すれ違う星の子に宛てて

猫煮

すれ違う星の子に宛てて

礫投げ叫びはすれど聞くモノの居らぬが故に声も響かず


声枯らし這々の体口ひたす潮の味こそ砂漠の所以


寂しげな波打ち際に君を見て息をもらして満足をして


恨み言やがて見事に泣き言に言いたき事は過去の繰り言


吾は熱く彼は冷たくも見つめ合い僅かな凪は朝陽の端か


霧中にて耳で見ようと幾年も夢中になりし君の鼻歌


この天使進む道行き軽やかに空を飛べるは人に会うまで


傍の影気付けば見えず振り向けば我は一人か見知らぬ人よ


気が合うねかつての君の言葉とてコンビニ産の珈琲の味


すれ違う人の背中を目で追えば腹をすかせた大蛇の鱗


人に酔いつい見失う時計盤単身探せば真左にある


真っ暗な夜空を前に画面端脇を小突けば灯る太陽


真横よりどこかで聞いた鼻歌がダークマターの弱い引力


CR 幽体離脱行く先は網目につながるインターネット


ブラウザを繋いだ先は別の星横の星との距離幾光年


窓見れば我らの浮かぶ暗い空窓の奥には隣の銀河


四の次のタイムカードを引き金に我が半身の月を見仰ぐ


綺羅星の残骸共が寄り集う君の名残で生きる我が身よ


鉄製の芯の重さに潰れゆく記憶を焼いた我は死ぬ星


死んだ街星の光も闇に溶け寒さに耐えかね赤いため息

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