星の世界での出逢い

1:革命の新星、降り落ちる


「あ゛ぁぁぁばっばべばぁぁばぁっ!!」


 落下時の空気抵抗により、彼の顔がびゃんびゃんとスゴいことになっている。


『えっと、ワ、ワガミさん!ですよね!?』


 光と雲の塊から落ちてしまった彼を、私は全力で追いかける。

 身体は球体なので、流線型のように空気抵抗を減らすことができている。翼を全力で動かし、落ちていく彼に向かい降下していく。


『聞こえますか!?』


 この高さからの落下だ。当然、普通のでは届かない。

 だからこそのだ。


「ぎぎぎきごぇぇるぞんんんっ!!」

※聞こえるぞ。


 頑張って返事をしてくれた彼の側まで来ることが出来た。

 ピトッと、彼の背中に乗っかる。


『流石にこの高さからだと死ぬと思います!!』

「おっ、おぉっ!きぎ、きぐっっなぁ!!」

※おう、奇遇だな。


 私は身体に力を込め、光を放つようなイメージをする。

 球体だった身体が一閃すると、輪と翼を有した人間の姿へ変わった。様々な文献に残る、つまりは天使の姿です。

 格好は日本の巫女衣装ですけど。


『はいっ!!』

「おぶぇっ……!!?!?」


 後ろから抱き着き、翼を広げる。地球にあった、スカイダイビングというものに近いでしょう。

 彼の耳の裏辺りに口を近付け、今度は声で意志疎通をはかる。彼が風避けになっているので、喋りやすい。


「このままどこかの草原に着地しますね!!」


 彼を抱きかかえ、約1000mほど残っている距離を降下していく。


☆☆


 光輝くお天道様の下。


「つ、着きました……」

「おぉ゛っほっほっほぇっ!?あ゛はっ!?ガホッゴホッ!?」


 噎せる全裸の男性と共に、野原の真ん中にちょこんと座っています。


 しばらく互いに呼吸を整える。

 落ち着いてきたところで、この全裸の男性――ワガミさんが話し始める。


「ここ、どこよ。」


 まぁ、そうでしょう。


「地球とは異なる時空……星の世界ですね。」

「星?」


 異世界転生。

 私は下級の天使だったので、今までそれを見届けること自体少なかった。

 にもかかわらず、初めての仕事が参加するだとは……


「って、それどころじゃないな。」

「ですよね~……」


 この人に関しては私以上に困惑してるはずだ。このように平静でいられるということ自体凄いだろう。

 仮に究極チートを授けられて、手続きや段取りをしっかりしたのなら落ち着いていられたのだろうけれど……

 そもそも数千m上空から落下したばっかなのに、かなり落ち着いている。なんで?


「えっと?さっき天照んところで聞いてたのは……」


・ワガミ ツムグという名前で生まれる

・新たに生まれる

・またこの身体で生まれる


「まずこの怪文はどういうことだ?」

「そうですね……転生アニメは見たことありますか?」

「うん。」

「それには2パターンありますよね?」


1:前の世界と同じ人として転生する。これは転移といった方がいい。

2:前の世界とは違う人として転生する。新たな家庭や、別の種族に。


「過去や未来にも転生しますが……それはさておき、今回あなたはその両方の間くらいですね。」

「……なるほど、わからん。」

「つまり姿のまま、0として生まれました。」

「なる、ほどォ?まぁ次は……」


・魔力とかいうやつがない

・神の祝福を受けない


「これは?」

「この星の世界には、魔成マナという最小単位の存在と、そこから発生される魔力がありまして」

「………」


 まともに会話することもあんまりないうえ、説明が苦手なので上手くまとめられない。


(なんで天使やってんだ私。)


 神の遣いとして力不足すぎないか。

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