故意の死歌

猫墨海月

祈り。

―静寂。


次に、喧騒。


日が消えた街角、宵闇の此処と。


ゆらゆら立ち昇る 。


君はきっとあの町にいるのね。


私にはわかるまい。


断続的な思想の残骸。


君を殺したのは私だ。


ハヤオトメさん、戻ってきてよ。


空気の振動。


微弱な電流。


憂鬱だった。


生価値ない。


空気の冷えた町中で。


君はきっと泣いているんだね。


君を殺したのは私だから。


心臓の音。


硝子のヒビ割れのように、


回る世界。


ぐるぐる上る。


落とし穴の呼吸も聞こえない。


私はきっとあの街にいるのね。


君にはわかるまい。


私を殺したのは君だ。


ハヤオトメさん、戻ってきてよ。


木霊する鮮血。


飛び散った悲鳴。


私が殺したのは君だ。


私を殺したのは君だった。


終わらなかった。


おわれなかった。


静寂と宵闇の意味など。


わかるまい。


私達にわかるまい。


あなたの気持ちなんてわかるわけないだろう。


落ちる音。


溺れる魚がまた一人。


こぽこぽ音を立て溺れろ。


死の海の中で生きていろ。


だって君は、私を殺したんだから。


だって私、君を殺したんだ。

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故意の死歌 猫墨海月 @nekosumi

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