第7話 【梨々子視点】清楚可憐を捨て去る
Y1連覇回避。これよ。Y1ノミネート資格には清楚可憐というのがあったわ。流石にバニーガールなら清楚可憐じゃないわよね?
Y1連覇を阻むためにビッチなバニーガールになる。そのために偶然見つけたバニースーツを着てみた。うん、すごく自然、無理がない。これならバニーガールでも変じゃない。
放課後、旧校舎にある倉庫兼部室にダッシュ、バニースーツに着替えた。足音。碧太だわ。着替えてる途中で扉が開くのは刺激が強すぎよね。いくら碧太でも理性を失っちゃう。そうなったら……。
だめ。それはちょっと早い。急いで着替えなくちゃ。
「梨々子……? 梨々子だよな?」
扉を開けた途端、碧太が固まった。ふふ。予想通り。きっと顔を真っ赤に……。
あれ?
赤くない。
どっちかというと……白い? ねえ、碧太。何で眉間にしわが寄ってるの?
その後の会話。あんまり覚えていない。気がついたら大垣さんがいて、碧太が「とりあえず、脱げよ」って言ってた。
くどいようだけど私、Y1よ!? 男子がヤりたい女子ナンバーワンなんだよ!? それも3連覇!!
バニーガール姿。自分で言うのもなんだけど、かなり扇情的だと思った。いきなり抱きつかれたらどうしようって思うくらい、セクシーで可愛いと思った。
なのに、碧太、全然興奮しない。むしろ眉をひそめた。
なんで。なんでよ。
仕方ない。こうなったら、最後の手段。Y1ノミネートのもう一つの資格、彼氏持ちじゃないを使わせてもらう。
恋人ごっこ作戦。碧太に偽装彼氏になってもらうわ。
「恋人ごっこ? どういう意味だよ梨々子」
偽装からの本物。嘘から出た実。そういう意味よ。わからないんだ、碧太。さすが碧太。鈍感だわ。私、本気だからね? 恋人ごっこ、マジで攻めていくから。
「手くらい繋がないと駄目だよな?」
ええそうね。恋人だもん。なんだ、碧太。私と手を繋ぎたいんだ。えっちじゃん。知ってたけど。
はい、握って。私は手を差し出した。
「ひゃい!」
「どうした梨々子?」
ちょ、碧太! これって……恋人繋ぎじゃん! いきなり、何よ!
碧太の顔を見る。意地悪い顔だ。
「俺たち恋人だよね? 付き合っているんだよな? ごっこだけど」
そ、そーだけど……そーだけど、いきなりこれは……やり過ぎでしょ!
顔が熱い。きっと真っ赤だ。悔しいことに碧太は涼しい顔。
「どうした、梨々子、顔が赤いぞ」
「な、なんでもない。夕陽がほっぺにあたって熱いのよ」
「へええ。そんなことがあるんだ」
「あるのよッ!」
結局、碧太は私を家まで送ってくれた。恋人握りのまま。
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