CODEⅢ:ペルクナス
電気を操る能力。ピ●チュウ。
十万ボルトやかみなりで攻撃したり、機械に電流を流して壊したりする。
機械に対する効果はエクスマキナと違い、瞬間的な破壊か通電しか出来ない。
自身に電流を流し、肉体を一時的に強化することも可能。
いざというときはスマホの充電なんかも出来る(人もいる)
* * *
「まあ、実際地味だからな。周り見てるとそう痛感するよ」
ペルクナスの異能を持つ友人、
彼の異能は決して強力とは言えない。同期の中には、高電圧で敵を圧倒する異能を持った奴や、どんな機械も一瞬で破壊する電撃破壊神のような奴、雷で武器を作って振り回す奴なんかがいる。彼らと比べたら、地味と言わざるを得ない。そしてそれは紅樹自身も認めるところであった。
彼の主な異能は、対象に適切な分量で通電する異能だ。
つまり、バッテリーや機械を壊すことなく電力供給することが出来る。
充電器いらずの便利屋扱い。同僚の中には彼を馬鹿にする奴までいる始末。
最初は本当に、それだけだと思われていた。本人もそう思っていた。
だが俺は、俺だけは、紅樹を地味なモブなどとは呼べない。呼ぶ気になれない。
「俺の前で卑下すんなよ。お前に助けられたのが惨めになるだろ」
そう言うと、紅樹は驚いたような顔になった。
それからくしゃっと破顔して、照れ笑いを浮かべた。
「そうだよな、悪い」
俺は、紅樹に助けられた。手助けしてもらったとか、充電切れて連絡取れなかったところを充電器になってもらったとか、そんなレベルじゃない。
文字通り、言葉通りに、命を救われたのだ。
――――あの日、俺と紅樹は、とあるNOISEを追っていた。
ソイツは、異能自体は特別強力ってわけじゃなかったが、小賢しく逃げ回る面倒なタイプだった。臆病で卑怯で、口では自虐的なことを言うわりに周りを見下していることが態度からありありと見て取れる、身近にいたら絶対関わりたくない奴だった。
甲高い声も、いちいち癪に障る物言いも、本当に苛立たしかった。
冷静じゃなかったんだ。少なくとも俺は。だから足を掬われた。
背後から飛んできた鉄骨が思い切り頭にぶつかって、痛みを感じたのとほぼ同時に意識を失って……次に気付いたときには、紅樹の顔が目の前にあった。
その直前、幻覚かも知れないが全身を白い電流が駆け巡ったのを感じた。
『あいつは……?』
『終わったよ。大丈夫』
安心させるように微笑った紅樹の顔が泣いているように見えて、まだ力が入らない腕を何とか持ち上げてハグしてやった。抱き返す腕が震えていたのを覚えている。
あとで聞いたら、心肺蘇生のために通電したのだという。
一か八か。自分の異能を最大限都合良く解釈して『蘇生するのに適切な電力を体に通す』を、土壇場でやってのけたのだ。失敗したらそれがトドメになっていたのに、紅樹は俺を助けるため、仲間に異能を向けた反逆者として処分される可能性さえ頭に過ぎらせて、それでも覚悟を決めてくれた。
だから俺は、紅樹の異能を地味だなんて思わない。
破壊に特化しがちなペルクナスの中でも繊細で優しい紅樹らしい、特別な異能だと思うから。
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