第4話【初めての依頼】
「――あ!来た来た!おはよーハヤト!」
「おはようございます、ハヤトさん」
「おー2人ともおはよう」
冒険者登録を済ませ、パーティーを組んだ翌日、俺たちは昨日予め約束していた通り早朝に冒険者ギルド前で集合した。
俺があくびをしながらギルド前に歩いて行くと、2人はもう既に来ていた様で、ケティは嬉しそうにこちらへ手を振り、セリエラ少し微笑み会釈。という昨日話した雰囲気と何ら変わらない反応を見せる。
しかし、昨日と違う点がひとつ、2人ともそれぞれ使用する武器を持っていた。(そしてそれは俺も同じで、背中に昨日購入した剣をさしている)
そう、もう分かっていると思うが、今日俺たちははじめての依頼を受けるのだ。
この職業は基本的にギルド側から個人に依頼。という形は中々無い。(よっぽど信用されている冒険者か、依頼人がその冒険者に思い入れのある場合は違うが)
だから、特に俺たちの様な本当の初心者は自ら受けないとニート当然。という訳だな。――と言っても、今日はデスティニーレコードに記された通りであればスライムを討伐出来るはず、まぁ最初だからってそんなに緊張する必要も無さそうだな。(ちなみにデスティニーレコードは邪魔になるから家に置いてきた)
「お、その杖良いじゃないか。昨日買ったのか?」
「うんっ!えへへ……良いでしょー?」
「セリエラの弓も――って結構使い古されてる感じがするなこれは」
「はい、もう何年も使っているので」
そうか、そういえばセリエラは昨日エルフだって言ってたよな。それも何百年も生きてるって。
「なぁ、昨日聞いてなかったがなんでセリエラは今冒険者になったんだ?」
そこで俺はセリエラにそう尋ねる。
だってさ、別に今冒険者になる必要なんて無くないか?わざわざ山奥からひとり出てきてよ。
「確かに言っていませんでしたね。私の故郷は比較的小さなエルフの集落で、今はもうどんどん廃れて来ているのが現状。だからここで稼ぎ、信頼を得て故郷の復興に協力してもらおうと思っているのです。」
「へーそうなのか。なら、いっぱい依頼をこなして強くならねぇとな。」
「はい」
「まぁ、ゆっくり頑張って行こうぜ」
そうして俺はニヤリと八重歯を出して笑う。
まぁ、みんなにもそれぞれ冒険者になろうと誓った理由、覚悟などがあるって訳だ。
すると、そこでそんな俺たちの会話を黙って見ていたケティがこう尋ねてきた。
「あれぇ?今思ったけどさ、ハヤト昨日よりも結構元気じゃん!」
「ん?そうか?」
まぁ、昨日ギルドで話していた時は頭の中がデスティニーレコードでいっぱいだったからな。
「うんそうだよ〜もう心配したんだからね?まぁ昨日のはきっと色んな登録とかで疲れてただけだろうけど!」
「あぁ、きっとそうだ。」
「心配してくれてありがとうな」笑いながらそう言う俺。
まぁなんだかんだデスティニーレコードが絶対に悪い物でも無いと分かった訳だし、無理にその話題を出す必要も無いだろ
「よしっ!!じゃあ早速依頼を受けに行くぞ!!」
「おーっ!」「はい」
こうして俺たちは冒険者ギルド内へ入った。
♦♦♦♦♦
中に入ると、俺たちは現在受ける事の出来る依頼一覧が張り出されているクエストボード前に行く。
ボードの前にもギルド内全体にも言えるが、俺たちが早朝に来ていた事もあり、まだ他の冒険者たちは全然居なかった。
俺の親は毎日朝早くから夜遅くまで家を出ていたからてっきりめちゃくちゃハードスケジュールになるんじゃないか?なんて思っていたがどうやらあれは朝早くから酒場に行っていたという事なんだろうな。確かに365日酔っている人だったが。
そんなことはさておき、俺はクエストボードを見る。
そこには3色の紙で色分けされた依頼の紙が何十枚も貼ってあった。
この紙の色は「適切等級差分化」をしており、下級から上級まで白、青、赤。という風に変わって行く。
試しに赤の依頼を覗いてみると、そこには聞いた事も無いような場所に遠征に行け。という様な物がほとんどで、どうやら遠征系が多いらしい。
そう、ここら一体はオーガの様な中級モンスターは度々出現するが、それ以上は滅多に現れない。比較的安全な地域なのだ。
っと、とりあえず今回俺たちが受けるのは白色の依頼だよな――――
っと、するとそこでもう既に白の依頼を見ていたケティとセリエラの内、ケティが声を上げた。
「あ!見てみて!この依頼なんか良いんじゃないかな!?」
俺の方を向きながらそい言い、1枚の紙を指さすケティ。
「ん?どれだ?」
俺は今日どの様な出来事が起きるかデスティニーレコードで見たから大体分かるが、とりあえず確認してみる。
すると、その内容は案の定、スライム討伐の物だった。
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下級下位クエスト
・内容:スライムを3匹討伐
・報酬:パーティー人数×銅貨3枚
・場所:ヴェロッサ森
・期限:無し
・依頼主:冒険者ギルド
・備考:初めての依頼等でもおすすめ
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「なるほど。ヴェロッサ森ってこの街から確か1番近い森だよな。昔からスライムとかが出現して危ないからあまり近付くなと言われていた。」
「うんうん」
これなら無事に終えられそうだ。(というか、デスティニーレコードに討伐と書いているから絶対無事に終わるんだが)
「どうだ?セリエラもこの依頼で良いか?」
俺は一応セリエラにも確認を取る。
「はい、私はどの様な依頼でも構いませんよ」
「よしっ!!じゃあ決まりだ!!」
こうして俺たちの初めての依頼が決定した。
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