第一章―試験召喚戦争編―

第一問

第一問


秀隆が下駄箱に行くと、知り合いの少年が同じように下駄箱に靴を入れているとこであった。


「お、明久。お前も今来たのか」

「あ、秀隆。おはよう」


 少年の名は『吉井明久』。優しそうだがどこか螺子が1本外れたような抜けた顔をしている。秀隆と明久は1年生の時からの付き合いである。


「相変わらず眠そうだね」

「『眠そう』じゃなくて『眠い』んだよ」


明久が苦笑いをして言うと秀隆はそれに欠伸をしながら答えた。


「それにしてもさっきの部屋すごかったね」

「Aクラスだろ。確かにあれは凄いな」


明久がついさっき通り過ぎたAクラスの設備をみてそんな感想をもらした。Aクラスの設備は普通の5、6倍の広さはある面積の教室に、巨大な液晶ディスプレイの電子黒板、天板の2、3倍の面積はあるシステムデスクに椅子はリクライニングイシート、さらには個人エアコンに冷蔵庫。もはや教室ではなくどこかのホテルかと思われるくらいの設備であった。


「あの様子じゃ机にクイズ番組ばりのタッチパネルやモニターなんかがありそうだな」

「かもね。もしかしたら挙手の変わりに早押しボタンなんかもあるかも」

「さすがにそれはないだろう。だがもしそうなら、Aクラスになったら文化祭の出し物はクイズ大会で決まりだな」


などとたわいもない話をしながら歩いているうちに目的の教室に着いた。


「……Aクラスに比べるとひどい差だね」

「……比べなくても普通に酷いぞ、これ」


2-Fと書かれた(良く見たらEの上にFと書かれた紙を張っている)木製のプレートはほぼ割れかけで、廊下から見える窓やドアのガラスはヒビだらけ。まるで廃屋のような有様である。


「立ち止まっても仕方ない。入るか」

「そうだね。せめて入る時くらいは元気よくいこう」


見るからに建て付けの悪そうな戸を開くと……


「早く座れ、この蛆虫野郎共が!」

「黙れ、ボウフラ」


入ってきたばかりの二人にいきなりの罵声。しかし秀隆も瞬時に罵声で返していた。教壇には教師ではなく、彼らと同じ文月学園の制服を着た男子生徒が立っていた。


「……何をしているの、雄二?」


明久が教壇に立っている彼らの悪友、『坂本雄二』に問いかけた。180cm強と身長が高く、細いが格闘家の様に筋肉質な体つき、顔は端正だが目に野性味にあふれ、赤くて短い鬣の様な髪型をしている。


「ああ、担任がまだ来ないから俺が変わりに教壇に上がってみた」

「何で雄二が?」

「そりゃ俺がこのクラスの代表だからな」


明久の問いに事もないように雄二が答えた。文月学園一年生のクラス、およびクラス代表、要するに学級委員長は、入試の点数で決まる。高得点者の上から順にAクラス、Bクラスと振り分けられ、そのクラス中で最も点数が高かった者が代表となる。代表と言えば聞こえはいいが、そこは最下位のFクラスなので代表とはいえ決して褒められたものではない。


「さすが腐っても元神童だな」

「……お前に言われると嫌味か皮肉にしか聞こえんな」


雄二がジト目で秀隆を睨む。対して秀隆はさも当然という顔をしていて全く意に介していなかった。雄二は小学校時代には神童として有名だったが中学になって喧嘩にあけくれ『悪鬼羅刹』とまで言われるようになった。実は秀隆も雄二と中学時代にひょんなことから喧嘩しあってきた中である。結果は互角であったが。


「それに本来なら代表はお前のはずだしな」

「そうだね、秀隆は成績いいしね」

「よせよ。高校の成績なんて社会に出たら何の役にもたねえよ。それに、それを言ったら本来俺はここじゃなくてBクラスだ」


雄二の意見に明久が同意を示すが、秀隆の反応はあくまで素っ気ないものだった。


「えーと、ちょっと通してもらえませんかね?」


後ろから声に三人が振り向くと、眼鏡にスーツのなんだか頼りない感じの初老の男性が立っていた。どうやらこの人が担任のようである。


「あ、すいません」

「すんません、今どけます」

「へーい」


席に着こうとした秀隆だが自分の席が分らない。雄二に尋ねてみると「何処でも良い」とのことなので明久が窓側の一番後ろ、秀隆がその前に各々鞄を置いて『胡坐をかいて』座った。なぜ胡坐かというと、Fクラスの設備は畳に薄い座布団、卓袱台だからである。さらによく見ると天井の隅に蜘蛛の巣まである始末。先ほどのAクラスと比べると雲泥の差どころか地球と石ころくらいの差である。


