第2話

人魚の血を飲むと、永遠の命を授かれるんだって。それを聞いた時から、人魚の血の伝説ってなんかいいな、ってずっと思ってた。一緒にずっといたいと思える人に飲ませたら、相手も永遠に生きながらえながら、その人の構成要素の一部になれる。

王女は王子様といつまでも幸せに暮らしました。そんな話だって、きっと物語が続けば、2人はどちらかが先に死んでしまいました、となってバッドエンドなんだ、と思うと人魚の話は最高の恋愛だった。

人生ハッピーエンドで終わりたい。死ぬなら好きな人を取り込んで死にたい。でも相手に痛い思いはしてほしくないから、私を取り込ませて、忘れられないでいてほしい。記憶から消えても、肉体の構成要素でありたい。


そしたら、ずっといつまでも添い遂げられるでしょう?指輪より、結婚届より、ずっと強固な契り。この世の法律だって、離婚を認めてる。指輪を無くしても、契約が破綻しても、子供がいなくても、GPS 機能なんかに頼らなくても、肉体を共有することで絶対的な繋がりになる。本当は臓器だって共有したい。けれど今時の医療でも、共有は難しい。けれど、肉片なら。せめて血なら。そう思うとどきどきした。

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