第16話 星の童話
最初の出会いは、ありきたりなシチュエーションだったけど、私の感じ方はちょっと特別でした。
どう特別かって言葉では表現しにくいんだけど、初めて見たときに「この人はほかの人と違うわ」そんな感じがしました。なんとなく懐かしいような感じ、とでもいうような雰囲気かしら。
同じサークルにいても、たまに顔を合わせるくらいで二人だけでお話したことなかったのに、みんなの中にいて、彼だけがなにが違う色に包まれているように見えました。彼には私がどう見えていたのかしら。
もしかして私たちって・・・・・
ずっと昔、宇宙の他の星で会っていたのかもしれません・・・・・
これは、地球からはずっと遠い星の、ずっと昔のお話です。
二つの魂は夫婦として愛し合って暮らしていました。優しく美しい2つの魂でしたが、それぞれの生命の終わりを迎えたとき離れ離れになりました。そしてお互いを探し求めながら、広い宇宙をさまようようになりました。
とても一生懸命に、長い長い時間探し求めました。
そして、もう出会えないのかもしれないとあきらめかけたとき、2つの魂は地球に人間として生まれました。そして全く違う場所で、違う生き方をしてきた二人が、やっと出会う時がきました。その出会いは、宇宙の神様が決めていたことなのか、それとも2つの魂の運命なのか、または全くの偶然なのか、それとも3つの重なり合いなのかもしれません。
この地球だけでも何十億という人間がいます。広い宇宙を見渡せば無限に多くの魂が存在しているでしょう。すれ違う人は多いけれど、そのなかからたった2つの魂が出会うことは奇跡のような出来事です。
長い時間探し求めていた相手にやっと出会えた・・・その喜び、幸せ、感動、驚き、そして今まで離れ離れだったことの悲しみ・・・言葉では言い表せません。
自分よりも大切なもう1つの魂の幸せを祈ります。相手の魂の喜びは自分の喜び、相手の魂の悲しみは自分の悲しみ。
言い表せないほどの深いものに包まれた二人は1つになりたいと願います。その強く深いものに導かれるように、1つの魂が、もう1つの魂の持つからだの中に入っていく。そして1つなろうとする。
もう2度と離れ離れにならないように、これから永遠に一緒にいられるように、二人の思いは1つになりました。そしていつか、二人一緒に懐かしい故郷の星に帰りましょう。
でもその前に、二人が地球に生まれてきたことにはなにか意味があるはず。この地球でやらなければならないこと、経験しなければならないことを見つけてやり遂げましょう。
・・・・童話はおわり
そして、終わりは現実の始まりです
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