4:『テレパス』
「つまり、オレはさっきの儀式によって意思疎通の魔術を得たってことか?」
「はい。それで間違いないと思います。」
あの儀式は、光が人の姿の影を映すように、その人の力を映し落とす。
この人は会話が好きか、社交術の才があるのだろう。
「とはいえ、無意識下で使うとは……」
「これはどういう魔術なんだ?」
「意思疎通を図るための魔術です。術者や練度によって性能は変わりますが、使い方はいくつかあります。」
意思疎通の魔術 基本要綱
・意思の伝達
・言葉にこの魔術を乗せることで、言語の補助を行う。
「ツムグの場合は、それに加えて」
・意思の察知
「この魔術は、まずは〝伝える〟ために開発されたものです。ですが、ツムグの場合は意思を汲み取る性能もあるようです。」
「ちなみに魔術を乗せるっていうのは、声以外にも使えるのか?」
「文字や写真に乗せることは難しいでしょうね。同様に、そこから汲み取ることも難しいかと。あと、人や天使といった知性のある相手以外には使えません。」
「そうか……けど、これを使えばここの人たちと会話できるか?」
「まぁ、
というと、彼は「確かにさっき気持ち悪かったな。」と頷いた。
「はっくちゅん。」
「あ、だ、大丈夫ですか?」
「それはさておき、いつまでもこんな格好で草原でうろつくのもあれだ。近くに街があったと思うが……」
「はい!行ってみましょう!!」
☆☆
しばらく歩くと、栄える場所が見えてきた。
早速あの町に入りたいところですが……
「裸白衣は駄目じゃないか?捕まるよな?」
「隣に
「オレ神への生贄みたいにならないか?」
「そうですね……どこかの行商人か質屋いって、恵んでもらうとか……」
それか、簡単な作業やお手伝いで駄賃を貰うか……
サササ……
「ん?」
地面の草むらの中から、何かが動いたような音がした。風のざわめきとは思えない。
その音のリズムはなめらかで、揺れる草の場所は徐々に近づいてくる。
「蛇か……?」
彼は腕を私の前に置き、庇う姿勢を取った。
「ちなみに、殺したら法律に触れるとかっていうのは?」
「種類によりますね。」
「そっか。じゃあ、逃げるの優先すっか。」
そして、草むらのなかからバッと飛び掛かってくる影。
「やっぱ蛇だった……!」
「スィャーッ!!」
「わっ!?」
「おっと……」
彼は飛び掛かってきた蛇の首を掴む。
「わ、わぁ……すごいですね……」
蛇もそれに怯むことなく、全身で巻き付く。
「羽毛の生えた蛇?」
「あ、それは魔獣です。」
「毒とかはあるのか?」
「毒は無いはずですし、狩っても構わない魔獣です。」
「じゃあ悪いがこのまま……
蛇は力を強め、彼の腕を締め付ける。
彼も急なその痛みに怯んだようで、その隙に蛇はするりと脱出した。
そのまま彼の手首に嚙みついた。
「こんのっ……許せ!」
「シャッ……!?」
グショッ
彼は噛みついていた蛇の頭部を掴み、そのまま握りつぶした。
「いってて……毒は無いんだよな?」
「はい。あ、ただ分泌された唾液は徐々に凝固していくので、しばらくすると血流障害になることがあります。」
「先に言えよ!?」
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