に放出して村長にぶつけてやったの。
私の魔力に当てられた村長は、身体が動かなくなったみたいで、驚いていたわ。
「うっ動けん。この私が圧倒されている……だと。お、お前は一体……」
「あははははぁ。おっと、ごめんなさいね。エサごときが私をおもちゃにするなんていうからおかしくなってしまって、つい笑ってしまったわ。今から私に食べられるのにねえ」
普通の私ならこの村長の方が私よりもスピード、パワー、魔力全て上だけど、それでも私が勝てるの。
どうしてかわかる?
私には宮古様を元に戻すという強い意志があるからよ。
強い意志と覚悟は運を呼び込み、自分の実力以上の力を引き出してくれるの。
だから、意思の強さは自分の実力を何倍にも引き上げるの。
結果、格上の相手にも勝利できるのよ。
ま、それだけじゃないんだけど。
前も言ったけど、私、普通じゃないからね。
私は魔素の影響を受けないから、魔道獣の影響も受けないの。
だから私は複数の魔道獣を体内に寄生させているの。
普通の人は複数の魔道獣を寄生させたりしたらあっという間に魔物化してしまうから、本当に私は激レアな存在なのね。
だから、魔力も、魔道獣を使うことで普通の人間ではありえないほどの量を生成して、蓄えることができるの。
そして、私に寄生している魔道獣の一つは、寄生している相手の身体を喰らうことで、その相手から魔道獣を奪うことができるのよ。
だから、動けなくなった村長をそのまま魔道獣に喰らわせて、こいつに寄生していた魔道獣を奪ってやったんだけど。
「ちっ、外れけ!!」
奪った魔道獣が私に寄生した時に対して気持ちよくならなかったわ。
強い魔道獣であればあるほど、私の身体に寄生した時に快感が伝わってくるから大体の強さがわかるのよ。
私はもっともっと強くなって、宮古様を元に戻さなくちゃいけないの。
そのためには、がんばってもっと強い魔道獣を奪って私の身体に寄生させないとね。
ここの村長は魔道獣を使っているうちに、魔道獣に精神をどんどん侵蝕されていたみたいね。
それで、最後は魔物と化してしまって、魔力で村人を操っていたの。
まあ、この村長だって、最初はもっと崇高な理由で村を統治していたんでしょうけどね。
あ、そうそう。
少し前まで、このローゼンブルグでも、元の世界の新型の感染症に似たような病が流行していたんだけど、そのせいで、この村でもその病の感染者が続出してしまって、隔離対象になってしまったの。
最後は、村人全員が兵士たちに捕まって、強制的に隔離施設に連行されてしまったわ。
私みたいな転移者がこの世界に例のウイルスを持ち込んでしまったのかしら。
ともかく、それでこの村は消滅してしまったの。
一度あの施設に入ったら、二度と出て来れないからね。
……今回は話が長くなってしまったけど、最後まで読んでくれて、ありがとうね。
また読みに来てくれたら、うれしいな。
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