第21話:大立ち回り
Reader-イエルロ
「ふっ!」
「はぁぁぁあ!!」
—————ギィィィンッバチバチィ!!
開幕鍔迫り合いから始まった私と最強の戦い。5秒に渡って膠着が続いたあと、反発し合うかのように、両者元の位置まで弾き飛ばされる。
「———ッ!」
「にはっ」
不意打ち気味で狙ったコンマ数秒のクイックショットも、同弾線上に微塵のズレもなく合わせられた発砲で相殺される。
「……っらあ!」
亀裂が2メートルを超えるほどの深い踏み込みから繰り出される、右足上段の蹴りに、同じく左足を合わせられ衝撃波がほと走り、積もった雪の表面を揺らす。
「『
「おっと」
軽々と躱してくれるわね!
「———ッ!!」
ファントムソードを逆手に持ち、徒手格闘を仕掛ける。兎月流を使われるよりも先に、少しでもこちら側有利に持ち込む!!
攻め手のこちら側に対し、クロノは受け手に回る。最初こそ私の優勢だったが、クロノの謎の技術で、繰り出した拳一つ一つが引っ張られ、故意的に大振りに変換される。
「ほらよっ!」
斜め上段から掌底の一撃、流れるように右から二撃目を、回し蹴りで終撃を喰らい、壁に叩きつけられる。
一瞬で距離を詰めてきた彼女は私の腕を取り———
「この右腕は捩じ切られる」
「ッ!」
イメージ!!
頭への追撃を首を振ることで躱し反撃を「脇腹が弾け飛ぶ」———ッ!?
—————ドォォォン!!
背に付けた壁を自分ごと吹き飛ばし、猛攻を防ぎながら距離を取る。
「……!」
シャツを捲ると、外部装甲にヒビが入っている!
「はぁッ、はぁ、はぁ、はっ、はあッ」
「まだまだ硬ぇなぁ、イメージと行動を一緒にやるんだよ。みんなやったことあるだろ? 戦隊ごっこ」
「ここは公園のアスレチックだ! 敵を一刀の元に両断し、レーザーライフルで一網打尽! さあ、ロボットに乗り込めー主砲発射ッ!!」
クロノは小さな台を作ると、その上で一通りの大立ち回りを見せた。
「……イメージし難いかい? なら、君の能力について考えると良い」
にははと笑い、私に促す。
「この世界には四つの力しかない。重力、強い力と弱い力、そして電磁気力だ。いいか? 電気の力は世界のほぼ全てに作用する。そう考えたら…………なんでもできる気がするだろ?」
考えろ……考えろ……ッ!
————バチバチバヂバヂバチィィィッ!!!
全身からエネルギーの奔流が、いや濁流が流れ、洞窟中を揺らす。弾けた稲光が氷柱を破壊し、縦に鋭く割れて粉々になる。
「……ラウンド2、ってやつかい?」
「五月蝿い、続き、やろう」
今だったら勝てるよね。
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