故意の死歌
猫墨海月
祈り。
―静寂。
次に、喧騒。
日が消えた街角、宵闇の此処と。
ゆらゆら立ち昇る 。
君はきっとあの町にいるのね。
私にはわかるまい。
断続的な思想の残骸。
君を殺したのは私だ。
ハヤオトメさん、戻ってきてよ。
空気の振動。
微弱な電流。
憂鬱だった。
生価値ない。
空気の冷えた町中で。
君はきっと泣いているんだね。
君を殺したのは私だから。
心臓の音。
硝子のヒビ割れのように、
回る世界。
ぐるぐる上る。
落とし穴の呼吸も聞こえない。
私はきっとあの街にいるのね。
君にはわかるまい。
私を殺したのは君だ。
ハヤオトメさん、戻ってきてよ。
木霊する鮮血。
飛び散った悲鳴。
私が殺したのは君だ。
私を殺したのは君だった。
終わらなかった。
おわれなかった。
静寂と宵闇の意味など。
わかるまい。
私達にわかるまい。
あなたの気持ちなんてわかるわけないだろう。
落ちる音。
溺れる魚がまた一人。
こぽこぽ音を立て溺れろ。
死の海の中で生きていろ。
だって君は、私を殺したんだから。
だって私、君を殺したんだ。
故意の死歌 猫墨海月 @nekosumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます