第5話 【助けてその1】続きが書けない!

【助けてその1】続きが書けない!


【助けますその1】まずはキーボードで一言打ちましょう


 私はこれで『我が名は曹飛将』を82話で完結させました。


 というのも、私は無駄に義憤に燃えていたからです。


「曹操は悪役なんかじゃない!」


「曹洪はケチだって陳寿ちんじゅ(正史三国志の著者)は書きやがったけど(言い方)それだけじゃないだろ!」


「曹洪が女好きだなんて陳寿ははっきり書いてないぞ。魏書辛毗しんぴ伝には確かに、


 しばらくたって、太祖は都護の曹洪に下弁を平定させたが、辛毗と曹休をそれに参加させた。命令にいう、「昔、漢の高祖は財貨をむさぼり女色を好んだが、張良・陳平がその欠点を匡正きょうせいした。今、佐治(辛毗)と文烈(曹休)の心配は軽くないぞ。」


 と書いてあるけどな。楊阜ようふ伝にも確かに、


 太祖は都護の曹洪に馬超らを防禦ぼうぎょさせ、馬超らは退き帰国した。曹洪は酒席をしつらえ大宴会を催し、歌姫に薄いあやおりの衣をつけさせ、足を踏みならし太鼓をうたせた。一座の者はみな笑いこけた。


 と書いてあるけどな。『曹洪は女好き』ってのたまうやからどもはこれらの記述から言ってるんだろ。正史に当たるのは結構だが無駄なネタばっかりに注目してんじゃねえ!(言い方)」


(以上、『正史 三国志』4 今鷹真 訳 ちくま学芸文庫より引用)


 この怒りを原動力として毎日、スマホにインストールした文章作成アプリ「idraft」にタッチペン片手にかじりつき、根性と執念と意地で書いていたのである。


 はあはあ(息切れ)。


 逆に言うと、あなたにそこまでの原動力があるだろうか。


「何としてもこの登場人物を書きたい!」


「この物語を世に出さずには死ねない!」


 そう、思えるだろうか。


 私は、そう思っていた。


 だから、書いている間は消耗した。


『晋よ曹魏の上に立て』(なろうオンリーです。読んでくれると嬉しいなあ。ポイントをつけてくれたらもっと嬉しいなあ)を書き終わったあとは、しばらく三国志の三の字も目にしたくないと本気で思ったほどだ。



 これは私個人の感覚なのであるが、何百話、何千話とある連載小説のうち、最後まで読める作品には共通点があった。


 登場人物やプロットが魅力的だっただけではない。


 作者の熱い思いがにじみ出ていたことである。


 このような精神論、根性論は、説得力に欠けるという指摘は織り込み済みだ。


 しかし、これらを完全に無視することもできないと私は思う。


 もう一度冷静に振り返ってほしい。


 あなたは、続きが書けないと悩んでいる作品に、思い入れがあるだろうか。

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