第2話 トイレでウンウン気張る夢
夢の中でのことだけど、お腹が痛くて痛くてたまらない。どうしよう。僕は自宅のトイレに籠り、うんうん頑張ってみるのだが、一向に「大」の方がおでましにならない……。
* * * * * *
昔、近所のキャンプ場へみんなでキャンプに行った夜のことです。
その日はテントで寝たのですが、僕が入ったテントには、4名のメンバーが寝泊まりしていました。
その日の晩。一緒にテントで寝泊まりしていたメンバーの皆さんには申し訳ないのだが、かなり屁をコイてていたようです。
というのも、その日は便秘になった夢を見たからです。
お腹が痛くて痛くてたまらない。どうしよう。
僕は自宅のトイレに籠って、うんうん頑張ってみるのだが一向に「大」の方がおでましにならない。かろうじて「屁」は出るんだけど。
そうこうしてる間に、会社へ行く時間になった。仕方がない。僕は諦めて職場へと向かった。
途中の駅で、トイレに駆け込み、また頑張ってみる……。だが、出るのはオナラばかりだった。
そしてついに会社へ到着した。
会社の先輩が心配そうに声をかけてくる。
「星川君、大丈夫? 顔色悪いよ」
「いえ、あんまり大丈夫じゃないです……」
「だろうね? ははは・・・おっと笑いごとじゃなかった。一体どうしたの?」
「いやー。なんか僕、便秘になったみたいなんですよ」
ここで、先輩から恐ろしい提案が! 出されるのである。
「なんだ、それならトイレの手すりを力いっぱいひっぱりながら、気張ってみたら? 腹に力が入ってきっと出るはずだよ」
なんだとー!!! こいつは一体、何を言っているんだ! と、
しかし、夢の中の僕は、
「それは妙案!」と、手を打って、嬉々として早速トイレへ向かったのであった(笑)。
そして、和式便所へしゃがみ込むと、目の前にある太い手すりにぶら下がるように掴まり、中腰でしゃがんだまま尻をかがめ、「ぐおおおおおっ!」と気張る。
するとまたしても大量のオナラが連発して出る。しかし、実の方はまだだ。だが、一歩、一歩前進しつつあることは腸の感覚でわかる。
「いける! いけるぞ! これはいける!」
そう思った僕は、手すりを持つ手に力を込め、体重を込めて全身で力んだ。
するとその時のことである。握りしめていた手すりがメキメキッと嫌な音を立てたかと思うと、ボキッ!と折れたのだった。
「あ痛あっ!」
僕はケツを丸出しにしながらトイレですっころんでしまった。
「ああ、もうちょっとだったのにな」
チッ。僕は惜しかったなって顔しながらトイレから出た。
「しょうがない、環境を変えてみるか……」
僕は会社を出て、百貨店や高級ホテルのトイレを探しに街へ出たところで目が覚めた。
……夢?
おいおい夢??
やばー。
久しぶりに冷や汗が出たよ。
この夢、あぶなくね?
もし、あの時手すりが折れなかったら、僕は間違いなく、このテントという密室の中で「こんにちは」していたことでしょう。
朝、一緒のテントで過ごした1人に「昨日、夜中オナラひどかったで!」とぶつぶつ言われたが、オナラくらいで済んでよかったんだぞ! と内心、思う僕。
まあ、これが実現していたら、一生、ウンコたれぞうと言われ続けたであろう。
危ない、危ない。
しかし、よくぞこらえたものだ。われながら褒めてやりたい気分である(そんなたいしたもんかよ)。
僕の夢の中の理性というか、自制心というか、紳士な心が、無意識のうちに働いて、あのような展開になったのだろう。
まあ、どうでもいいといえばどうでもいい話なのだが、みなさんも夢にはくれぐれも注意しましょう(笑)
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