第9話 100回目になったら


俺は彼女にめいいっぱい迷惑を掛けている。

だからこそ俺はもう彼女に告白をしないつもりで。

99回で告白を止めた。

それからその彼女の虹という妹さんに出会った。

そして言われた。


「お姉ちゃんは貴方の告白が鬱陶しかった訳じゃない」


という感じで、だ。

というか待ってくれ。

だとするなら今までの99回の。

告白が全て鬱陶しかった訳じゃない?

それはどういう意味だ。


そう考えながら俺は家に帰って来る。

そして俺は部屋に行くと...メッセージが入った。

俺は「?」を浮かべてスマホを開く。

そこに彩香からメッセージが。


(今日は有難う)


という感じでメッセージが入っている。

俺は目をパチクリしながらも笑みを浮かべて(ああ)と返事をする。

すると(貴方はいつも私を助けてくれるね)と書いてきた。

俺は「?」を浮かべて椅子に腰掛ける。


(そんな事はない。お前が全てやっているだけ。全てお前の頑張りと。お前の誘いに乗っているだけだぞ)

(栄一郎。私はそれでも貴方に助けられた。今日もそうだけど。貴方はいつも私を助けてくれるね)

(...鬱陶しいかな?)

(そんな訳無いでしょう。...私はむしろ感謝している。貴方に)


そう書いてくる彩香。

俺は「...」と考えながらそれから外を見てから(鬱陶しかったら言ってくれ。俺は仮にもお前に迷惑を掛けているから)と言う。

すると(...本当にそう思う?)と帰ってきた。

は?


(どういう意味だ?)

(...内緒。じゃあね)

(待て。どういう意味だ!?)


そして彩香は返事を書く事は無く。

モヤモヤな感じで俺は赤くなっていた。

そして布団を抱えて悶える。

どういう事だ。

どうなっているのだ。


「ええくそ。どうなっている」


そんな事を呟きながら俺はスマホを観る。

だが返事は無かった。

それから俺はまた悶える。

ったく畜生め勘違いしてしまうだろうよ。



「ああああああああああ!!!!!!!!!!」


私は顔を激熱にして真っ赤になって絶叫する。

それからスマホを持って転がる。

本当にそう思う?、とか!!!!!

匂わせるなっての!!!!?


「え、栄一郎が好きって事じゃないから」


そう言い聞かせながら私はぬいぐるみを抱える。

それから趣味である少女漫画を読み始める。

ドキドキするとかあり得ないと思っていたのに。

今までもこれからもずっと。

あり得ないと。


「...私はきっとおかしい。煩悩がある」


そんな事を呟きながら私はスマホを投げる。

それからベッドにダイブした。

だけど私は絶対に彼が好きではない。

あんなに鬱陶しい彼なんぞ。


でも私。

100回目の告白の時に。


「アハハ。...でも私...期待していたんだな」


そう呟きながら私はスマホを観る。

光らない画面。

返事を打つ気も無い。

だけど。

だけど...私は。


「...決めた。...私、100回目の告白があったら私も...」

「うん?私も何?お姉ちゃん。100回目で」

「100回目のこくは...は!!!!?」


私はガバッと起き上がる。

そして横を見る。

すると何故か虹が居た。

虹はニヤニヤしながら(^^)にして立っている。

何をしている!!!!?


「に、虹。何時から居たの」

「絶叫した時から」

「ほぼ初めじゃん!!!!!」

「もー。煩かったもん」

「酷い!」


「もー!!!!!」と言いながら私は真っ赤になって虹を見る。

虹は「お姉ちゃん。もう隠さないで良いんじゃない?それ初恋だよ」と言ってくる。

そして学習机の椅子に腰掛ける虹。

私は「...いや。これは恋じゃない」と否定するが。

胸が熱くなる。


「...お姉ちゃん。...隠しても苦しいだけだよ。私を見ていれば分かるけど」

「...虹...」

「私は早く認めた方が楽になると思う。...私は全力で応援する」

「...」


だけど私は栄一郎が好きじゃない。

すきじゃ、無い。

スキじゃない。

とにかく好きじゃない。

だけど。


「...他の人に取られるのは嫌だなぁ」

「...そっか。決まりだね。お姉ちゃん」

「...これって恋なの?虹」

「でしょうね。恋だと思うよ」


そして虹は学習椅子に腰掛けたまま。

回転し始める。

私はその姿を見ながら「だってあり得ないよ」と言う。

99回もろくでもない告白だったのに。

惚れる?

あり得ない。


「最初から運命は決まって...いや。1回目で決まっていたんだよ。...運命がね」

「...」

「...私はお姉ちゃんの恋を馬鹿にしない。そして応援する」

「...私のこんな恋を?貴方は失恋しているのに」

「お姉ちゃんが好きだから幾らでも応援するよ。...失恋なんか関係ない」

「...」


私は素直に全て話した。

ライバルが居る可能性がある事。

私がどうしたら良いのか分からない事。

そして栄一郎にツンデレの様になってしまう事。

根本君に話した事。

虹は全てを受け止めてから柔和に聞く。


「...私は段々と素直になった方が良いと思う」

「素直?」

「ちょっとずつ彼に近付くべきだと思う。...お弁当を作ってあげるとか、何かを手伝うとか、どっかにさりげなく行くとか」

「で、でも私は...そんな理想は...」

「まあ確かにね。所詮は理想は理想だから。現実に移さないとその魅力的な女子に取られるよ」

「...!」


私は「...だね」と返事をしながら虹を見る。

虹は勢い良く立ち上がる。

それから「じゃあ決まり。...早速、明日の放課後。デートに栄一郎さんを連れて行こう」と言う。

い、いや!?!?!


「明日」

「は、早いよ!!!!?何を言っているの!!!!!」

「駄目駄目。こういうのは早くしないと。じゃあ栄一郎さんに電話してくるね♪」

「待って!お願い!虹!嘘でしょ!?」


そして私は。

翌日の放課後に虹のせいで無理矢理、デートする事になった。

こんなのアリ?

制服だったら服装整っているからって。

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