第10話 車探し大会

さて、皆んなでキャンピングカーを探すことになったけれど、、、


「これどうすればいいのー!」


冷静になって考えたらキャンピングカー自体を見つけるのは駐車場に行けばすぐ見つかるだろうけれど、鍵がない。


「落ち着つけよ草乃、騒いでもしょうがねぇよ」


因みに私一人で探すのは危険だから私だけ蒼雷と一緒である。


なぜ蒼雷かと言うと、一緒にいて一番安全そうだからである。


沙莉は爆発に巻き込まれそうだし、焔は魔法に巻き込まれそうだし、光は変身中に私がゾンビに襲われちゃいそうだから。


その点蒼雷は念力でゾンビを遠ざけるだけにすれば私に何の被害もこないし、すぐに対応出来るしね。


「落ち着けって言われてもさぁ、鍵を持ってる人をどうやって特定するのさ」


「さ、さぁ?」


あーあダメだこりゃ


「特定するっつたって、そもそも鍵を持ったゾンビが炎に焼かれたり、メリーゴーランドの下敷きになってたりしたら鍵、ぶっ壊れてんじゃねぇの?」


「あぁーーーー、どうしよ」


もうダメかもしれない。これは歩き、自転車で旅をすることになるかもしれないなこれ。


「うーんここで探しても見つかんないし、道路の方に出て鍵差し込んだままの車探すのが一番かもなぁ」


「それは一理あるかもな。よし、道路の方へ向かってみるか」


私たちは駐車場を出てこの遊園地へ向かう道路を見に来た。


「ん?あれ、光と焔じゃない?」


「あっ、ほんとや」


道路の先に異様にはしゃいでいる光と焔を見つけた。


「光!焔!」


私の呼び声に気付いて二人がこちらを向いた。


「あれ?草乃のと蒼雷じゃん」


「ちょうど良かった探しに行く手間が省けて」


何のことだろうと私たちは二人に駆け寄った。


「二人とも何か見つけたの?」


「あぁ見つけたんだキャンピングカーを」


「えっ?ほんとに?」


そうして二人に連いていってみると、道路の脇に一台のキャンピングカーがあった。


「凄いじゃん二人とも」


「やるなぁお前ら」


「勘違いしないで欲しいけど先にこれを見つけたのは光だからね」


「いやいや、でも近くに落ちている鍵を見つけたのは俺だろう?」


二人の成果の取り合いが始まった。


「まぁ何より見つかって良かったよ」


「よし、早速沙莉を連れてきて出発しようぜ」


「あーあのそのことなんだが」


「このキャンピングカーもうほとんどガソリンが残ってないんだ」


「えっ?それじゃあ意味ないじゃん!」


「喜んで損したわ」


「おいおい、待て待てって、ガソリンがないから蒼雷を探してたんだよ」


「なぜに俺?」


「蒼雷に念力でこのキャンピングカーを浮かせて移動してもらうからだよ」


••••


「なるほど!その手があったのか」


「た、確かにそれなら可能だな。長時間は無理でも、この山を降りて、ガソリンスタンドに行くまでぐらいなら休憩一回あれば余裕、何なら休憩なしでも行けると思う」


蒼雷は自分で動かしてやるって言う発想でなかったのか。一番その超能力理解してるはずなのに。


「まぁ何はともかくこれで旅の足確保完了だね」


「よし、実験がてら皆んなでこれに乗って沙莉のとこまで移動しよう」


皆んなでキャンピングカーに乗り込んだ。


「結構新品っぽいね」


「五人ぐらいなら余裕で暮らせるね」


「さて、皆んな出発するよー」


「りょーかい」


そうして蒼雷が超能力を発動するとゆっくりとキャンピングカーが浮き始めた。


「うぉースッゲェー、空飛んでるぜ」


「なんかネ◯バスみたいだね」


「案外難しいなこれ」


何やら蒼雷は苦戦しているようだ。


「真っ直ぐに持ち上げて平行に移動させんのは結構むずい。感覚としては定規も何もなしでずれないように真っ直ぐ線を引く感じ」


「あー確かにそれはむずいかも」


「まぁ慣れれば大丈夫になるか」


そうしてゆっくりとキャンピングカーは空を飛んで集合場所へと向かったのであった。

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