第4話 勉強にはうんざりよ
今は一般教養というのかしら、大学によって違うみたいだけど、とにかく広く一般的なことを勉強してるらしい。らしいって書いたのは自分でもよくわからないから。
大学で勉強することって、学者さんになるなら別だけど、社会に出てから役に立つことあるのかしら。
本なんか読まなくても、経験が大事という人もいるし、たくさん本を読まなければいけないという人もいる。私はどっちのタイプなのかしら。
何のためかわからないこと勉強するよりも、資格を取ったりするほうが、これからの役に立つんじゃないかと思う。でも、どんな資格を取れば役に立つの。今考えてるのはとりあえずパソコン関係、あとは簿記とかがわりと取り組みやすそう。就活にも役立ちそうだもの。
もっと専門的に社労士とか司法書士とか、心理学のこととか、調べたらいろんな資格があることがわかってきた。その他医療や保育、教育に関することとか、今は資格がたくさんあるのね。ありすぎて困るくらいだわ。
それぞれどれくらい勉強すればいいかとか、受験料なんかもネットで調べればわかる。とりあえずあまり難しくないものを、なにか一つ始めてみようかしら。
でもやっと受験勉強から開放されたと思ったのに、テストからは逃げられない現実にうんざりしてるところよ。
テストで点数つけられたりしない、うんざりしない勉強ってあるかしら。今日の授業で先生が「答えは一つじゃないよ」って言ってたのが気になってるの。正しい答えを探すのが勉強だと思ってたわ。だって、テストでは必ず正解と間違いがあって、正解を選ばないと点数くれません。
でも私正直言うと得意じゃないです。特に選択問題だと、あれもこれも正解のように思えて一つに決められない。周りのみんなは素直に正解してるけど、私は疑問に感じて結局間違っちゃうことがあります。
例えば、今度渋沢栄一先生が一万円札になるでしょ。それで論語に興味を持って勉強しています。テストで、孔子の教えを広めたのはだれですか?という問題があって、弟子、孫弟子、友人、・・・とか選択肢がありました。正解は孫弟子なんだけど、私は、孫弟子も弟子の一部なんじゃないって考えちゃうの。それで弟子って答えてバツだったんだけど、納得できないわ。
どの資格をとればいいのか、それも正解はどれかを選ぶのと同じ考え方だわ。きっと正しい選択があるはずと思ってたけど、ちょっと違うかもしれない。世の中の資格全部取得することは不可能だから、自分で選ばなくちゃいけないのよね。先生とか親に選んでもらえると楽なんだけどな。自由に選ぶのって以外に難しいものね。
今は簿記が自分的には第一候補だけど、まったくやったことないから私にできるかしらって不安もある。全然できなかったらどうしよう。できなくて友だちに、こんなこともわからないの~って笑われたらどうしよう。途中で挫折するなんていけないことだわ。色々考えてたら怖くなってきた。
新しいこと始めるのって勇気がいるのね。
勇気を出して先生に相談してみました。勇気って大事だわ!
先生はチャレンジしてみればって背中を押してくれました。そうよね、新しいことをすることはチャレンジなのよね。どんな小さなことでも始めたり止めたりするのは勇気がいるわ。簿記の試験は1回で合格しなければならない入学試験と違って、何度でも受験すればいいから、たとえ1回目が駄目だったとしてもまた勉強続ければいいよって言ってくれた。それに誰にも迷惑かけないわ。
でも、なんで簿記の勉強しなくちゃいけないのかしら。そこが問題です。合格した次の日から便利に使えるものでもなく、履歴書には書けるけどそのまま仕事にできるわけでもない。もちろん合格してもお金もらえない。だったら止めてもいいじゃないとも思うけど、なんだかやらないことに違和感があります。そうじゃないよね、なにか意味があるんじゃない、という感覚的な違和感。
どんな意味があるのか、先生は勉強してみるとわかるよ、って言ってました。今まで知らかなったことを知ること、できなかったことができるようになることで、世界の見え方が違ってくるんですって。それはとても楽しいことなんですって。
そしてそれは、資格取得のためではない、大学の他の勉強についても同じように言えることなんですって。
資格を取ること、単位を取ることが目的で勉強するんだけど、それ以外にもっと大切なことがあるらしい。勉強するのは点数をもらうためだけじゃない。だから、点数もらわなくても知りたいことや、なぜだろうって思うことを調べたり考えたりすることが勉強。でもそれは、先生から教えてもらえるものじゃなくて、自分で経験して感じなければわからないこと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます