第2話 父の面影

未來と颯真の前に現われた男は何者なのか夜白の事を知る者…。

その事を妹の眞白おばさんに話すと険しい表情をした…何か知っている風だった。

まだ学園にいると思える未來を迎えに行くと言い残して姿を消した…。

1つ疑問があった…。

眞白おばさんは学園の場所を知っているのだろうか?


「あぁ〜迎えに行くと言ったのはいいけど場所も未來ちゃんの気配も判らないんだけど!!」



その頃学園では…。


湊が未來が出て来るのを今か今かと待っていた。

「あれ?湊くん?」


やっと出てきた…。


「未來ちゃん今帰り?偶然だね!」

待っていたのがモロバレだったが言ってみた。


くすっ…。


「実は待っててくれたんでしょ?」

「やっぱりバレバレだったか…。」

「あはは…ありがとう。」


ゴロゴロ…。

遠くで雷鳴が轟いていた。

さっきまで天気が良かったのに今にも降り出しそうな空になってきた…。

「なんか雨降りそうだね。」

「こんな事もあろうかと傘持ってきたんだよ!」


「あは、さすが湊くん!」


お楽しみのところ申し訳ないが…。

キミに用は無いから消えてくれるかな?


「あなたは…朝の…。」

湊くん逃げて…。


「こんなヤバそうなのに逃げるわけには行かないでしょ!」


「どうして人間という生き物は…。」

無駄な事をするのか理解に苦しむね。


そう言うと男は妖狐化した…。

禍々しい気配をしていた。

「ボクの名はクサナギ…。」


湊にはクサナギの姿が見えていた…。

だが何が起きているのか理解できなかった…。

さっきまで人だったものが妖狐の姿に…。


「まだ邪魔するというのか?」

「未來ちゃん逃げて!」

「このバカな人間めっ!!」


バキッ!!!


ぐはぁ!!

「湊くん!!!」


湊は殴られ壁に叩きつけられ気を失った・・・。


「だから言ってるだろ?人間など弱くて愚かなのだよ?」

「さぁ・・・おいで・・・ボクと行こう。」


なんで?


「は?」


なんで簡単に人を傷つけられるの?


「邪魔なものを排除して何が悪い?」


湊くんは私を庇って守ってくれたのに・・・。


ポツ…ポツ…ザァー…


未來の感情に同調するように激しい雨が降ってきた…。


「無力のものが守るだと?片腹痛い。」

「そういえばキミの父親もそうだったな・・・。」


ドクン・・・。

とう様が・・・どうしたの?


「だまって従えば良いものを調子にのりやがったから殺してやっただけだ。」


ドクン!ドクン!ドクン!


そう…アナタだったの・・・私たちから…とう様を奪ったのは!!!


「な…なんだ・・・気配が・・・?」


許せない・・・あなたは許せない・・・!!


未來は自分では抑えきれない怒りと悲しみに襲われていた…。


ザワザワ…。


未來の瞳が金色に輝き全身を光が包こんだ…。

「な、なんだ!?」

そして銀髪に金色の瞳に九つの尾の妖狐の姿になった。

その姿は妖気こそ劣るものの夜白を思わせるものだった。


「金色の瞳に…き、九尾だと!?純血のボクでさえなれないのに・・・

半妖のクセに生意気なんだよ!!」


シュ!!


未来は素早くクサナギの後ろに回り込んだ・・・そして…。


ザシュッ!!!

鋭い爪で切り裂いた!


「ぐわぁっ!!なんだ・・・と・・・?は、早すぎる…ボクが・・・。」


ドサッ・・・。


湊くん・・・だい・・・じょ…。

バタッ・・・。

いきなりのチカラの覚醒で力尽き倒れてしまった。


未來のチカラの覚醒のおかげで場所を特定できた眞白が到着した・・・。


「未來ちゃん・・・遅くなってゴメンね・・・。」

「ん、んんっ…眞白姉さま・・・?」

「いまは休んで・・・。」

この男の子は・・・未來ちゃんの?

