無限ループのはてで私たちは
三回目、あえて学校に行かず家で過ごすが、夕方、彼女の母親から彼女が事故死した旨の連絡が、四回目、下校時間をずらすが、また電動キックボードが現れ彼女は轢かれて即死。五回目、学校で彼女を軟禁。しかしながら、ガス爆発が起こり、彼女もろとも即死。六回目、彼女にサボりを提案し、家に来てもらうが、タコ足配線が原因の出火により二人とも一酸化炭素中毒により死亡・・・七回目、学校に長居するも隕石が落ちてきて・・・
無限に続く死の連鎖に私は耐えられなくなってきた。そのため、私は九九九九九回目のループでは、休むことにした。現実逃避をするために図書室で本を読んだり、家で映画を観たり、したのだ。だが、文字も映像も何もかもが、靄がかかっているようで頭に入らない。
その日の夜、私は頭の中の靄の原因を探っていく中であることに気づいた。どのループでも、あの電動キックボードのナンバーを見ることができなかったことを。その感覚こそ今回の感覚に近いことを。
私はそのことに気づいた瞬間、恐怖した。ある仮説に辿り着いたからだ。
これは死に向かう私の脳内で起きている出来事に過ぎないのでは無いかと言う仮説だ。
新しい情報を手に入れようとしても手に入らないのは私の記憶が元に構築された世界での出来事であるからであるのだろう。
冷静に考えてみると、現実でループなんて起きるはずが無いのだ。
私はその現実に気づいて、ひどく絶望したが、同時に希望も沸いてきた。
死んだはずの私と彼女は脳内とはいえ、一分一秒長く、いや、永遠に一緒に時を過ごすことができるのだから。
無限ループのはてで私たちは、永遠の愛を手にしたのだ。
(完)
無限ループのはてで私たちは 村田鉄則 @muratetsu
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