第15話 お別れは突然に

『赤毛のアン』を読んでいます。アンは、身寄りがなくて寂しく暮らしてきたけれど、いつも小さなことに喜びを見つけようとします。友だちがいないと悲しむのではなくて、自分の心のなかに友だちを作ったりする。


アンが生きた時代は今とは全然違って、とても不便。電車もたまにしかこないし、お店も少ししかない。おしゃれなんか殆どできないし、食べるものも質素そのもの。スマホなんか夢にも考えられない。だから、そんな時代にいきたアンは不幸だったのかなと最初思いました。


でも、そんな暮らしの中にも、楽しい友だちとのおしゃべりもあるし、今とは違うけど勉強も大切。結局、今に生きている私と、やってることはあまり変わらない気がします。というか、物や周りの人たち、情報やニュースも少ないから、一つ一つの出来事を見つめて考える時間が今よりもある。


今は、スマホ見てると、私がほしいと思わなくても新しい情報が向こうからやってくるイメージです。可愛いファッションを、あれかこれか選ぶのは楽しいけれど、ありすぎると逆に選ぶの難しかったり、時間がかかったりする。今日は何食べようかしら、どこに遊びにいこうかしら、どこの大学にいこうかしら、どんな勉強しようかしら・・・


選ぶためにたくさんの情報を集めることに時間がかかる。選ぶためにすごくエネルギーを使うのよね。楽しいこともあるけれど、複雑すぎて困ることもある。自分にとって一番良いものを選びたいという気持ちがとても強い。一言でいうと、余裕がないということかしら。


1つ買うともっといいものがるような気がして、もっと欲しくなる。かわいいアクセサリーを1つ買っても飽きちゃってすぐ次のが欲しくなる。ということを繰り返しているから、いつの間にかたくさんたまってる。そして使ってるものなんかほとんどない。必要じゃないのに欲しくなっちゃう。そして手に入れてもあまり大切にしない。


アンの物語を読んでいると、それでいいのかしら、と考えさせられるわ。自分にとって大切なものはなんなのかしら。物がたくさんあること、友だちがたくさんいること、テーマパークに何度も遊びに行くこと、ではない気がしてくる。


アンは道に咲いている小さな花にも気がつきます。そしてその花に、小道や小さな池にも名前をつけて大切にするのね。私は最近スマホを見る時間が長くて、道に咲いてる花なんか見なくなってた。電車に乗ってもスマホ見てるから、景色や周りの人の様子にも関心がないのよ。友だちと一緒のときも、話しているよりもスマホ見てる時間が長かったりする。


何を見てるかと言うと、私はショッピングが多いわ。ゲームしてる人も多い。LINEで誰かとおしゃべりしてることもある。必要ないもののショッピング、ゲーム、他愛のないおしゃべり、そういうことが楽しい・・・。


そんなふうに考えると、なんか悲しくなってきたわ。アンの住んでいたプリンスエドワード島に行って、彼女が大切にしていたものに会いたくなりました。


でも、今すぐ行けないわ。行けないけど、自分の周りの景色をみることはできる。早速学校にいく道すがら、足元に咲いてるたんぽぽや、名前は知らないけどピンクの可愛い花を見つけて嬉しくなりました。近所の桜並木は、桜の季節にはキレイだな~と思って眺めるだけだったけど、今の季節にも葉っぱが茂って日陰を作ってくれるやさしい存在だと気が付きました。


私は友だち少ないかなと、ちょっと不安だったけど、今の友だちを大切にしようと思うようになりました。もっともっと、と思って目指すことも大切だけど、そればかりだと幸せじゃないわ。今あるものも忘れてはいけないのよね。


だって、お別れは突然にやってくるのだもの。もっと会えばよかった、もっとお話しすればよかった、もっと楽しい時間を一緒に過ごしたかった、そう思ってももうできないときがくる。そのことを忘れちゃいけないと思います。



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