第11話 気絶配信
初心者支援系ダンジョン配信者、モガミの配信の同接数は通常時の数倍にはね上がっていた。
寝落ち配信ならぬ気絶配信もさることながら、ネットで秘かに話題となっていたダンジョンの眠り姫が配信上に映っているとの情報が拡散された結果、人が人を呼びどんどん同接数が膨れ上がったのである。
:本当に寝てても自動で撃退されるんだな、ドロップ品があんなに沢山
:寝てるだけで、自動戦闘って放置ゲーかな?
:てか、眠り姫のあれって、モガミも守ってない?
:守ってるな
:気絶させといて守るってどんなスキルなんだ?
コメント欄は、眠り姫と呼ばれる楓の登場で純粋に盛り上がる者や、楓のスキルを考察する者など様々な層が集まっていた。
そうこうしていると、満を持して楓が目を覚ます。
「はぁ~、ビーチで眠るって以外に乙なものね」
「くぅん、わん!」
「さて、まくらはいつも通りドロップ品を…何か人が寝てるんだけど?」
「くぅん?」
:起きたーー!!
:ようやくか!
:寝袋で隠れててよく見えてなかったけど、美人さんだぁー
:てか『
:一緒におねんね可愛い
楓の姿やまくらの姿を見た視聴者は大盛り上がりである。とはいえこの様子が配信されているとは夢にも思っていない楓は、普段通り寝袋を片付けようとしている最中、変なモノを見つけて動きを止めた。
「何でこんなところで寝てるんだろ? 変なの」
「わん!」
:おまいうww
:こんなところでガチ寝してたの貴方ですよ!
:モガミが可哀想に思えてきたよ
「こういう場合ってどうするんだっけ? 確か彩音は、探索者は自己責任だから放置でいいよみたいな事言ってたかな?」
「くぅん? わんわん!」
「私が寝てるのを見て話し掛けた? なんで?」
「くぅん」
:ワンコ、負けるな!
:【悲報】ペットに正論言われたが全く理解してない飼い主ww
:探索者は自己責任だから、力尽きてるようだったとかなら兎も角、寝袋準備してるこの子相手に話し掛けるたのは何で? と言われればそうなのか?
楓としては純粋な疑問であったが、まくらは怒られたと思ったのかしゅんとしてしまう。
「別に怒ってないよ。でもそうか、私みたいなスキルが無いならここで寝てると危ないか。なら、まくらの影でこの人も運んであげられる?」
「わんわん!」
「ならお願い」
そんな、まくらにフォローをいれつつ、倒れている人を安全な場所まで運んであげることにした楓。
「後で何かあったって言われたら寝覚めが悪いからね」
「わん」
「よし終わったね。じゃあ帰ろっか」
:寝覚め笑
:睡眠の事ばっかだなコイツ
:てか、今の一瞬でドロップアイテムとか消えたんだけど?
:え、あの狼も普通じゃない感じ?
:もしかして、新人探索者が帝王種の『夜狼』テイムしたみたいな与太話流れてきたけど、あれって…
:ってかモガミ消えたから、ドローンが右往左往してるんだけど!
:その女の子についてってドローン
楓だけではなく、まくらの凄さも配信に流れた事で、コメントの流れは一気に加速するのであった。
尚、突然配信主のモガミが影の中に消えた事で、魔力登録していたモガミを見失ったドローンは、その場に留まり続け、その後直ぐに魔力切れを起こしてしまうのであった。それにより伝説となった生配信は終了することとなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます