五分で終わる短編小説集

星降る夜の手紙

主人公の沙織は、都会の喧騒から逃れ、山間の小さな村に移り住んだ。そこは、夜になると満天の星空が広がり、都会では決して見ることのできない美しい風景が広がっていた。沙織は毎晩、星空を見上げながら過ごす時間が好きだった。

ある夜、村の神社で行われる星祭りに参加することにした。村の古い伝統に興味を持った沙織は、祭りで行われる神秘的な儀式に心を奪われた。特に、星祭りの中心となる「願いの石」に興味を持った。伝説によれば、この石に願いを込めると、星がその願いを叶えてくれるという。

祭りの夜、沙織は「願いの石」の前に立ち、心の中で強く願った。「もう一度、大切な人に会いたい。」沙織はかつて愛した人を事故で失い、その悲しみから逃れるためにこの村に来たのだった。

その夜、祭りが終わり、村の人々が帰路につく中、沙織は一人で神社に残った。星空を見上げていると、突然、流れ星が一つ、二つと流れ始めた。その光景に心を打たれた沙織は、自然と涙がこぼれ落ちた。

突然、背後から優しい声が聞こえた。「沙織さん、大丈夫ですか？」驚いて振り向くと、そこには見知らぬ男性が立っていた。彼の名は悠斗と言い、村に住む天文学者だった。悠斗は沙織が星空を見ているのを見かけ、声をかけたという。

二人は星空の下で話し始め、次第に心を開いていった。沙織は自分の過去の悲しみを話し、悠斗は自分が星に魅せられてこの村に来た理由を語った。二人の間には不思議な共感と安心感が広がり、やがて夜が明ける頃には、お互いの存在がかけがえのないものに感じられるようになった。

数日後、沙織は村での生活にすっかり馴染み、悠斗との関係も深まっていった。ある日、二人で再び神社を訪れると、沙織は「願いの石」の前で再び願いを込めた。「この幸せが続きますように。」

その夜、再び星空を見上げると、一際明るい流れ星が空を横切った。沙織と悠斗はその瞬間、同じ願いを込めた。そして、星がその願いを受け入れるかのように、さらに多くの流れ星が降り注いだ。

その後、沙織と悠斗はお互いを支え合いながら、村での新しい生活を築いていった。沙織は過去の悲しみを乗り越え、悠斗との未来を見据えるようになった。二人は星空の下で誓い合い、いつまでも幸せな日々を送ることを決意した。

しかし、物語はここで終わらなかった。ある夜、沙織は再び星空を見上げていると、一冊の古い日記を見つけた。それは悠斗の亡き母親が書いたものであり、中にはこう記されていた。

「悠斗へ。あなたがこの村に導かれたのは、星々があなたに幸せをもたらすためです。大切な人との出会いを大事にしなさい。その人があなたの運命の相手です。」

沙織はその言葉を読み、すべてが星の導きであったことを悟った。彼女は悠斗と共に、その運命に感謝し、星空の下で永遠の愛を誓った。

end