第24話 義妹からのLINE
「ん?」
「どうしたの、碧太」
「
サッカー部室から文芸部室に戻る途中、スマホに通知が来た。
「小6だっけ?」
「小5だ」
「ふーん。なのにもうスマホ持ってるんだ」
「ああ。一人の時間が長いからな。用心のためってことらしい」
杏奈ちゃんのお母さんは帰りが遅い。俺の親父も帰りが遅いかつ頻繁に出張に行く。おまけに俺は高校生。さらにダメ押しで親父たちは2週間の新婚旅行中。小学生にだってスマホが必要となるに十分な理由だ。
「ンギャ!?」
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
ちょ、杏奈ちゃん! なんだよ、このアイコン! これって……これって
……なんでバニースーツのうさ耳つけてるの? いつこんな自撮りしたの?
てか、俺の部屋に入ったの? バニースーツ、見つけたの?
「見せてよ」
「だ、だめだ!」
「なんでよ?」
こんな……うさ耳つけてる写真見せたら「義妹にバニーガールコスプレさせたんだ! 変態! 通報する!」となるに決まっている。
「しょ、小学生といえどだな、女子なんだ。プ、プライバシーってものがあるだろ?」
「そっか。そうだね」
梨々子がしゅんとなった。
「……返事書かないの?」
そうだった。つか、まだ内容見てない。
――ただいま。
ただいま、か。シンプルだ。少し考えてから「おかえり」のスタンプを送った。
すぐに返事が来た。
――それ、かわいいです。私も欲しいです。
「なあ、梨々子。ラインのスタンプってプレゼントできたっけ?」
「できるよ。杏奈ちゃんに贈るの?」
「ああ。どうやるんだ?」
無難な画面にして梨々子にスマホを見せる。
「ここをこうやって、購入。そして贈る」
「サンキュ」
梨々子に教えてもらい、杏奈ちゃんにスタンプを贈った。『ありがとう』のメッセージに続いてシュポシュポ何個かスタンプが送られてきた。
「よかったね、碧太。そんなにLINE連続で送られてきて。モテモテじゃん」
「相手は義妹かつ小学生だ。モテの範疇に入るか」
「そんなモテない男の彼女なのかあ。梨々子ちゃんかわいそう」
「懐かしいな、そのフレーズ」
梨々子ちゃんかわいそう。幼い頃梨々子が良く言ってた。そう言うと俺が優しくするからだ。具体的には俺の食べかけアイスや飲みかけジュースが梨々子に提供された
「ねえ、私もスタンプ欲しい。買ってよ」
「は? 結構高いんだぞ、これ」
「杏奈ちゃんにはあげたじゃない」
「それはポイントがたまっていたからだ」
「高いっていっても数百円でしょ? それくらい奢りなさいよ。彼氏なんだから」
「……今回だけだぞ?」
梨々子にスタンプを送った。
「へー。碧太にしてはセンスいいじゃん。早速送ろーっと」
シュポ。梨々子からLINEが来た。
「なんでLoveのスタンプなんだよ」
「だって彼女だもん」
ニコッと梨々子が笑う。
「はいはい」
「ちょっ、既読スルー?」
「今返事したろ、リアルで。はいはい、って」
「LINEの方は?」
むすっとした顔で梨々子が迫る。
「わーったよ。返事すればいいんだろ」
スタンプで返事する。
「今日は生徒会何か仕事あるのか?」
「ううん。生徒会顧問の先生に書類渡すだけ。すぐ終わる」
「そうか。俺も帰るんだ。今日大垣さん休みでね。耳鼻科に行くらしい」
「耳鼻科?」
「花粉アレルギー。雑草の」
「へえ。大垣さんぽいね」
それ聞いたら大垣傷つくぞ。
「部室で待ってるからな」
「わかった」
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