第9話 100回目になったら
☆
俺は彼女にめいいっぱい迷惑を掛けている。
だからこそ俺はもう彼女に告白をしないつもりで。
99回で告白を止めた。
それからその彼女の虹という妹さんに出会った。
そして言われた。
「お姉ちゃんは貴方の告白が鬱陶しかった訳じゃない」
という感じで、だ。
というか待ってくれ。
だとするなら今までの99回の。
告白が全て鬱陶しかった訳じゃない?
それはどういう意味だ。
そう考えながら俺は家に帰って来る。
そして俺は部屋に行くと...メッセージが入った。
俺は「?」を浮かべてスマホを開く。
そこに彩香からメッセージが。
(今日は有難う)
という感じでメッセージが入っている。
俺は目をパチクリしながらも笑みを浮かべて(ああ)と返事をする。
すると(貴方はいつも私を助けてくれるね)と書いてきた。
俺は「?」を浮かべて椅子に腰掛ける。
(そんな事はない。お前が全てやっているだけ。全てお前の頑張りと。お前の誘いに乗っているだけだぞ)
(栄一郎。私はそれでも貴方に助けられた。今日もそうだけど。貴方はいつも私を助けてくれるね)
(...鬱陶しいかな?)
(そんな訳無いでしょう。...私はむしろ感謝している。貴方に)
そう書いてくる彩香。
俺は「...」と考えながらそれから外を見てから(鬱陶しかったら言ってくれ。俺は仮にもお前に迷惑を掛けているから)と言う。
すると(...本当にそう思う?)と帰ってきた。
は?
(どういう意味だ?)
(...内緒。じゃあね)
(待て。どういう意味だ!?)
そして彩香は返事を書く事は無く。
モヤモヤな感じで俺は赤くなっていた。
そして布団を抱えて悶える。
どういう事だ。
どうなっているのだ。
「ええくそ。どうなっている」
そんな事を呟きながら俺はスマホを観る。
だが返事は無かった。
それから俺はまた悶える。
ったく畜生め勘違いしてしまうだろうよ。
☆
「ああああああああああ!!!!!!!!!!」
私は顔を激熱にして真っ赤になって絶叫する。
それからスマホを持って転がる。
本当にそう思う?、とか!!!!!
匂わせるなっての!!!!?
「え、栄一郎が好きって事じゃないから」
そう言い聞かせながら私はぬいぐるみを抱える。
それから趣味である少女漫画を読み始める。
ドキドキするとかあり得ないと思っていたのに。
今までもこれからもずっと。
あり得ないと。
「...私はきっとおかしい。煩悩がある」
そんな事を呟きながら私はスマホを投げる。
それからベッドにダイブした。
だけど私は絶対に彼が好きではない。
あんなに鬱陶しい彼なんぞ。
でも私。
100回目の告白の時に。
「アハハ。...でも私...期待していたんだな」
そう呟きながら私はスマホを観る。
光らない画面。
返事を打つ気も無い。
だけど。
だけど...私は。
「...決めた。...私、100回目の告白があったら私も...」
「うん?私も何?お姉ちゃん。100回目で」
「100回目のこくは...は!!!!?」
私はガバッと起き上がる。
そして横を見る。
すると何故か虹が居た。
虹はニヤニヤしながら(^^)にして立っている。
何をしている!!!!?
「に、虹。何時から居たの」
「絶叫した時から」
「ほぼ初めじゃん!!!!!」
「もー。煩かったもん」
「酷い!」
「もー!!!!!」と言いながら私は真っ赤になって虹を見る。
虹は「お姉ちゃん。もう隠さないで良いんじゃない?それ初恋だよ」と言ってくる。
そして学習机の椅子に腰掛ける虹。
私は「...いや。これは恋じゃない」と否定するが。
胸が熱くなる。
「...お姉ちゃん。...隠しても苦しいだけだよ。私を見ていれば分かるけど」
「...虹...」
「私は早く認めた方が楽になると思う。...私は全力で応援する」
「...」
だけど私は栄一郎が好きじゃない。
すきじゃ、無い。
スキじゃない。
とにかく好きじゃない。
だけど。
「...他の人に取られるのは嫌だなぁ」
「...そっか。決まりだね。お姉ちゃん」
「...これって恋なの?虹」
「でしょうね。恋だと思うよ」
そして虹は学習椅子に腰掛けたまま。
回転し始める。
私はその姿を見ながら「だってあり得ないよ」と言う。
99回もろくでもない告白だったのに。
惚れる?
あり得ない。
「最初から運命は決まって...いや。1回目で決まっていたんだよ。...運命がね」
「...」
「...私はお姉ちゃんの恋を馬鹿にしない。そして応援する」
「...私のこんな恋を?貴方は失恋しているのに」
「お姉ちゃんが好きだから幾らでも応援するよ。...失恋なんか関係ない」
「...」
私は素直に全て話した。
ライバルが居る可能性がある事。
私がどうしたら良いのか分からない事。
そして栄一郎にツンデレの様になってしまう事。
根本君に話した事。
虹は全てを受け止めてから柔和に聞く。
「...私は段々と素直になった方が良いと思う」
「素直?」
「ちょっとずつ彼に近付くべきだと思う。...お弁当を作ってあげるとか、何かを手伝うとか、どっかにさりげなく行くとか」
「で、でも私は...そんな理想は...」
「まあ確かにね。所詮は理想は理想だから。現実に移さないとその魅力的な女子に取られるよ」
「...!」
私は「...だね」と返事をしながら虹を見る。
虹は勢い良く立ち上がる。
それから「じゃあ決まり。...早速、明日の放課後。デートに栄一郎さんを連れて行こう」と言う。
い、いや!?!?!
「明日」
「は、早いよ!!!!?何を言っているの!!!!!」
「駄目駄目。こういうのは早くしないと。じゃあ栄一郎さんに電話してくるね♪」
「待って!お願い!虹!嘘でしょ!?」
そして私は。
翌日の放課後に虹のせいで無理矢理、デートする事になった。
こんなのアリ?
制服だったら服装整っているからって。
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