「えー、皆さん席に着きましたか? 私が今日から皆さんの担任を勤めることになった……福原慎です。よろしくお願いします」


福原と名乗った担任は黒板に自分の名前を書こうとして止めた。チョークすら支給されていないらしい。


「皆さん、座布団と卓袱台は支給されていますね。何か不備があれは申し付けてください」

『先生、俺の座布団綿がほとんど入っていません」

「我慢してください』

『俺の卓袱台脚が折れています』

「木工用ボンドが支給されているので、後で直してください」

『隙間風がきつくて寒いです』

「分かりました。ビニールとセロハンテープの支給を申請しておきますので自分で直してください。その他にも何かありましたら極力自分たちで何とかしてください」


 生徒の不備の声に返ってきたのは『我慢しろ』、『自分で何とかしろ』という普通の学校では考えられない冷徹な回答。改めてココが学力最低のFクラスであることが実感された瞬間だった。


「えー、では廊下側の人から自己紹介をお願いします」


福原先生の指名を受け1人の生徒が立ち上がった。


「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。今年一年よろしく頼むぞい」


『木下秀吉』と名乗ったのは、とても男とは思えない可憐な容姿をした少年だ。翁言葉に小柄な身長、首まで髪をゆったりと伸ばし前髪をヘアピンで留めている。そんな体格と可愛らしい顔立ちから、周囲からよく女子と見られることが多いのが悩みの種だと本人は言っていた。。


「…………土屋康太」


秀吉の次に自己紹介した相変わらず口数の少ない少年『土屋康太』。小柄だが引き締まった体で運動神経は悪くないが部活には所属しておらず性格も大人しい。しかし彼は裏である『商売』をしている。


「島田美波です。外国育ちで日本語はあまり得意ではありません。あ、でも英語も苦手です。ドイツで暮らしていたので」


康太の次の生徒は女子であった。彼女は一旦区切り一呼吸入れると、


「趣味は……吉井明久を殴ることです☆」


という過激な趣味を告げた。彼女の言葉を聞いた瞬間に明久が青ざめていた。


「はろはろー」

「あう、島田さん」


気さくに手を振ってきた少女『島田美波』に明久は苦笑いで答えた。自己紹介でも言ったが彼女はドイツからの帰国子女だ。赤みを帯びた茶髪をポニーテールにまとめている。少し吊り上った大きな瞳が特徴的で体つきもスレンダーでレベルが高いが、反面少々短気で暴力的であることから男子からはあまり人気がない。むしろ女子からの方に人気があるくらいだ。

美波の自己紹介が終わってからは名前を言うだけの流れ作業の様な自己紹介が進んで行き、一人の少女の番となった。


「私の名前はリリアーヌ・シュトラウスキーです。リリアって呼んでください。合唱部に所属しています。両親は共にオーストリア人ですが日本で生まれ育ったので日本語は大丈夫です。得意科目は日本史と世界史と英語です。あと少しですがドイツ語と英語も話せます。」


少女『リリアーヌ・シュトラウスキー』は合唱部所属ということもあって良く通る声で自己紹介をした。栗色の髪を腰まで伸ばした、小柄で顔つきは幼さを残すが全体的に大人びた雰囲気の少女だ。ドイツ語は両親がオーストリア人であることと美波を意識してのことだろう。彼女がドイツ語を話せるのをしってか、美波が嬉しそうに微笑んでいた。

その後は、また何人かが名前だけを言う自己紹介が進み秀隆の番になった


「神崎秀隆だ。帰宅部所属で、そこの木下秀吉とは幼馴染みだ」

「まあそれなりに仲良くさせてもらっておるぞい。姉上共々の」

『木下優子ともだと!?』


木下優子と言えば、秀吉と瓜二つの双子の姉であり、現在Aクラスに在籍する才女。そんな彼女と幼馴染みであると聞かされたFクラス男子のほぼ全員が嫉妬にかられ秀隆に対してカッターを構える。対して秀隆は何処からか木刀を取り出し、


「ちなみに特技はゲームの技をある程度再現すること。……なんなら一発試してみるか?」


と脅しをかけた。秀隆の雰囲気が一変して鋭いものになったのを感じ、全員カッターをしまい渋々畳に座りなおした。その中に明久が混じっていたが、秀隆はいちいち相手にするのが面倒だったので無視することにした。


「あと言っとくが、秀吉とは親友だがこいつ姉とは顔見知り程度の関係なので誤解しないように」


 秀隆の自己紹介が終わると次は明久の番になり、軽く咳ばらいをした。


「吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んでくださいね♪」

『『『『『『ダーリーン!!!』』』』』』


不快感極まりない野太い声の大合唱が教室中に響く。呼んでくれと言った本人すら吐き気がしてくる程だ。明久は「失礼。忘れてくださいと」と言うとよろよろと席に着いた。


「お前、何がしたかったんだ?」

「何って、少しでも雰囲気を盛り上げて印象を良くしとこうと思ったんだけど……」

「……他にも方法はあるだろうに」


秀隆が明久の自己紹介に呆れていると突然ドアが開かれ、息切れして激しく上下する胸に手を当てた1人の少女が入ってきた。


「お、遅れてすいません!」

『え?』


教室の誰からともなくそんな声が聞こえた。既に始業のベルはなりホームルームの真っ最中。遅刻確定のタイミングであるが、声の主は素行不良な雰囲気ではない。事情を知っているのか、責めるわけでもなく福原先生はホームルームを再開した。。


