【第二部】 第8話 真実
【寝室】
香緒里「あ…あ…三月さん…一度、外していただけますか?」
「駄目だ」
香緒里「あ…ああっ!」
「…そのまま話すんだ」
香緒里「は…はいぃ…」
そうすれば俺は、彼女の収縮で…嘘が分かるから。
香緒里「…そうです。私は東南アジアの文化に引かれて何度も現地に行っていた。彼は東南アジア方面の運び屋が欲しかった」
ゆっくりと…ゆっくりと刺激を続ける。
香緒里「あ…か…彼はそのためだけに私を堕とした。何度も何度も犯されて…わ…私は彼の道具になった。何度も何度も…呼び出されて…当然のように生で注ぎ込まれて…」
香緒里「三月さん…私…あの時、二回堕胎してるんです。堕ろしては妊娠して…もう…自然妊娠は難しいって…」
「…だから…今回も生でと言ったのか…」
香緒里「…はい…あ!あぁっ!」
香緒里「はあ…はあ…それでも私は満たされていた…彼から…彼のもたらす快感から逃れようとは…思わなかったんです」
香緒里「あの日、彼は捕まった。でも彼は私だけに伝言を残した。覚醒剤の海外輸出入の時効は15年。それが過ぎたら迎えにいく。インドネシアに行って…一緒に暮らそう…と。私の時効はあと一週間後なんです」
俺は動きを止めた。そして真っ直ぐ彼女を見た。
「それは…その約束は…君にとって田仲との未来よりも大事なものなのか!」
香緒里「…まさかです…」
香緒里ちゃんが首を降る。
香緒里「私は直哉さんが一番大事です。…でも…今あいつにあってしまったなら、私には二つの未来しか浮かばない…」
香緒里「あいつを殺す!…でも…そうしたら私は殺人者。…もし殺せなかったら…そうしたら私は…またあいつに絡め取られて…」
香緒里ちゃんは泣き出した。
香緒里「直哉さんにこれ以上無い裏切りをして…私はきっと薬物犯罪者になっちゃう!どちらにしても…もう…私は直哉さんと一緒にいてはいけないの!!」
俺の腕の中で…繋がったままで…彼女は泣き続ける。
その言葉は…紛れもない…真実だった。
「…香緒里ちゃん…」
香緒里「…え?…あっ…」
どれくらいたったのだろう、俺は彼女から離れた。
そして、泣き続ける香緒里ちゃんに回答を告げる。
「あいつは捕まったんだ…ほんのついこの間だよ。新たな薬物を輸入しようとして…失敗したんだ」
それは達也が…本当に先ほどもたらした情報で…
香緒里「……え?」
達也が約束通り、香緒里ちゃんの過去を調べあげて…あいつは…香緒里ちゃんの葛藤を…ほぼ正確に読み当てていた!
「君の話とは全く関係無く彼はまた捕まって…営利目的の二回目逮捕だ、暫くはシャバには出てこない」
香緒里「……」
「君の昔の過ちは後一週間で時効だ…だから…あとは田仲を大事に生きていけば良い…」
香緒里「……」
香緒里ちゃんは話さない…時間が流れていく…
俺は…待った。
―
―
【リビング】
田仲「す…すみません、先輩。変なこと聞いてしまって」
沙織「良いよ。それがお前だ…」
田仲「ヒドイっす!」
沙織「ヒドイ?誉めてるんだよ(笑)」
田仲「?」
沙織「秋山先輩とよく話していた。先読みの達也・鈍感力の直弥ってね」
田仲「鈍感力って…」
沙織「…直哉…人はさ…間違えちゃうんだよ。聡いやつはさ…それを許せるかもしれないけど…忘れてはくれないんだ」
田仲「速見…先輩?」
沙織「…直哉、お前は気にしないだろ?香緒里の過去を」
田仲「…はい」
沙織「…それが…どれだけ香緒里にとって救いになったか…まあ、お前には分かんないか!(笑)」
―
―
【寝室】
香緒里「三月さん。私、明日、自首します」
「何で!!」
香緒里「罪は…罪ですよ。私はやっぱり直哉さんにはふさわしくないんですよ。私は…直哉さんのおかげで15年間…良い夢を…見れたからっ!」
三月「ばかかよ!」
香緒里「…三月さん」
「何だよばか!」
香緒里「速見先輩にヒントを伝えました」
三月「……」
香緒里「…私が元彼に何をされたか…三月さんには分かりますか?」
三月「…ああ」
香緒里「……」
「…子⚪セッ⚪スだ」
香緒里「…はい」
「信じられないよ。当時大学生の君が⚪宮セ⚪クスに適合するなんて話…あれは経産婦じゃないと」
香緒里「……」
「俺が初めてやったのはやっぱり大学生のときだ…偶然入って…当時の彼女は…狂ったように逝きまくって…それからしばらく行為が出来なくなった…痛みが引かなかったんだ」
香緒里「やっぱり…出来るんだ…三月さん」
香緒里ちゃんの目に…狂気が…
香緒里「お願いです。警察に行く前にもう一度…もう一度だけ…」
「…どうしてもか?」
香緒里「お願い…身体が覚えてるの…忘れてくれないの!」
「…分かった…覚悟しろよ…」
香緒里「…はいっ!!」
【リビング】
「ぁぁぁぁあ!!!」
「や゛ぁぁぁぁあ!!!無理!!」
「や゛め…で、あ!!!!!」
「ぃ゛ゃ゛…ぅぁ…きゃぁぁぁぁあ!!」
田仲「!な…にが…さっきまでは、普通に…それもやだったけど…これは…これがあの時の声なのか!?」
沙織「……」
異質な…異質な声。どんなことをされたら、香緒里の涼やかな可愛い喉がこんな声を絞りだすのか…私にも全く見当がつかないけど…多分…
沙織「これが…みっちゃんの本気…」
田仲「え…」
沙織「もう…やだあ!(泣)」
田仲「……」
「はぁ、はぁ、い゛や゛ぁ!!!…やめ!!!…はぅ!…きゃぁ!!…う゛う゛」
「ぃやぁ!…あ゛…が、ぃ゛…ゃ゛…」
あまりの異様さに、私は耳をふさいだ。
だけど、その音は私の心に容易く侵入してきて。
田仲はもはや、部屋の一点を見つめたまま微動だにせず…。
やがて…断末魔のような香緒里の…絞り出すような【音】が響きわたって…
田仲「…」
沙織「……ばかっ!」
そして…静寂が…辺りを…支配した!
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