教室の隅で

変化

告白出来なかった。

出来る前に彼女が気付いてしまった。

わたしの事なら彼女が必ず気付いてくれる。

今回も例外じゃなかった。

放課後。

「大事な話が有（あ）る」

そう言って、彼女が目を丸くしてから頷いた。

「分かった」

それだけ言って、わたしと一緒に誰も使ってない教室に向かって行った。

二人きりになって彼女の両手を取って口を開いたが、言葉が出なかった。

口を閉じて唇を噛んで彼女の手をぎゅっと握った。

そして、上目遣いの様に彼女の目を見詰（みつ）めた。

すると彼女は微笑んだ。

やっぱり、と呟いた気がした。

わたしは驚いて思わず彼女の手を離した。

流石にわたしの本当の気持ち迄（まで）分かるとは思わなかった。

「いいよ。私もあなたの事好き」

心臓は爆発しそうだった。

彼女は目を細めて、そして近付いて、唇を重ねて来た。

ずっと閉じ籠（こ）もってた気持ち、胸から溢れそうだった。

目を閉じて、意識が彼女の温もりに集中した。

背中に電気が走る様に、ぞわぞわする。

指先が痺れる。

彼女の唇から塩の味がした。

彼女の両手をもう一度取って指を搦（から）めた。

ああ、彼女じゃないとダメなんだと改めて思った。

やがて、彼女は唇を離してわたしをじっと見詰めた。

「これからも、よろしくね」

「………うん」

〜完〜