第10話 Confession of love
☆
一体、どういう事だ。
虹ちゃんから話されたのだが。
アイツ。
つまり彩香がデートに誘いたいと言っているらしい。
そんな馬鹿な。
俺は苦笑いで対応した。
それから俺は翌日を迎え。
そのまま家から出る。
そして門の辺りで愕然とした。
何故なら。
「おはよ」
「な、何をしているんだお前は!?」
何故か門の側に彩香が立っている。
俺を見ながら「何?」となる。
それは俺が聞きたい。
何故お主が居るんだよ。
「彩香。珍しいな。俺の家に来るとか」
「そうかな。珍しい...よね。確かに。来てみたかったから」
「だからって今日来る必要は無かったぞ。ビックリだわ」
「わ、私だって来たくはなかったけど。虹が言うから。だから」
「そんなに俺とのデートが楽しみなのか?」
「ち、がうし!」
確かにな。
今のは冗談で言っただけだ。
彼女がそういうのを望んでいるとは思えない。
俺はそう思いながら彩香を見る。
彩香は俺を見てから赤面してから横を見た。
それから歩き出す。
「わ、私は仕方がなく来ただけだから」
「そうか」
「...だから勘違いしないで」
「知ってる。俺はもう目が覚めたしな」
そう言いながら俺は肩をすくめる。
それから俺は空を見上げた。
7月の空を。
それにしても眠いもんだな。
「ねえ。栄一郎」
「ああ。どうした」
「放課後のデート...嫌じゃなかった?」
「そんな訳...あるか?無いぞ」
「...そ、そう?」
俺がそう否定すると。
彩香は随分と嬉しそうに反応した。
俺は「?」を浮かべながら彼女を見る。
彼女は「さ、さっさと行くよ。遅刻しちゃう」と言い出す。
その言葉に俺は「そうだな」と返事をしながら柔和になる。
それから俺達は歩く。
そんな間も彩香がチラチラ俺を見てくる。
何だってんだ?
「彩香?お前何かおかしいぞ?」
「ふぁ!?な、何が?!」
「い、いや。何か俺に対して何かを求めている様な?」
「べ、別に!?私は何も求めてないよ!」
「そうか?」
「ま、全く」と言う彩香。
俺はその姿に少しだけ溜息を吐きながら彩香を見てみる。
すると彩香は「ね、ねえ」と見てくる。
「迷惑じゃ無かったから」
「何がだ?」
「私は...貴方に告白されて色々な事を知った。それから私は本当に救われた。あれこれ言っているけど。私は...決して...」
「...」
俺は赤くなりながら彼女を見る。
「そりゃ最初はウザかったけどね」と言いながら怒る。
だが直ぐに彼女は「本当に最初だけウザかったけど」と言い淀む。
そして彼女は赤くなりながら俺を見る。
「最初、だけだった」
「オイ。ご、誤解するから」
「誤解?何の?」
「い、いや。何のってそれは...」
俺は言葉に出せず。
そのまま言い淀みながら居ると。
彩香は「ま、まあこれぐらいで」と切り出す。
それからそそくさと歩き出した。
俺は何が起こったか分からない様な顔をしながら彩香を見る。
「なあ。彩香」
「何?栄一郎」
「万に一つの可能性だけど」
「うん」
「お前、俺が好きか?」
「...いや。無いよ。それは」
顔は「そう」と言っている。
だが彼女は明確に否定しながら俺を見る。
俺はその顔に見惚れながら「そうか」と顔を逸らした。
それから学校に登校する。
そして歩いて昇降口に向かう。
すると「おにーちゃん」と声がした。
背後を見てみるとそこにナターシャが居た。
「よお。ナターシャ」
「...その顔。もしかして彩香さんかな?」
「そ、そんな訳無いだろ。良い加減にしろ」
「ふーん...」
「無いって。お前の考えている要素は」
「ふーん...」とジト目をするナターシャ。
すると俺の背後から「ナターシャさん」と彩香が言葉を発した。
それから数秒間黙り。
「私は貴方に負けない」と決意の表明をした。
俺はその言葉に「?」を浮かべる。
「...へぇ?彩香さん。遂に認めるんですか?」
「認めた訳じゃないけど。もうここまで来たらいっそ言う。...私は栄一郎が好き」
「...はっあ!!!!!!!!!!!!!?!」
俺はぼうっと赤面する。
それから彩香を慌ててみる。
「あ、彩香!どういう事だ!!!!!」と真っ赤になりながら、だ。
外堀を埋められた感じだが!?
そう思いながら俺はナターシャを見る。
「...遂に認めましたね。...だったら私は貴方とは良きライバルです」
「私は...ずっと隠していた。だけどもうハッキリした。これは恋だと」
「ま、待てお前ら!?勝手に話を進めるな!」
「進める?何をですか?」
「お、俺を差し置いて恋をするな」
「...だって好きになったんだから」
「そうですね。お兄ちゃんを好きなってしまったんですから」
彩香を見る。
あり得ないぞこんな馬鹿な。
俺が、俺が好き!?
そんな馬鹿な!
こんなハタ迷惑な野郎を好きに!?
「だから私は栄一郎を取られたくはない」
「それは同感です。私も貴方にお兄ちゃんを渡さない」
周りが集まって来た。
学内でも白雪姫と呼ばれる存在達が戦っているのだ。
そりゃそうなるけど。
か、解散しないと。
「オイお前ら。もう解散しよう。この場で戦うな」
「そうですね。野次馬も多いですし」
「私は...言いたい事が言えた」
「...お、お前ら...」
告白合戦。
収拾がつかない。
すると根本が顔を見せた。
「何事だ?」という感じだったが俺達を見てから「ほほーう?」とニヤッとした。
それから「ほらほら。解散解散」と野次馬に大声を発して誘導する。
「根本...」
「柴葉。遂にか」
「...お前知っていたのか」
「...当然。...俺が女子を失ったのは知っているだろ」
「...そうだが...」
ったくこのキザ野郎め。
俺はそう思いながら居ると「栄一郎」と声がした。
それから俺の腕を持つ。
そして見上げてきた。
「当然私を選ぶよね」
「今決めれる訳無いだろ!ふざけんな!」
「ふぁ、アッハッハ」
クソッタレ!どいつもこいつも!
100回目の告白がまさかコイツからとは。
そう思いながら俺は汗を噴き出す。
どいつもこいつも猛烈に可愛い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます