第3話 決別

今日は朝から雨だった…。

天候にも人の体調は左右するというが

未來は身体の怠さもあり元気がなかった…。

昨日の覚醒して以降、何が起こったのか全く覚えていないと言う。

親父の仇を討ったことすらも・・・。


「姉貴、無理しないで休んだら?」

「ううん…大丈夫行くよ。」


「未來、本当に大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だよ母さま。」


じゃあ、いってきます。


パタン…。


「未來ちゃん、行ったんだね…。」

「うん…。」

「私…2人の様子見てくるね。」

「うん…悪いけどお願いね…。」



ー 学園の下駄箱 ー


おはよー…。

あ、おはよー…昨日のテレビみた?

あ〜うんうん…。


「はぁ〜…。」

「なんだよ…いきなりため息かよ。」

「湊くん…ケガ大丈夫かな…。」


なんだよ…アイツの心配かよ。


「ほら、噂をすればだ…来たぞ。」

 

「湊くん、おはよー。」


一瞬、湊の顔がくもったのをオレは見逃さなかった。


「あ、お、おはよう。」

「湊くんケガ…大丈夫?」

「あ、うん…おれ日直だから先にいくね…。」


あきらかに態度がおかしい…。

まあ、当たり前かあんな目に遭えば…。


「でも、あれは無いだろ。」

「良いんだよ…颯真…良いの。」

未來は悲しい顔をしていた…。

「……。」

「いや、良くないだろ!」

「颯真…。」


ガラガラッ!


おい!湊!

バキッ!

「な、なんだよいきなり!」

「オマエこそあの態度はなんだよ!」

「おれが何したんだよ!」

「てめぇ!」

オレが湊の襟首を掴んだとき…。

湊は震えてこう言った…。


「いい加減にしてくれよ…おまえ達バケモノと一緒にしないでくれよ…。」


「な…本気で言ってるのか?」

「……。」


「湊くん…怖い思いさせて…ごめんなさい…!」


未來は教室から出て行った…。


未來に聞かれていた…一番聞かれたくない言葉を…!


くそっ!!


バッ!


「……。」

「アンタ達仲良いのになんかあったんです?」


「委員長には関係ないから…。」


(これは、何かあったですね~。)



オレは未來を探していた…。

「まじか…。」

雨の中びしょ濡れで中庭にいた…。

「未來…。」

「あ、颯真…。」

「何やってんだよ!こんなところで!」

「あはは…だって雨に濡れていたら泣いててもわからないじゃん?」


無理もないか…。

未來にしてみたら大事な人が傷つくのが我慢できなかったんだろうな…。

守った結果がこれじゃ救われないよな。


オレだったら良かったのにな…。


「え?」


「未來風邪ひくから戻ろう…。」 

「もう戻れないよ…。」

「なに言ってるんだよ…!」

「だってそうでしょ人から見たら私はバケモノなのよ!」

「どこに戻れって言うのよ…。」


オレには言葉が見つからなかった…。

所詮、人と妖怪は住む世界が違う。

そんな事は分かりきっていた…。

遅かれ早かれバレる事も…。


でも、自分の好きな人からバケモノ呼ばわりされるのはオレでも耐えられない。


「颯真は良いよね…チカラが無くて。」

「は?」

「なんだよ、それは!」


「颯真に私の気持ちなんかわからないよね?」

「こんな妖狐のチカラなんか私は要らないよ!!」


そう言い残して未來は姿を消した…。

その時は家には帰って来るだろうと思っていた…。


「未來ちゃんには重荷なんだね…。」


眞白おばさん…。


「オレには妖狐のチカラが無いけど未來の気持ちは…わかるよ。」

「颯ちゃん…。」

「でも、湊君だっけ?あの子を責めないであげて…。」

「何でだよ!アイツは未來をバケモノ扱いしたんだぞ!」


「仕方ないんだよ。」


「私たちは実際バケモノなんだから。」

「でも…それでアイツは助かったんだぞ?」

「ホントにそう?」

「もし、未來ちゃんが普通の女の子だったら…アイツは来なかった。」

「なんだよソレ…?」

「オレだって未來だって好きでこうなったわけじゃないだろ!!」


「オレは母さんと父さんを恨むぞ…。」


「颯ちゃん!!」


放課後…。

未來は戻って来なかった…。

アイツの行きそうなところを探してみるか…。


夕方になって雨が降ってきた…。

ザァー…。


くそ!ここにも居ない…。

まだ探し無いところ…もしかして…?


