第2話「港町」

 俺は眠りに入った後、草原で目が覚めた。そこには死んだはずのヘルマがいた。

「ずっと黙っていて悪かったな。まぁ旅の話はあとで話そう、私はいつもお前を見ているからな!気張ってけよ!」

 俺は日差しによって目が覚めた。不意に目から涙が流れていた。


ーーー創世歴522年10月9日

 俺は馬に乗って王都を発った。馬を走らせ約30分そろそろ休憩を挟もうと思っていた時、前方に馬車が止まっているのが見えた。こういう時の挨拶は大切だと団長が教えてくれたため俺は軽く挨拶しようと近寄ると魔物に襲われていた。魔物はオークとオークジェネラルだった。

 あの数なら俺でも倒せるだろうか…いや、馬車を扱えるということはそれなりに権力か財力のある人物。助けるのが得策だろう。俺は馬から降りて剣を抜いた。

「大丈夫か?!」

護衛らしき人物は1人だった。

「さっきまで護衛の冒険者たちがいたが殺されてしまった!」

パーティーを倒したのか…そのパーティーのランクが低かったのだろう。街道にでるモンスターで言えば本来ゴブリン、強くてもホブゴブリンが関の山だ。それにもかかわらずオークが出て来て戸惑って連携が取れずに殺されたんだろう。

「あんたはオークを相手してくれるか?!後ろのオークジェネラルは俺がやる!」

護衛は頷きながら

「任せた!」

オークジェネラル、力だけで言えば俺よりも強い。だがしかし、俺はそれなりに魔法も使える。敵が入り乱れる戦場で魔法を使いえばいざという時に回復出来なくなる。しかし、後ろのオークは護衛が、俺が相手するのは一体。充分に勝機はある!

「ウィンド!」

俺は空中に飛び上がり即座に斬りかかったが、受けられてしまった。払われて俺は5メートルほど吹っ飛んだ。顔を上げるとオークジェネラルが棍棒を振り上げていた。俺は危機一髪のところで横に回避した。攻撃魔法は魔力の消費が大きいから使いたくないが、団長から貰ったこの宝剣と使うと面白いことが起きるかもしれない。

「ファイアボール」

思った通り宝剣に吸収された。おそらくミスリル製だろう。小さい傭兵団のくせにすげえもん隠してやがったぜ。この状態で攻撃すれば相手を燃やしながら切ることができる。俺は瞬時に斬りかかった。しかしさすがジェネラル、攻撃を受け止めやがった。しかしな、この攻撃はおまえの木製の棍棒とは相性最悪!次からは素手で戦いやがれ!

「ガルルルルル」

ジェネラルは興奮して俺に襲いかかった。

 ある日団長は俺に対して面白いことを教えてくれた。

「お前のように常時冷静なやつの攻撃は不規則だが、興奮した相手ほど読みやすい相手はいない。」

 団長の言っていることは本当であった。このジェネラルの攻撃はまっすぐ俺に飛びかかってくる。俺は横に回避をし剣を背中側に置き、ジェネラルが飛び込んだところで斬りあげて首を落とした。振り返るとあちらもオークを殲滅していた。俺らがほっとしていると森から轟音が鳴った。おそらく咆哮だろう。鳥肌が立ち、その場で硬直してしまった。そうオーガだ。勝てない、魔力全消費して撃つ魔法でようやく腕一本落とせるような相手だ。今の俺に勝てるわけがない。でもここで見捨てるのはよくない。

「ハイリスクハイリターンだな」

オーガは俺に殴りかかった。俺は棍棒をいなし、斬りつけたが皮膚が硬すぎて金属を斬っているような感じがした。俺の剣じゃ太刀打ち出来ないことがわかった。綺麗だから使いたくなかったけど宝剣を使うしかない。幸運なことに付与された炎魔法は残っている。俺は即座に宝剣で斬りかかったがやはり力が足りなく切り裂けない。傷は付いたが決定打にはならない。

 回避、斬りつけ、を続けていると後ろから

「伏せろ!」

と一言聞こえた。俺は即座に伏せると後ろから剣を持った冒険者がオーガを斬りつけた。すごい、俺じゃびくともしなかったのに斬り裂いている。

「リナぁぁ!」

そう叫ぶと後ろから

「フルバレットファイア!」

魔法師が魔法を打ち込んだ。しかしオーガは左肩から下を全て失っただけだった。そこでタンクが挑発スキルを使い剣士に攻撃が行くのを避けた。そこでやっと彼らの正体が分かった。彼らはB級冒険者パーティーの銀翼だった。そしてオーガはA級の魔物。オーガも弱っているがあちらももう決定打を出せないようだった。俺はこの状況で出し惜しみしてる場合じゃないことを悟り魔力回復ポーションを使って魔力を回復させた。これは一度魔王の戦いを見た時に見た技の真似事…それでも威力は保証できる。

「龍撃線!」

オーガは無事跡形もなく消し去ったが俺は魔力切れを起こして倒れてしまった。

 気がつくと夜だった。焚き火のパチパチという音と美味しそうな匂いにつられて起き上がると。少し小太りな裕福そうなおじさんが

「起きましたか…」

と声をかけてくれた。すると後ろから

「よかったぁ起きたんですね!回復魔法で応急処置はしてあるので多分大丈夫だと思います。」

さっきのパーティーのヒーラーの子か。

「君は冒険者なのかい?」

剣士が聞いて来た。

「いや、俺は元傭兵の旅人だ」

魔法師のリナという子は驚いて聞いて来た。

「あの魔法どこで覚えたの?!ちなみに発動方法と属性は何?!」

「リナは魔法関連になるととことん周りが見えなくなるんだ。すまないね。僕はこのパーティー銀翼のリーダーで剣士オルフだ。そしてタンクのタマル、魔法師のリナ、ヒーラーのテルマだ。」

リーダーであるオラフは自己紹介とパーティーメンバーの紹介をしてくれた。

「俺はアストラルだ、よろしく」

その後握手を交わした後、今日の話などの雑談をし綺麗な星空を見ながら眠りについた。


ーーー10月10日

 皆が目を醒ますと、オルフェングルに向かい出発した。道中何もなく、場所漁港オルフェングルに着いた。その後助けたフゴーさんのフゴー商会に行って来た。そこでこの町での宿屋を手配してもらったのだ。明日は冒険者登録を済ませて船賃を貯めるとするか。



            次回「パーティー」

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フルンクドゥチ・サガ 田んぼの左上 @tanbonohidariue

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