第19話 情報交換会議

私たちは一度副校長先生と別れて髪を乾かしたのち再び校庭にて集合した。


「皆さんきちんと髪は乾かせましたか?」


「おかげさまでありがとうございます」


では、と副校長先生が言い


「早速始めますか」


「そうですね」


今回情報交換は全て沙莉に任せることにした。光や焔も話すと余計なことも話しちゃいそうだからね。


「とりあえず私がこの学校にいて分かったことはゾンビは個体差が非常に大きいということ。走って追ってきたり飛びかかってくるゾンビもいればほとんど動かないゾンビもいるということです」


へぇーやっぱ個体差があったんだ。皆んなが倒すと強い弱いとか関係なくすぐ倒しちゃうからわかんなかったや。


「なるほど。では今度は私たちから。これは未だ確実な情報ではないですがゾンビは殺しても、しばらくしたら復活し、さらに殺される前より強くなるということです」


「やはりですか」


ん?もしかしてこの人もゾンビを殺しまくって、、


「昨日午後に学校周辺のゾンビがいきなり倒れましてね」


「あっ、」


「しかしながら今日朝起きてみれば全てのゾンビが活発に活動していたんですよね」


完全にその倒れた原因光じゃん。


「いやーでも良く分かりましたね。ゾンビが復活したら強くなるなんて」


あっ、やばいかも


「あ、えっ、えっとー、そ、そう、初日にナイフで頭を切り落としたゾンビが復活してて、また頭を切り落とそうとしたら全然切れなくて逃げてきたんです。あはははは」


「なるほどそういうことだったんですね」


あっぶなーい。バレるとこだったぁ。


「まとめるとゾンビには個体差があり殺しても復活して強くなると」


「まだまだ分からないことだらけですね」


「そうですね。大した情報はなくてすみませんね」


「いえいえ、私たちもそんなに情報持って無かったですし」


「後情報と言えば、今の政府がどうしてるか知っていますか?」


「知りませんね」


「そうですか。今、政府は総理やゾンビ化しなかった議員達と四国の一部に大規模な避難所を作りそこに避難しているそうですよ」


あのいつも無能な政府達が珍しく有能じゃない。


「でも何故四国に?国会議事堂とかで立て籠ってるとかじゃないんですか?」


「確か、ゾンビパンデミックが起こった日、たまたま政府の要人と大企業の経営者達などが香川県に集まり、会議だかパーティーだかをしてたおかげで香川県の一部が安全地帯になったそうなんですよ」


「これで安心ですね。いずれ政府が私たちを助けてくれますね」


「いや、考えてみてほしい。政府のいる香川の安全地帯はここより物資や人手も多いかもしれないけど、こことは比にならないくらい守る範囲が広いんだ。そんななか関東にいる人々を助けにいけるかい?ましてや生きてる人がいるかどうかも分からないのに」


それはそうだよね。私たちみたいな凄い集団でもいない限り四国ならまだしも関東までは助けに来れないよね。


「まぁでも安心しなさい。ここには充分物資があるし安全も確保されている。それに先の話だがここを出て四国に移動する計画も立てている」


「そ、それって、マジですか?!」


焔がいきなり大声を出した。


そりゃそうだいくら何でも無謀すぎじゃないかな?もしかして皆んなの力がバレて、、


「落ち着きなさいな。この話は本当だよ。まぁでもまだまだ先の話だけれどね」


いやー凄いなぁこの学校は。せっかく避難所に行ったらシリアス展開があるかなぁと思ったのにこんなに学校が優秀じゃあまたシリアス展開なしかもしれないじゃない。


あれ?何で私シリアス展開望んでんだろ?まぁいっか。


「そこで何だが君たちにその準備やら諸々の手伝いをしてほしい」


「私たちですか?」


「君達は他の人に比べてこの状況に絶望していないだろう」


そりゃあね。危なくなる要素が無いんだもん。なんなら皆んな普通に旅行気分だもん。


「他の避難してきた人達は自分の周りの人がゾンビになったりして、気持ちが不安定でまともに動けない。それに比べて君達は絶望してないだけじゃなく、ゾンビに立ち向かう勇気と心の余裕がある」


心の余裕はまぁあるけれど、ゾンビに立ち向かう勇気はないんじゃ無いかなぁ。少なくとも四人には。だって四人からすれば立ち向かうというより雑魚を瞬殺する作業、なんならただのゲームの周回みたいな気分だもんなぁ。


「やることはそんなに難しく無い。バリケードの強化や見回りに一般人でも戦えるような武器を作ったりするだけだ。どうだやってくれないか?」


うーん、これ別に断る理由もないし、何なら食料自分達で持ってんのに食料分けてもらっちゃってるのは少し申し訳ないし、


みんなの目線が合い、お互いに頷いた。


「私たちもここで生活させてもらってる身として是非協力させて下さい」


こうして私たちの避難所での仕事が始まった。

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