予感は的中した誰も居なくなった教室に未來は居た…。

「探したぞ…。」

「颯真…どうして?」

「どうしてって…心配だったからだろ!」

「あ、そっか…ごめんね…。」 

未來の瞳は遠くを見ているようだった

オレは急に怖くなった。

「未來…このまま消えようなんて思ってないよな?」

「……。」

「姉貴…どうしちまったんだよ!」


未來は泣き出した…。


「私だって…どうして良いかわからないよ…考えて考えていっぱい考えて…。」


でも…答えが見つからないんだよ…。

この町も人も好き…だけど私には居場所なんか無い…。


「そんな事…。」


そんな事あるのよ!!

私は私たちはバケモノなのよ!?

母さまも颯真も萌香ちゃんも胡桃おばさまも!!


他の人たちに知られたら…この町に居られないでしょう?


『なら、我と来れば良い…。』


なっ…!?

いつの間に!?


『お主らは…夜白の子だな?』


「なんだオマエは…!!」


『我が名は風磨…。』


「風磨…?」


少し見ない間に様変わりしたものだな…。

この辺りは森林に囲まれていて我らにとってら楽園だったのだがな…。

人間どもが自然をどんどん破壊する。

まあ、そのお陰で我は復活できたのだがな…!


『未來と申したな…どうだ我と来ぬか?』


「姉貴に触るな!」 


ガシッ!


「なんだ…誰が我に触れて良いと…。」


ザワッ…。

こいつ…ヤバい!?


ドカッッッ!!

何が起きたか分からないうちに壁に叩きつけられていた…。

ガシャァン…!! パラパラ…。


がはぁっ!?

まったく見えなかった…。

く、くそ…。


「颯ちゃん!大丈夫!?」

『また、関係の無いものが…キサマ…。』


『白夜のもう一人の娘か…。』 


「残念だけど私はこの子たちの叔母なのよ…関係ないなんて言わせない!」


「狐火!」

ボゥッ…!

風磨の全身を炎がつつみこんだ…。

『温いな…!』

バン!

「まさか…効かない!?」

『狐火とはこういう物を言うのだ!!』

ボゥォォァ!!


「キャアァ!!」


眞白おばさん!!

くそくそくそ〜〜!!

何でオレは…。


スッ…。

風磨は颯真の耳元で囁いた…。

『キサマは…無力だ…。』

な…。


ドゴォォッ!

ぐはあああっ…!!!


やめて〜〜〜〜〜!!


「もう…やめて…。」


『す、素晴らしい妖気…。』


「あなたと行きます…。」

「だから、もう止めてください。これ以上…だれも傷つけないで…。」


「眞白姉さま…。」

未來は手を眞白にかざした…。

パァァァ…。

暖かく優しい光に包まれ火傷が消えていった…。


『これは…癒しの…。』


「未來…ちゃん…。」


「颯真…母さまを宜しくお願いね。」


「未來!」

「未來ちゃん!?」


『では、行くか…。』

「みんな…お元気で…。」


シュッ…。


うわぁぁぁぁ!!

颯真は自分の無力さに嘆いていた…。

くそー!!

ドガッ!!


「くそ…。」

颯真はそのまま気を失った…。

未來が風磨と共に去っていった理由は誰もこれ以上傷付けたくない傷つくのを見たくなかったからだった。


だがそれは未來にとって最悪の選択だったのかも知れない…。





次回予告…。

未來は風磨と共に行く選択をしてしまった…。自らの意志ではあったが風磨の計画には賛同しなかった…。

風磨の計画とは?

颯真はこのままなのか?


第4話…妖狐の里へ









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