狂気一覧

変異種は断片化が進むと自己が破壊され、正常には戻れなくなる。

NOISEになれば、自身の放つノイズに阻まれ調律は届かない。

NOISEはただ一つの狂気に囚われ、そのためだけに行動する。


■破壊

単純明快。暴風の如き破壊衝動。

破壊の対象は様々で、とにかく大きいものを派手に破壊したい異形もいれば、相手が大事にしているものであればあるほど良いという異形もいる。

また、家庭や恋人などの人の縁を壊すことを楽しむ異形もおり、その場合は結果的に殺人となることもあるが、殺すことは重視されない。

何なら目の前で恋人を性的に犯したり、拷問をして精神的に破壊することもある。

「きれい事を言っていても、結局は自分が可愛いんだよね」

「景観を損なうビルは壊されて当然。先に壊したのはそっちなんだから」


■殺戮

破壊に並ぶ、単純明快な殺人衝動。

人間を殺すことが最大の目的だが、通り魔のように無差別殺人を犯す異形もいれば、何人か誘拐して閉じ込め、一人ずつゆっくり殺すことを楽しむ異形もいる。

前者はわかりやすいが、後者は慎重に趣味を楽しむだけの狡猾さを持っているため、捜査が難航する場合がある。

また、無辜の一般人同士による殺し合いを眺めることを好む狂気も存在する模様。

所謂デスゲームの主催。

「君たち四人のうち、生き残った者を解放してあげよう」

「そんな必死に逃げるなよ。殺せないじゃん」


■異食

異常なものを食べたがる狂気。または、食べさせたがる狂気。

吸血や食人もこれに含まれ、食料とするために結果として殺人事件を起こすことも。

だが此方は殺すこと自体を目的としていないため、食材に選ばれた人間は生きたまま少しずつ喰われることもある。

食人衝動の異形に「おもてなし」を受けた結果発症する例も、稀にだが存在する。

「美味しい? そのお肉ね、○○くんが一番大好きな人にのよ」

「女子供の肉を好む奴は軟弱者だよな。やっぱ歯ごたえがある成熟したオスが一番」


■自傷

自らの肉体や精神を痛めつける狂気。

人前で自傷し、目撃者に不快感やトラウマなどを植え付け、拒絶や嫌悪を向けられることを目的として行動する異形もいる。

その場合も「相手を怯えさせたい」のではなく嫌な思いをした人間から相応の反応を向けられることが目的である。そのせいで一部ではドM狂気と呼ばれている。

「もっと、もっと罵倒して、傷つけてよ。こんな自分生きる価値ないんだって!」

「こんなもんじゃ足りない……あの人が感じた痛みには全然足りない……」


■支配

対象を思いのまま操りたいという狂気。

個人の場合は拉致監禁事件となり、集団や組織の場合はテロになったり会社や組織の乗っ取り事件になることがある。

組織乗っ取りの場合は真っ当な経営能力があれば問題ないが、所詮NOISEの狂気なので、所属している人間が死亡したり集団感染したりして、瓦解する結果を生む。

「言うとおりにしなさい! どうしてそんな簡単なことも出来ないの!?」

「助かりたい? なら踊って見せてよ。何でもいいから、ほら。早く!!」


■蒐集

特定の物を集める狂気。

以前は支配と同一視されていたが、近年になって分けられたもの。

人に限らず、物や金、人体の部位などに異様な執着を見せる。

重度の蒐集癖を発症しゴミ屋敷の住人になりがち。死体を蒐集していれば当然近隣に臭いなどが漏れるので、それで見つかることが多い。

「皆、皆大好きよ。私の可愛いお人形さんたち。愛してるわ」

「ゴミなんかじゃない! これは、コイツらは俺の宝物なんだ!!」


■空虚

虚無感をなにかで癒そうとする狂気。

なにかしらの喪失を体験した変異種が空虚型のNOISEになることがある。

家族を失った場合は、無関係の男女を誘拐して両親と見立てて生活しようとしたり、恋人を失った場合は、似た特徴を持つ人間を監禁して恋人に見立てたりする。

しかし喪失感は代用品で埋まるものではないため、いずれ瓦解して自己嫌悪に陥り、また新たな誰かを攫って同じことを繰り返す。

「ねえママ、パパはいつ帰ってくるの? え、これ? これはゴミだよ?」

「お願い……もう何処にも行かないで……どうして逃げるの? どうして……」


■好奇

子供じみた好奇心のみで動く狂気。

この異形は精神的に幼かったり、逆に頭が良く学者肌だったりすることが多い。

興味を持ったら即行動するため、街中で突然人に火を放ったり、人の上に工事現場の鉄骨を落としてみたりする。

虫の羽を千切る感覚で気軽に人を害するが、目的は殺人でも破壊でもなく、好奇心を満たすこと。

非常に飽きっぽく四肢を千切ったと思えば放置して余所へ行くこともあるので、ごく稀に命だけは助かる事例もある。

「此処引っ張ったらどうなると思う? 取れるかな? それとも伸びるかな?」

「保菌者を街に放って、全体に広がるまでのデータを取りましょう」


■厭悪

なにかをひどく厭う狂気。

個人や団体、或いは世界そのものが憎くて疎ましくて仕方がないというもの。

癇癪を起こした子供のように暴れ回ることもあれば、静かに埋火のような怨嗟を撒くこともある。

対象が「しあわせな家族」だったりすると、休日の遊園地などでテロを起こしたり、家に乗り込んで子供ばかりを狙って親の目の前で殺したりすることもある。

此方も殺すことそのものが目的ではないため、殺人ではなく拷問をする場合もある。

「俺を差し置いて安穏と暮らしている連中に天罰を!!」

「あの会社は世界のためにならない。存在していてはならない。そうでしょう?」


■拒絶

対象を一切受け付けなくなる狂気。

一時は厭悪と同一視されていたが、最近細分化した新しい?狂気分類。

この狂気が発現すると、「見たくない」が過ぎて盲目になったり「聞きたくない」が過ぎて聴覚を失ったりすることがある。

自分が拒絶の対象になると異能を用いて盛大に自爆しようとするが、死の寸前までは自力で出来ても変異種の再生能力によりトドメを刺すには至れないため、結局周りが迷惑を被る羽目になる。

「みんなわたしを放っておいて。構わないで。近付かないで」

「なにも見たくない。全部嘘だった。俺はなにも知らない。なにも見てない」


■盲信

なにかを強く信じ込む狂気。

自分がこの世で最も優れているという誇大妄想だったり、赤の他人が自分を害そうと画策しているといった被害妄想に陥ったりする。

一般人も陥る精神病の統合失調症と症状が似ているが、此方は治療の術がない上に、異形の能力も発動するため、手に負えない。

目が合った異性を運命の人と思い込んで拉致監禁し、己の脳内にしかない理想の恋人像と全く同じ言動を強要、僅かでも間違うと「騙された」と言って殺害、次の運命の人を求めるといった行動に出る異形もいる。

「あなたいま私を笑ったでしょう? だからそんな目に遭うのよ。自業自得よ」

「俺より優れた人間はいない。何故なら俺より優秀だった奴ら全員殺したからな」



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