すれ違う星の子に宛てて
猫煮
すれ違う星の子に宛てて
礫投げ叫びはすれど聞くモノの居らぬが故に声も響かず
声枯らし這々の体口ひたす潮の味こそ砂漠の所以
寂しげな波打ち際に君を見て息をもらして満足をして
恨み言やがて見事に泣き言に言いたき事は過去の繰り言
吾は熱く彼は冷たくも見つめ合い僅かな凪は朝陽の端か
霧中にて耳で見ようと幾年も夢中になりし君の鼻歌
この天使進む道行き軽やかに空を飛べるは人に会うまで
傍の影気付けば見えず振り向けば我は一人か見知らぬ人よ
気が合うねかつての君の言葉とてコンビニ産の珈琲の味
すれ違う人の背中を目で追えば腹をすかせた大蛇の鱗
人に酔いつい見失う時計盤単身探せば真左にある
真っ暗な夜空を前に画面端脇を小突けば灯る太陽
真横よりどこかで聞いた鼻歌がダークマターの弱い引力
CR 幽体離脱行く先は網目につながるインターネット
ブラウザを繋いだ先は別の星横の星との距離幾光年
窓見れば我らの浮かぶ暗い空窓の奥には隣の銀河
四の次のタイムカードを引き金に我が半身の月を見仰ぐ
綺羅星の残骸共が寄り集う君の名残で生きる我が身よ
鉄製の芯の重さに潰れゆく記憶を焼いた我は死ぬ星
死んだ街星の光も闇に溶け寒さに耐えかね赤いため息
すれ違う星の子に宛てて 猫煮 @neko_soup1732
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