7: ヘルム・ヴァン・クロニクル

https://kakuyomu.jp/users/milklupia/news/16818093079920767726


 暇つぶしに、一人でクエストをこなしていた所、何やらおかしな二人組に出会った。

 一人は金髪の少女。服装を見る限り、東陸地域の巫女さんだろう。

 もう一人は白髪の青年。服装を見る限り、おそらく露出狂だ。間違いない。なぜなら白衣の下は何も着ていないからだ。シルエットを見ればわかる。

 蛇に襲われていた気がしたので援護したところ、案の定そのようだった。


「■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■。」

『かなり遠いところから来たんだが、路頭に迷っていてな。』


 青年の言葉は聞いたことがない言語だ。だが、『テレパス』か何かを使っているみたいで、意味は理解できる。


(これはこれでなんかキモい。)


 一方、少女の方は拙い星語ニロ‐バベルを使えるが、どうやら主要の言語は天紋ヘブンコードらしい。考古学や古文の授業くらいでしか使わない言語を日常的に使うなんて、一体どこの地域だろう。

 だが、これはかもしれない。


「じゃあアタシが案内するよ!」

「■■■■?」

『いいのか?』

「他に宛もないんでしょ?そもそも会話もできないだろうし。」


 彼は少女に会話の内容を伝え、「よろしく頼みたい」とアタシにお願いした。


「あぁ、アタシはヘルム・ヴァン・クロニクル!よろしくね!」

「■■■ワガミ・ツムグ。■■■■■フォーロ・テイン。■■■■。」

『オレはワガミ・ツムグ。こっちのはフォーロ・テイン。よろしく。』


 彼の言葉に続くように、少女――テインはお辞儀をした。


「■■■■、■■■■■?」

『ところで、1ついいか?』

「うん?どうしたの?」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■?」

『急にこんなこと言うのもあれなんだけどさ?』


 彼はなにやら落ち着かない、どこか申し訳ない様子でアタシのことをボーっと見る。

 首をかしげると、彼はアタシにもたれ掛かる。背丈はアタシの方が大きいから、胸で受け止める形になった。出会って早々にスキンシップが激しい気がする。


「■■■■■■■■■■■。」

『さっきから胸が痛いんだ。』

「えっ……」


 ホントに急だな!?

 え、なになに!?ヤバいなんか胸がドキドキしてきたかも!


「■■■■■■■クラクラ■■■……」

『さっきから目眩めまいがするし……』

「そ、それって……」


 それって、いや、そんな感じに言うってもう、あれじゃんか?あれじゃん?

 え、ピンチのところをヒーローみたいに助けられたから的な?

 まぁアタシって結構顔整ってる方だし?おっぱいはデカくないけど、スタイルも抜群だし?ありえなくもないよね?


「■■■クロニクル……」

『ごめんクロニクル……』


 ど、どうしよう……!

 コイツ、多分年下だよね?でも結構好みかもしれない……!!


「――クロルって呼んで。」

「クロル、■■……」

『クロル、オレ……』





『さっき蛇に噛まれて結構ヤバいんだ……』


 ………はぇ?


『かぶれか何かで肌がカサついてるし、手首の血、一向に止まらないし……血流に混じった唾液の結晶が、多分心臓か血管に負荷を……』


 最後に彼は徐々に掠れていく声で、「二人とも、服に血ィつけてごめん……」とだけ言って意識を失った。


「ツムグー!!!?」

「わぁぁあああー!!?!?」



 私はテインと頑張って意思疎通を図りながら、リュックに入っている救命具を使い、彼に最低限の処置をしていっそいで街の方に向かった。

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