【第三部 ①】 香緒里ちゃんふたたび…
〈第二部までの話〉
突然おかしな言動を取って、夫婦生活を拒否しだした悪友秋男の後輩の嫁、田仲香緒里ちゃん。俺(三月)は、田仲(直哉)や俺の嫁の沙織の後押しを受けて香緒里ちゃんを抱いた。
明らかになる香緒里ちゃん大学時代の屑な元彼との約束、そして薬物犯罪。でも、全てが解決して良い方向に向かい始めた…と思っていたんだけど。
【プロローグ】
香緒里「何かすみません…また、こんなことになっちゃって…」
「うん…」
香緒里「で、でもっ!元はと言えば、三月(みつき)さんも悪いんですよ!は…速見先輩まで巻き込んで私を攻めて…それで私が乱れるのを直哉さんに見せちゃうから…」
香緒里ちゃんがモジモジしながら、アワアワ話し続けている…可愛いなっ!
…だけど、まさか香緒里ちゃんと再び肌を合わせることになるとは…
【秋男の病室】
香緒里ちゃんの釈放後、田仲夫婦は直哉の実家のある田舎に引っ越して新たな生活をはじめていた。一度、ゴールデンウィークを利用して、沙織や一人息子の優と田仲のところを訪ねたんだ。全てのしがらみから解放された香緒里ちゃんは晴れやかな表情で輝いていてね。沙織も交えて一悶着はあったんだけど、まあ、後は直哉とお幸せに!って感じで別れてたんだよね。
あれから四ヶ月…俺は外科病棟に移った秋男の病室を見舞いに訪れていた。
俺の公私ともの相棒で、俺と沙織の実質的な仲人の秋男。こいつの潰瘍性大腸炎は内科的治療では改善せず、この時は外科手術を終わらせてのリハビリ中。「人工肛門もやっと慣れてきた」とか言っている時だった。
「秋男…お前いい加減にしろよな!」
秋男「な…なんのことかね…三月くん」
「おめえの嫁のことだよ!」
(画像は、三月言うところの「おめえの嫁」)
https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093079795280309
秋男「……」
「もう籍まで入れたんだろ?紹介して貰えると思ったら早々に病院も辞めさせてるって…どんだけ俺たちに会わせたくないんだよ!」
秋男「いゃあ、やっぱり情報統制は大事だかんな。危ない橋は出来るだけ避けないと」
「……」
秋男「お前、速見に『ひとみさん事件』の存在、ばれちゃったんだろ?」
「…ばれたよ、死ぬほど追及されたよ!何度も寸止めして黙らせて…もう何度も何度も…沙織のやつ最近はそれを楽しんでるような…元はと言えばお前が!」
秋男「あ~そういえば実乃里、ご懐妊だってさ」
「ぶ~~~っ!」
秋男「まだこの話…する?」
ちっくしょう!どうにもこいつには、口と頭じゃ太刀打ち出来ない!
苦虫を噛み潰していると、ふいに携帯が鳴った。
「…沙織からメールだ」
秋男「へ~、速見のやつ、見舞いに来る気かな?」
「来るみたいよ、ほれ」
秋男「何これ…『みっちゃん!緊急事態!今からそっちいく』…って何か心当たりある?」
「さあ、もしかしてあいつ急に仕事で三週間の海外出張が入ったとか…言ってて何だが許せんな!!三時間くらい寸止め地獄に…」
秋男「…お前の悪事がバレただけじゃないの?」
(ガチャ!!)沙織が入ってきた、早くない!?
沙織「みっちゃん、大変!田仲のところ離婚の危機」
秋男・三月「またかよ~~?」
―
―
―
「『直哉さんに耐えられません助けてください』…このメール何?」
沙織「きっと、DVの相談よ!」
秋男「……」
「…………」
秋男「―田仲だろ?ありえんだろ…」
「あいつ、虫も殺せんだろ…何してんの?沙織」
沙織「メール…さっき声掛けた達也に、さっさと来いって催促」
秋男「お前…達也まで呼んだのか!?」
沙織「だってあいつ、こういうの得意分野でしょ?」
そう言って何故か、胸を張ってどや顔の沙織。
※国見達也くんは、秋男や沙織の元部下・田仲夫妻の同期。そして今は独立して興信所の所長さん。
沙織「それに香緒里、もうここに来ちゃうし」
「はあっ!?」
(ガチャ!)ま…まさか?
達也「ち~~っす!速見先輩~俺も一応事務所の所長なんすから忙しいんすよ!」
沙織「旧友田仲ん家の危機だよ…大人しく力貸せってば!」
達也「へいへい…そう言えば田仲から…『香緒里を匿っているだろう素直に返せ!』…とか、変なメールが来てたんで、『知らんわボケ!』って返しといたんですけど…何かあったんすか?」
沙織「良いね…達也!グッジョブよ!」
(ガチャ)
香緒里「こ……こんにち…は」
一同「…香緒里ちゃん!?」
香緒里ちゃん再び…トラブルとともに…
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