　川村君がパスされたボールを受け取って駆ける。

　その足さばき、後ろ姿を見逃すまいと瞬きを我慢する。

　三人抜きしてゴールした川村君が、同じクラスのなんとか君とハイタッチして笑顔を弾けさせる。

　腕で汗を拭う姿がかっこよくて、胸が高鳴る。

　拭いきれなかったのか、フォームの裾で顔を拭く。

　その瞬間。チョコレートのようにきれいに割れた腹筋がお披露目されて、腹の奥が疼くような感覚に襲われる。

　ゲームが再会されて、川村君がボールを追いかける。

　相手チームから奪ったボールを勢いよく蹴って、鋭いパスを回す。

　ああ、ボールになりたい。

　できればユニフォームになりたい。

　願わくば下着になりたい。

　川村君の汗が染み込んだ足で踏まれたい。

　汗を染み込まされたい。

　最も川村くんを感じる場所を守りたい。

　妄想で垂れた涎を拭って、今日も双眼鏡を片手に川村君をウォッチする。

　同級生の特権だ！

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