「丁度自己紹介をしているところです。姫路さんもお願いします」

「は、はい。あの、姫路瑞希です。よろしくお願いします……」


小柄な体をさらに縮めて自己紹介する姫路。ピンク色のフワフワした長髪に保護欲を掻き立てる顔立ちは数少ないFクラスの女子の中でも異彩をはなっている。


『はいっ、質問です!』

「あ、はいっ。何ですか?」

『どうしてココにいるんですか?』


普通に聞いていると失礼極まりない質問だが、今回の場合は無理もない。クラス全員が思っている疑問だからだ。何せ彼女は一年生の時から学年でもトップ3に入る成績の持ち主でAクラス入りは確実と言われていたからだ。そんな彼女が成績最下位の集まりであるFクラスに入ることは正に天変地異といっても過言ではなかった。


「そ、その、振り分け試験中に高熱を出して退席してしまいまして……」


幾分緊張した面持ちで彼女が答えると『なるほど』という意見がちらほらと聞こえてきた。文月学園では試験の途中退席はどんな理由があるにせよ『0点』扱いとなる。体調管理も試験の内という理由だからだそうだ。その上再試験もないので、少し厳しすぎると言えるが、これも『完全実力主義』の文月のルールである。


『俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』

『ああ、化学のだろ? あれは難しかった』

『俺は弟が急に熱をだして』

『だまれ、一人っ子』

『前の晩彼女が寝かせてくれなくて』

『今年1番の大嘘をありがとう』


その様子を見て、秀隆は一言、


「……想像以上のバカ共だな」


それを聞いて明久や雄二はうんうんと頷いた。


「で、では1年間よろしくお願いします」


ペコりとお辞儀すると瑞希は逃げるように、明久と雄二の間の空いている席に座った。今の席順は窓側から明久、姫路、雄二で明久の前に秀隆がいる状態だ。ちなみに秀吉達は、廊下の一番前から秀吉、康太、美波の順で美波の隣にリリアがいる。


「ふぁ。き、緊張しましたぁ」

「あのさ、ひm「姫路」ってちょっと!」


明久が姫路に話しかけようとしたが雄二がさえぎった。明久が雄二をまるで親の敵のように睨んでいる。


「は、はい。……えっと――」

「坂本だ。坂本雄二。ところで体調は大丈夫なのか?」

「あ、それ僕も聞きたい」

「よ、吉井君!?」


明久を見て姫路がこれでもかというほど吃驚した。自分で隣に座っておいてそれはないだろうという気もする。明久はその様子に何か「まずったか」とオロオロした。


「姫路、明久が不細工ですまん」

「俺からも謝罪する。明久がこの上なく不細工ですまん」

「秀隆それフォローになってないよ。そして雄二、貴様にだけは言われたくない!」


が、雄二と秀隆が罵倒したのですぐに明久は二人に恨めしそうな視線を向けた。


「そ、そんな不細工だなんて!  顔のラインも細くてきれいで、目もパッチリとしていて、むしろ――」

「そう言えば確か明久に興味を持っている奴がいるって聞いたな」


雄二の情報に明久がさっきとは打って変わってとても幸せそうな顔になり、瑞希は驚愕し、秀隆は雄二の次の言葉が予想できているのか表情の変化はなかった。だが見る人が見ていたらその表情のごく微妙な変化に気づいていただろう。