このままにしておけないよね・・・。


眞白は未來を夜白の家に連れて行った・・・。

すぐさま未來を部屋に運び寝かせた。


「未來ちゃんは・・・?」

「疲れたみたいね・・・寝かせて来たから大丈夫よ。」

「姉さま、ごめんなさい・・・私がもっと早く着いてたら・・・。」

「ううん、いいのよ・・・ありがとう眞白。」


「母さん、これは何なんだよ・・・いい加減聞かせてくれよ。」

「颯ちゃん・・・。」

「そうね・・・本当の事を話すわね。」


夜白はそういうと重い口を開いた・・・。

           ・ 

           ・ 

いまから12年前・・・。


未來と颯真が3歳のときだった。

家族で海に遊びに出掛けた時の事だった。

「とうしゃま~こっちきてぇ!」

「ぉぅ・・・・・・。」

「颯太さん?どうしたの?」

「いや・・・。」


「まさか、まだ実感がわかないとか言わないですよね?」

「いや・・・家族っていいなって思ったんだよ!」

「おう!いまいく!!」


みて~お山作った~・・・。

おお~すごいな颯真!

未來のも見て~…。

んん?何だこれ…?

お星さまか?

違うよ~ヒトデだよ~

なんでヒトデ??


『ちょっとやめてください!』

『一族を裏切って家族ゴッコですか?良い身分ですね?』


「とうしゃま~・・・かあしゃまが・・・。」

ん?だれだアイツ・・・。


「なんだ?お前オレの嫁に何してんだ?」

「颯太さん・・・。」

『お前が・・・なるほどな・・・人間が邪魔なんだよ!』


ドスッ!

うっ!?なにしやがる・・・いきなり・・・。


『ボクの邪魔をするからですよ。』

「やめてください!」

「オレの家族に手を出すんじゃねぇよ!!」

あぁ・・・ウザイ・・・なんなんだ?コイツは・・・。

余程、死にたいのか?

「クサナギ!!いい加減にしてください!!」

「夜白・・・逃げろ・・・今のお前じゃ…オレが時間稼ぐから・・・。」

「でも…颯太さん!」

「良いから…子供たちを連れて逃げろぉ!!」

くそ…なに馴れ馴れしくボクに触れてるんですか?

ゲシゲシ!!

「ぐっ!!」

「死んでも離すものか・・・!!」

まったく・・・バカが!!

ドスッ!! バキィッ!!


「ははは・・・簡単に死なないものだな・・・人間って・・・。」


では、お望み通り殺してあげますよ!!

ブシュゥゥゥ~~!!

クサナギのこぶしが颯太の腹をえぐった・・・。

「がはぁ・・・時間は稼げたみたいだ・・・な・・・。」

クサナギは術を使い颯太を焼き払った・・・。

「ぐわあぁぁぁ〜〜!!!」

生きたまま焼かれ颯太は絶命した・・・遺体は殆ど残らなかった・・・。


夜白・・・すまない・・・。


「颯太・・・さん・・・?」

          ・  

          ・    

          ・

そのときにあなた達のお父さんは亡くなってしまったの・・・。

「事故じゃなかったんだな・・・。」

颯真の目に涙が光っていた。

「話してくれてありがとう・・・姉貴の様子みてくるよ・・・。」


「颯ちゃんの顔・・・颯太兄さまに似て来たね・・・。」

「ええ・・・時々ドキっとすることがあるわ・・・。」


未來は夢を見ていた・・・。

それは、父親が優しく語り掛けて来る夢だった。


未來・・・大丈夫か?

とう様?

どうしたんだ?その顔は・・・泣いているのか?

だって・・・とう様・・・。

とう様こそ何で笑って居られるの?

なんでだろうな・・・オレはお前たちを守れたからかな?

私は・・・とう様に生きてて欲しかった・・・。

生きているさ・・・お前たちの中にな・・・。

未來…運命に負けるなよ…おまえは笑顔が一番似合う。

颯真とチカラを合わせて頑張れ!

それじゃ、父さんは行くよ…。


待って!とう様!


「とう様…。」


姉貴?姉貴…。


「あれ?颯真?」


未來が目を覚ました…。

どうして私…あれ…?


「チカラが覚醒して倒れたところ眞白おばさんが連れて来てくれたんだよ。」


「そう…なんだ…?」

「颯真…。」

「ん?」

「私、とう様の夢みてたみたい…初めてとう様が夢にでてきたの…なんか嬉しい。」

「そっか…良かったな。」

「うん。」



「あれ?姉貴…その目は?」

「え?なに?」

未來は鏡を覗き込んだ…。

「あれ…片目だけ金色だねぇ…。」



なんで姉貴なんだよ…。

オレは…オレじゃダメなのかよ親父!!




第3話予告…。

チカラの覚醒に戸惑う未來…。

翌日湊の態度がおかしいのに気づく。


次回『決別』












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