第18話 校内探索
その後教室に居る他の人達は一切話そうとしなかったので気まずくなって私たちは教室を出て廊下で話すことにした。
「いや、ね、うん。私たちはやっぱ呑気過ぎたんだよ」
「そうだよね。他の人は自分の大切な人達がゾンビになったりして、まだ二日しか経ってないけど色々辛い思いしてきたんだろうね」
「それに比べて光達と言ったらね」
思い返してみても辛い思い出は一切なかった。というか私は驚いているか呆れている方が圧倒的に多かった。
「ここではそういう呑気な雰囲気はなしでいこうか」
「その方がいいね」
呑気な雰囲気はやめようと言ったがやることがないのでとりあえず学校内を探索していた。
そんな時、
「あっ、あなたは!」
突然前を歩いて来た二人の女子大生が話しかけて来た。
「あの時は本当にありがとうございます」
「ありがとうございます」
「いやいや、光は大したことはしてないよ」
「なぁ光、この人達ってもしかして」
「そう劇場で隠れていたところを光が助けた人達だよ」
「あっ、あの私は大学二年生の木野奈美って言います」
「同じく二年生の熊田瑠美です」
「どーも、光でーす。そして一緒にいるのが焔、蒼雷、沙莉、草乃」
光に呼ばれて私たちは頭を順番に下げた。
ここ最近自己紹介多いなぁ。名前覚えらんないよ。
「光さんはあんなに強いのになぜこの避難所に?」
「あっ、えっ、えっーとね。じょ、情報収集のためだよ」
光ナイス。余計なこと言ってたらめんどくさいことになってたかもしれないしね。
「そうなんですね。私たちの知ってる情報でよければいくらでも提供しますよ」
「協力ありがとう。ならとりあえずここでのルールとかあるんなら色々教えてくれないかな」
「えーっとですね私たちが来たのも昨日ですし、ここが避難所として機能し出したのも昨日ですし。ルールは強いていうなら、バリケードの外に出ないこと、争わないこと、体調が悪かったり、何か異変を感じたらすぐ報告することぐらいですかねぇ」
なるほどここはまぁ当たり前だけど出来たばっかだから、特にルールとか序列関係とかもないのか。
そりゃそうかここに来れるまでは皆んな疲れ果ててるんだからね。
「二人ともありがとう。私 光たちはとりあえずここをもう少し散策してみるとするよ」
「では、またなにかあったら」
そうして二人は頭を下げて反対側へ行ってしまった。
「さて、私たちはどこへ向かおうか」
「とりあえずシャワー浴びに行かない?」
「学校にシャワーなんてあんのか?」
「ここの学校の校長が災害対策バッチリしてるってんならまぁあってもおかしくないな」
「プールのとこらへんにあるんじゃない?」
「よし、行ってみよう」
私たちは一度校舎を出てプールのある別の建物に向かった。
「やっぱりあったね」
「よし、とりあえずシャワーって、そう言えば」
「どうしたの?」
「そう言えば俺ら普通に焔のストレージに入ってる服に着替えようとしたけど、いきなり服変わってたら不自然じゃない?」
「あーまぁこの状況じゃあ不自然か」
「なら仕方ない。とりあえず今日は服はそのままで下着だけ着替えるとしよう」
そうして私たちは焔に全員分の下着を出してもらいそれぞれシャワーを浴びた。
「いやー、流石にプールのシャワーだから少し冷たかったねー」
「でもまぁ二日ぶりにシャワーを浴びれたのは良かったよ」
「そうだ焔、なんか髪を乾かす魔法とかない?」
「あーそんなくだらないことに魔法を使おうとするなよ」
「出来るの?(圧)」
「一応出来るにはできるけど、、」
「じゃあよろしくー」
沙莉の猛攻に屈し、焔はため息を吐いていた。
そんな時、
「あれ皆さん何をしているんですか?」
副校長先生が声をかけてきた。
「あっ、えっと、これはちょっとシャワーを浴びてまして」
「あーなるほどそういうことでしたんですね。でしたら二階の職員室にドライヤーがあるので是非そちらを使って下さい」
その時私はもしかして会話の内容を聞かれていたか心配になった。
「そ、そうなんですかありがとうございます」
「えっ、えっと副校長先生はこちらで何をしていたんですか?」
「私ですか、私はちょっと見回りをしていました」
「見回りですか」
「えぇ。あなた方のように逃げてきた人がいないか、壊れているバリケードがないかとかですね」
「あーなるほどそうだったんですか」
「他にもゾンビの生態について色々観察したりとかしていますね」
「副校長先生は真面目というか責任感が強いんですね」
「いやいや、私は校長に影響されてこのような災害に陥った時の対応が身に染みてるんですよ。それに私は空手の黒帯も持っているのでいざゾンビと戦うってなっても多少なら大丈夫なんですけどね」
何だかこの副校長先生凄いな。焔達は特殊な力がかるから強いけれど、この人は何も能力がないのに強い。
「そ、そうだ副校長先生」
「ん?何ですか?」
「俺達も多少なりとも外で生き延びてきたんです。先生が持っていない情報も持ってるかもしれませんし、その情報交換しませんか?」
「情報交換ですか、いい提案ですね。では皆さんが髪を乾かしてきたら早速やりましょうか」
こうして私たち五人と副校長先生の情報交換が始まった。
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