バニーガールになった清楚可憐な幼馴染みが俺を誘惑すると、なぜか幼い義妹が甘える件。

第17話 恋人ランチ

「副会長が男とランチ！」

「手作りサンドイッチ弁当を……分け合うだと！？」

「お、俺も食いたい！　切り落とした耳でいいから、梨々子様の手作りサンドイッチ食いたい！」

「なんで……なんで、あんな男に！」

　昼休み、学食。その一角で俺と梨々子は並んで座っていた。テーブルの上には梨々子の手作りサンドイッチ入りバスケット。

　登校時同様、まるで連邦のソーラ・システムに集まる太陽光のごとく視線が俺に集まる。俺、そのうち焼け死ぬのではなかろうか。

「はい、召し上がれ。得能君の好きなとんかつサンド、作ってきたの」

　そんな視線をエネルギーに変えているのか、満面に笑みをたたえる笑顔梨々子。

「あ、ありがと」

「ふふ。お口に合うかしら？」

　ぞわわ。いつもと違う梨々子の振る舞いに虫酸が走りつつも、梨々子特製とんかつサンドを食べる。

　うん。美味い。このとんかつ、近所のスーパー「丸食フーズ」のとんかつだ。ここのとんかつ、脂身の多いところ使っているんだけど、それが美味いんだよな。

「お口に合ったぞ梨々子。さすが丸食フーズだ」

「そういうことは気がついても言わないものなの。意地悪ね、碧太」

　周囲に聞こえぬようぼそっと呟く梨々子。

「可愛い彼女の手作りサンドイッチなのよ。美味しいってほめてよ」

「ほめたぞ。丸食フーズのとんかつは俺にとってソウルフード、丸食のとんかつを使ったサンドなんて最高に決まっているじゃないか」

「私をほめてないでしょ？　丸食フーズしかほめてないじゃん」

　そうかなあ。

「次は卵サンドよ。こっちも食べて、得能君。梨々子の手作りサンドイッチなんだから。美味しく召し上がれ！」

　やたら手作りを強調し、梨々子が差し出す。笑顔だが目が笑ってない。

「ちゃんとした感想きかせてね、得能君」

「わかったよ」

　恋人ごっこなんだよな。恋人っぽく褒めればいいんだろ？

「……うん、これは美味しい。すごく美味しい。俺好みだ。つかさ、この卵サンド、婆ちゃんの作ってくれたのにそっくりだ」

「あ、わかった？　そうなのよ。これ、碧太のお婆ちゃんに習った味付けなの」

「思い出すな、あの頃。お婆ちゃん、よくたこ焼き作ってくれて。婆ちゃん、もともと大阪の人だからな」

「そうなんだ、それは知らなかった」

　時々婆ちゃんは大阪土産だと言って「いか焼き」というものも買ってきた。たこ焼きとは似ても似つかない、どちらかといえばお好み焼きに似ているコナモン。梨々子はネギ入りのいか焼きが好物だったっけ。

「普通持ってないだろ、たこ焼き器。あれ、大阪では全家庭にあるらしい」

「凄いわね。同じ日本とは思えないわ」

「言葉も違うしな。知ってるか？　大阪って、テレビ番組も関西弁で喋るんだぞ」

「そうなの！？　ＮＨＫのニュースとかも関西弁なの？」

「さすがにニュースは標準語だけどな。バラエティーなんかはそうだ」

「へえ。そうなんだ。行ってみたいな、大阪。でも新幹線とか飛行機だと高いんだよね」

「高速バス使えば安く行けるぞ。婆ちゃんのお墓、大阪にあるんだよ。そのうち一緒に行こうぜ、大阪。婆ちゃんの墓参りに。ついでにユニバとか行けるし」

「そうね。ナイスアイデア」

　ニヤ。梨々子の口角が上がる。

「碧太のくせにやるじゃない。さすが梨々子の彼氏だ」

「俺、なにかやったか？」

　俺は首をかしげる。

「やったのよ、それが」

　ずい。梨々子が俺の耳元に口を寄せささやいた。

「いつするの？　大阪ユニバデート」