第10話 Confession of love


一体、どういう事だ。

虹ちゃんから話されたのだが。

アイツ。

つまり彩香がデートに誘いたいと言っているらしい。

そんな馬鹿な。

俺は苦笑いで対応した。


それから俺は翌日を迎え。

そのまま家から出る。

そして門の辺りで愕然とした。

何故なら。


「おはよ」

「な、何をしているんだお前は!?」


何故か門の側に彩香が立っている。

俺を見ながら「何?」となる。

それは俺が聞きたい。

何故お主が居るんだよ。


「彩香。珍しいな。俺の家に来るとか」

「そうかな。珍しい...よね。確かに。来てみたかったから」

「だからって今日来る必要は無かったぞ。ビックリだわ」

「わ、私だって来たくはなかったけど。虹が言うから。だから」

「そんなに俺とのデートが楽しみなのか?」

「ち、がうし!」


確かにな。

今のは冗談で言っただけだ。

彼女がそういうのを望んでいるとは思えない。

俺はそう思いながら彩香を見る。

彩香は俺を見てから赤面してから横を見た。

それから歩き出す。


「わ、私は仕方がなく来ただけだから」

「そうか」

「...だから勘違いしないで」

「知ってる。俺はもう目が覚めたしな」


そう言いながら俺は肩をすくめる。

それから俺は空を見上げた。

7月の空を。

それにしても眠いもんだな。


「ねえ。栄一郎」

「ああ。どうした」

「放課後のデート...嫌じゃなかった?」

「そんな訳...あるか?無いぞ」

「...そ、そう?」


俺がそう否定すると。

彩香は随分と嬉しそうに反応した。

俺は「?」を浮かべながら彼女を見る。

彼女は「さ、さっさと行くよ。遅刻しちゃう」と言い出す。


その言葉に俺は「そうだな」と返事をしながら柔和になる。

それから俺達は歩く。

そんな間も彩香がチラチラ俺を見てくる。

何だってんだ?


「彩香?お前何かおかしいぞ?」

「ふぁ!?な、何が?!」

「い、いや。何か俺に対して何かを求めている様な?」

「べ、別に!?私は何も求めてないよ!」

「そうか?」


「ま、全く」と言う彩香。

俺はその姿に少しだけ溜息を吐きながら彩香を見てみる。

すると彩香は「ね、ねえ」と見てくる。


「迷惑じゃ無かったから」

「何がだ?」

「私は...貴方に告白されて色々な事を知った。それから私は本当に救われた。あれこれ言っているけど。私は...決して...」

「...」


俺は赤くなりながら彼女を見る。

「そりゃ最初はウザかったけどね」と言いながら怒る。

だが直ぐに彼女は「本当に最初だけウザかったけど」と言い淀む。

そして彼女は赤くなりながら俺を見る。


「最初、だけだった」

「オイ。ご、誤解するから」

「誤解?何の?」

「い、いや。何のってそれは...」


俺は言葉に出せず。

そのまま言い淀みながら居ると。

彩香は「ま、まあこれぐらいで」と切り出す。

それからそそくさと歩き出した。

俺は何が起こったか分からない様な顔をしながら彩香を見る。


「なあ。彩香」

「何?栄一郎」

「万に一つの可能性だけど」

「うん」

「お前、俺が好きか?」

「...いや。無いよ。それは」


顔は「そう」と言っている。

だが彼女は明確に否定しながら俺を見る。

俺はその顔に見惚れながら「そうか」と顔を逸らした。


それから学校に登校する。

そして歩いて昇降口に向かう。

すると「おにーちゃん」と声がした。

背後を見てみるとそこにナターシャが居た。


「よお。ナターシャ」

「...その顔。もしかして彩香さんかな?」

「そ、そんな訳無いだろ。良い加減にしろ」

「ふーん...」

「無いって。お前の考えている要素は」


「ふーん...」とジト目をするナターシャ。

すると俺の背後から「ナターシャさん」と彩香が言葉を発した。

それから数秒間黙り。

「私は貴方に負けない」と決意の表明をした。

俺はその言葉に「?」を浮かべる。


「...へぇ?彩香さん。遂に認めるんですか?」

「認めた訳じゃないけど。もうここまで来たらいっそ言う。...私は栄一郎が好き」

「...はっあ!!!!!!!!!!!!!?!」


俺はぼうっと赤面する。

それから彩香を慌ててみる。

「あ、彩香!どういう事だ!!!!!」と真っ赤になりながら、だ。

外堀を埋められた感じだが!?

そう思いながら俺はナターシャを見る。


「...遂に認めましたね。...だったら私は貴方とは良きライバルです」

「私は...ずっと隠していた。だけどもうハッキリした。これは恋だと」

「ま、待てお前ら!?勝手に話を進めるな!」

「進める?何をですか?」

「お、俺を差し置いて恋をするな」

「...だって好きになったんだから」

「そうですね。お兄ちゃんを好きなってしまったんですから」


彩香を見る。

あり得ないぞこんな馬鹿な。

俺が、俺が好き!?

そんな馬鹿な!

こんなハタ迷惑な野郎を好きに!?


「だから私は栄一郎を取られたくはない」

「それは同感です。私も貴方にお兄ちゃんを渡さない」


周りが集まって来た。

学内でも白雪姫と呼ばれる存在達が戦っているのだ。

そりゃそうなるけど。

か、解散しないと。


「オイお前ら。もう解散しよう。この場で戦うな」

「そうですね。野次馬も多いですし」

「私は...言いたい事が言えた」

「...お、お前ら...」


告白合戦。

収拾がつかない。

すると根本が顔を見せた。

「何事だ?」という感じだったが俺達を見てから「ほほーう?」とニヤッとした。

それから「ほらほら。解散解散」と野次馬に大声を発して誘導する。


「根本...」

「柴葉。遂にか」

「...お前知っていたのか」

「...当然。...俺が女子を失ったのは知っているだろ」

「...そうだが...」


ったくこのキザ野郎め。

俺はそう思いながら居ると「栄一郎」と声がした。

それから俺の腕を持つ。

そして見上げてきた。


「当然私を選ぶよね」

「今決めれる訳無いだろ!ふざけんな!」

「ふぁ、アッハッハ」


クソッタレ!どいつもこいつも!

100回目の告白がまさかコイツからとは。

そう思いながら俺は汗を噴き出す。

どいつもこいつも猛烈に可愛い。

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