蛇! へび! ヘビ!!
第19話 伝説の――
狼さん達襲来から数日、夏休みはまだまだ残っているものの、俺はというと対策室絡みのお仕事を数件こなし……、霊や物の怪関係の調査だけならまだしも、傷害事件あった場所での犯人目撃情報集めでの幽霊への聞き込みとか、猫又へのマタタビ調達とか、北海道から旅行に来たコロポックルをフキのある場所に連れていくとか――
「俺は便利屋じゃないですよ!!」
「え? だって便利だろ。お前の能力。五感全てがあっち側とも繋がってるから、普通では難儀な案件もこなせるのは大きいぞ。霊だの妖怪だのと普通に話せるお前は希少なんだ。ナンバーワンじゃなくてもオンリーワンだから良いじゃないか」
現在、スマホにて
「だったら、うちの偽ロリだってできるじゃないですか! あっちに依頼をしてください!」
「見習い扱いとはいえ使える職員がいるんだから、そっちが優先だろ」
この人は、こっちの文句を聞き流してのらりくらりと……。
「コウ、荒れてるね」
「うむ。平和的な仕事な多くて良いと思うのじゃが」
俺の抗議を聞いていたローラと偽ロリは二人並んでソファに座りながら、おやつ中である。
ローラは霊視のコントロールを自分の意思できるようになったので、一時の怖がりが嘘のようにルーシーと仲良くしている。
「良いか? 我々みたいな非公式な組織がこういった活動をしている時は、世の中が平穏だという証拠だ。良いじゃないか。楽して給料もらえて」
「危険が伴う討伐以外は、依頼があった時だけの時給制じゃないですか?」
「それが嫌なら正式に所属すればいい。お前、アイツのおかげで高校以上の学力じゃないか。その意味では学校通う必要ないだろうに」
アイツというのは、対策室の主要メンバーの一人であり、日本に居つくようになってから勉強を教えてくれた人物だ。
「それにな。お前の刀、折れたままだろ? そんな状態で危険度の高い任務をさせるわけにはいかないんだよ」
「むー……。
「霊刀や妖刀なんてものは希少だ。お前なら術だけで化生と戦うのも可能だろうが……、この際だから山籠もりでもしてクマ殺しを目指したらどうだ? そうすれば素手でやりあえるようになるだろ?」
とんでもねーこと言い出したよ
「何年かかるんですか、それは!?」
「お前次第だ。……とまあ、冗談はこの辺にして……だ」
「その刀に関してだが、お前……、一から打った物を使ってみる気はないか?」
「……それこそ冗談でしょう。霊刀なんて短期間で作れるものでもないですよね?」
普通、物の怪や妖怪なんてのを斬れるのは、昔々にそういった連中と戦って力を得たとか、長い年月かけて何かしらが宿るとかが必須条件なのだ。
だからこそ、物質でありながら霊体に干渉できる器物となる。
「
「出雲って……」
島根県の出雲と言えば、様々な神話が今なお語り継がれる地として有名な場所だ。
「そこでな、こんなものが見つかったそうだ」
「これはな――」
今、俺達三人は
少しして、ローラの霊視でもお世話になった彌永邸へと到着する。
「すいませーん!
「今日は大吟醸持ってきたぞい! はよ飲むぞ!」
「飲むな!」
「えー。ちょっとくらいええじゃろ」
などなど、玄関先で騒がしくしていると、家の主が姿を現した。
「よう。功、やっぱり嬢ちゃんの霊視で、お前が面白可笑しい事態になってたみたいだな。神屋から聞いたぜ」
「言わんでください。お願いですから!」
クックッと笑いながら登場した彌永さんだったのだが、さっそく本題に入ろうとしている。
「さて、お前たちの目当てはこれだよな?」
そうして、さっきスマホで見た箱を俺達の前に差し出す。掌に収まるくらい小さな箱だというのに、お札で封印を施し簡単には開封できないようになっている。
だというのに、どす黒く圧し掛かってくるような負のオーラが漏れ出ている。
「本物かどうかはともかく、凄まじいですね。こんだけ厳重にしていても封印しきれないなんて」
「うーむ。現代にもここまでのモノが残っておったとは……」
「いやーなモヤが出てる。嫌い」
俺達は三者三様の所感を述べていたが、彌永さんからも詳細が語られる。
「見つかったのは本当に偶然らしい。その場所で土木作業してた奴らが次々と体調不良を訴えてな。念のため地元の術者が見に行ったら、あんまりにもおっかない気を放ってたもんで、その場で封印したと」
「だとしても、これ本当なんですか?」
「さてな、ただ地元の
この箱の中身。白い石の様な物は――
「これが……、八岐大蛇の骨の欠片だなんて――」
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