「それは「それは誰ですか!?」」


明久の質問を遮って姫路が少しくい気味に尋ねた。年頃の女子だけあってこの手の話に興味があるのか、それとも……。


「確か、久保……利光だったかな」

「僕もうお婿に行けない!」

「行くつもりだったのか……」


久保利光。性別=男。現在Aクラス所属の学年次席である。明久がさめざめと泣いている。逆に姫路は何だかホッとしたようだ。


「おい明久。さめざめと泣くな。どうせ雄二の冗談だ」


明久が泣き崩れているのを見かねて秀隆がフォローを入れた。


「本当?」

「ああ。本当だ……半分は」

「ちょっ、ねえ! 半分って何! 残りの半分は!?」


――パンパン――


「はいそこ、静かに」


――バキバキッ、グシャッ――


「……してください」


福原先生が軽く手を叩くと教卓が音を立てて崩れた。本人は軽く叩いたつもりなのだろうが、壊してしまったのは事実、そのため教室は少々気まずい雰囲気に包まれた。


「……替えの教壇を貰ってくるので暫らく待っていてください」


福原先生が教室を出て行った。


「ねぇ雄二。少し話があるんだけど」

「何だ?」

「ここじゃアレだから廊下で」


明久が雄二を連れて廊下へ出て行った。瑞希が怪訝そうな顔をして見送り、秀隆に尋ねた。


「吉井君と坂本君、どうしたんでしょうか?」

「……さあな。ところで姫路、少しいいか?」

「はい、なんでしょう?」

「と、その前に自己紹介がまだだったな。俺は神崎秀隆。明久や雄二とは1年の時からの、まあ腐れ縁だ。よろしく頼む」

「姫路瑞希です。よろしくお願いします」


お互いに頭だけでお辞儀して簡単な自己紹介。


「で、質問なんだが……お前明久の何所に惚れたんだ?」

「ふぇ?!」


 秀隆の質問に瑞希は変な声を出して驚いた。どうやら図星らしい。


「あ、あの。わ、私は、その、えっと……」

「隠しても無駄だ。明久の隣にほぼ無意識のうち座ったのと、明らかに明久を見る表情からしてバレバレだ。もっとも、本人は気付いてないみたいだがな」

「そうですか……」


瑞希が消えそうなくらいに小さな声で呟いた。初対面の秀隆に気付かれたのがショックだったか、明久が自分の気持ちに気付いてないのがショックだったか。多分両方だろう。


「心配するな。俺からは何も言わないしむしろ応援してやるよ」

「ほ、本当ですか!?」

「ああ」


本当は何だが面白そうな事が起こりそうだからな。と秀隆は心の中で呟いた。


「んじゃ、外の話も気になるから出てみるか」


秀隆は廊下へ出るために立ちあがる。秀吉はそれを見て、幼馴染みの勘を働かせた。


「なんじゃ、またお主ら三人で悪巧みかの?」

「『俺は』んなことしているつもりはねえよ。ま、今回は俺も一枚かむつもりだがな」

「やれやれ……少しは巻き込まれるこっちの身にもなってほしいぞい」

「善処するよ」


秀隆は秀吉の苦言に肩をすくめ、廊下に出た。


「――しかけるつもりだったしな」

「え!? 雄二も?」

「何面白そうな話してんだ?」

「「!?」」


二人はいきなり後ろから聞こえたに驚いていた。


「安心しろ、すぐに分かる」

「そうか。なら代表様の挨拶を楽しみにしとくか」


雄二はニヤリと笑い一言だけ告げた。それを聞いた秀隆は、一言皮肉ると出てきたばかりの教室に戻った。丁度同じくして福原先生が戻ってきたので2人も教室にもどった。


「では最後に代表の坂本君お願いします」

「ああ」


福原先生の指名を受け雄二が教壇にあがる。


「俺がFクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きに呼んでくれ」

「じゃあ……きr――」

「よし秀隆、後で校舎裏に来い。拳で語り合った後、誰から聞いたか洗い浚い吐いてもらうからな」

「やなこった」


 雄二の自己紹介が始まったが、秀隆が揶揄した以外誰も注目していない。代表とはいえFクラスだから所詮はこんなものだろう。


「コホン。さて、ここで皆にひとつ聞きたい」


一つ咳払いをし、雄二がゆっくりと、全員の目を見るように告げた。間の空け方が上手いせいか全員が雄二の方に視線を向けられるようになった。その様子を確認すると、雄二はゆっくりと教室のあちこちに視線を向けた。


ーーかび臭い教室。


ーー古臭く汚れた座布団。


ーー薄汚れた卓袱台。


それにつられて全員が雄二を追うように視線を巡らす。


「Aクラスは冷暖房完備の上に、椅子はリクライニングシートらしいが――」


一呼吸おいて静かに問うた。


「――不満はないか?」

『『『『『大有りじゃあああああっ!!』』』』』


雄二の問いかけにFクラス生徒約50人分の魂の叫びが響いた。その叫びにまるで部屋全体が揺れているようであった。


「だろう? 俺もこの状況には大いに不満だ。代表そして問題意識を抱えている」

『そうだ! そうだ!』

『いくら学費が安いからって、この設備はあんまりだ!改善を要求する!』

『Aクラスだって、学費は同じだろう? この差はあまりにも酷過ぎる!』


教室中から次々に不満の声があがる。確かにFクラス入りしたのは彼らの実力不足とは言え、教室の設備の酷さは度を超えていた。雄二はクラスの反応を見るとニヤリと口の端を少し上げ、宣言した。


「そこで代表からの提案だが……俺たちF クラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」


新学期が始まって早々、Fクラスの試験召喚戦争の火蓋はこうして切って落とされた。

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