ペンションにて

京太、綾香ペンションに走って戻る。


京太と綾香が帰った頃には智、咲はマスクにニット帽を被り、行く準備を整えている。


京太 「おい!、、、、、え?

お前らどっか行くの?てか服着替えた?」

咲 「見つけてきたんでしょどうせ。例の家。」

智 「お風呂に入って、着替えて待ってたんだよ。君たちが行こうって言いだすだろうなと思って。いいよ、行こうぜ」

京太 「おう!話早いな。

しかもたぶん、位置的に300メートルも離れてないんだよ!」

京太 「てかさ咲、なんか声ちがくね?」

咲  「そう?あ、風邪ひいたの。」

京太 「あ、そう。」

京太 「もういい感じに外暗いし、ごはん食べてちょっとゆっくりしたら行って見ようぜ!」

咲 「えーいいよ今から行こうよ」

綾香 「咲!!珍しいね!いいね!!」

綾香 「はい!智は?

行く気満々じゃんその恰好」

智 「おう」

京太 「おっし」


向かった家にて

京太 「ここ、、、だよな」

智 「なんか、すごく不気味だよね」

咲 「ふーん、こんな感じなんだ。」

綾香 (笑いながら)「入ってみる?」

咲 「いいよ」

京太 「二人が行くなら俺も入ろ」

智 「僕はここで待機してる」

京太 「いこーぜここまで来たら!」

智 「いや、いい」

京太 「なんだよまじで」

咲 「いいよ無理して行かなくて。3人で行こ」

家の中を一周して3人出てくる。

智 「どうだった?」

京太 「なんか、びっくりするくらいなんにもなかったな」

綾香 「ね、がっかり」

綾香「あと家の中すっごいきれいだった。なんか、勝手にもっと散らかってる感じ想像してたけど」

咲 「きれいすぎて、、、、住んでもいいかも、あたし。」

智 「住む?一緒に、あはは」

2人で笑い合う

綾香 (若干引き気味に)「一家が自殺した家だよ?住みたいとまでは思わなかった。」

京太 「まあ、無事帰還できたし、戻ろか」

一行はペンションへの帰路につく。夜はかなり深まっており、お互いの顔はよく見えない。


4人でペンションまで歩いて戻っている。夜の森の中。

咲が急に話し出す。


咲 「それにしても、すごいきれいだったよねあの家。リビングとか。

家具とかも全部元の位置にあったし。ぜんぜんみだれてなかった。」

智 「庭に、焼いた後はあったけどね」

咲 「ああ、あったね。でも2人は気づいてなかった」

咲 「あたしたち、燃やしてから一回も家帰ってないよね、そういえば」

智 「僕たちがあの家に居残って生きてることがわかったら、一家心中じゃないってバレるからね。近くにあんな快適なペンションがあってよかったよ。」


繰り広げられる意味のわからない会話に、立ち止まる綾香と京太。


綾香 「、、、、、え、何どゆこと?智?咲?」

京太 「何言ってんだ?お前ら」

綾香 「ていうか、あたしたちさっき初めてあの家言ったじゃない。なんで家具が元の位置にあったとかわかるの?」


智 「僕らの家だから、あれ」

京太 「え」

京太 「お前らまじで何言って、、、」

言いかけて、京太は気づいてしまった。

マスクとニット帽の間から見える目が、智の目ではないことに。


智() 「子供って言っても、人一人分燃やしたわけだから結構跡残ってるんじゃないかとか思ったけど。意外と大丈夫だったんだね」

咲() 「ね。心霊スポット扱いされてたから、もっといろんな人が入って汚されてるのかと思ってたけど。きれいでよかった。」

綾香 「待って、どういうこと?あなたたち、、智と咲じゃないの?」

智() 「僕たちは、あの家に住んでた夫婦だよ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る