第48話:釘パンチ

前回のあらすじ


スカレットがゆめかわ好き面白お姉さんに!?(なってないです)


「まあまあ、その殺意の波動は是非とも相手にぶつけてくれたまえよ」

「ふッ—————、ふッ—————」

『私完全にとばっちりじゃないの!』

「そこはまぁ元々敵同士だし。って事で次ね、スカレットはそれに思考性を与えて相手に届かなくては行けない。使い方としてはエスパーみたいなモンだね、思考の強制。ただし、このやり方の欠点は……………」




「『動くな』」


「「!!」」


相手の女……………とスカレットの動きが止まる。


「自分の行動用の電気信号の一部を、相手に増幅させて与えてるだけだから、自分の動きも制限されてしまうところかな」

「それ、かなり致命的では———ッ!!」


一瞬で行動阻害から解放された女が、スカレットに向かって弾をばら撒く。そのいくつかに被弾してしまい、形勢はやや劣勢と言っていい。


「言っただろう、自分で考えるんだ。そりゃ、戦場で1人だけディベートも並行でやらされてるようなものだしね、苦戦するのも当然だ。そこで……………」


長い白髪に隠されていた、艶やかなうなじを露出させ、小首を傾げながらスカレットに見せる。


「俺と繋がってみろ。有線でも無線でも、好きな方でいい、一つの体に状態を学習しろ」

「……………!!」

『させるかよ!!』

「ほら、豆が飛んでくるミニゲーム付きだ! 楽しんでくれよ」

「わかりましたッ!」


一直線に俺に向かってきたやつ以外は弾かない。当たった弾に何度も体をくねらせながら、スカレットは近づく。


『これでッ、終わりだッ!!』




相手の全部装解放フルバーストモード!


捌ききれない—————











「なら!!」


遠隔でスカレットの意思が俺に繋がる。


「およ?」

「すみませんが、貴女の動き、トレースさせていただきます!!」


「……あぁ、そういうやつね」


俺の視界がスカレットと同期され、無尽に飛び交う弾丸を切断するために腕を振る。


しかし、それはあくまでもだ。俺はただ虚空に対して振り抜いているだけに過ぎない。


そして、その動きを模倣したスカレットが完璧なシンクロを披露し、全ての弾を弾き返す……とまではいかないが、結果的に最小限で済ませた。


……………そうなった理由はわかっている。


「身長がな、足りないんだよ……」


いくらオルターに羨ましがられたとはいえ、スカレットに比べるとまだ低いという……………


「繋ぎます!」

「おう、ばっちこーい」


さて、普段俺がどのようにしてサブメモリーエシルを使っているかをレクチャーしないとな。




「—————理解したか?」

「はい、しかし………今の私には到底無理ですね」

「ゼロからイチに変わったことを喜べよ、取っ掛かりが出来たらあとは早いさ」


「はい—————行きますッ!!」




さて、覚醒の時間だ。




『お前主導にしてたまるかッ!』

「『動くな』」


先ほどと同じ口撃。しかし違うところは……不器用ながらもスカレットには走ることができているところだろう。


『ッ! でも、いくらあたしの動きを止めたって、装甲を破壊できなければ意味ないだろう!!』

「ええ……………だからッ!!」


———ダンッ


発砲。


———ダンダンッ


発砲、次ぐ発砲。


———ダンダダンッ!


発砲、発砲、発砲!


発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲発砲ッ!!!!!




1ミリたりとも乱れない精密な射撃をピンポイントで続け、釘を打つかの如く内部へ浸透していく一発目の弾丸。




『ちょ、待っ———』

「これが……………私の精一杯です!!」


———ダンッ




「終わった?」

「はい」


未だ興奮冷めぬ様子の彼女を見て、一つだけしてやれることがある。


「選別だ、これを受け取れ」

「これは……………!」


ミシックウェポン、ロシア式トカレフモデル万物級電子拳銃ドットノートレーザーピストル


「切り札だ。今使ったら腕がぶっ飛ぶぞー」

「……………大事にします」

「にはは、ニュービーは大丈夫かねぇ?」

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ソシャゲの量産型に転生したので、理想の意味深キャラを演じながら主人公たちを見守ることにする。 涙目とも @821410

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