第3話 告白=大切な想い
☆
初めの頃だけど。
本当に入学当初、初めの頃に1回目の告白をされた。
「一目惚れです」と。
それは入学式の後のクラス分けがされた時だった。
私は非常に驚いたのもあって断ってしまった。
そして彼は...私を諦めずに追いかけて来た。
追いかけて来たっていうのは例えば優しくしてくれたり。
私を大切にしてくれた。
いつしか私は...その。
彼を気になってしまっていた。
彼はずっと私に告白をしてきた。
それは...何というか。
例えば小さな事でも告白する様な。
一緒の日直になったら、告白、みたいな。
どんなシチュエーションでも告白してきた。
私は「はいはい」という感じでスルーしていた。
いつしかそれが私達の間柄になっていた。
そして私もそれが心地良かった。
私は彼からの告白=大切な想いと思っていたのだ。
所が。
いきなり彼は告白をしなくなった。
そして1日が経過した。
私はその事に不安を感じながら彼に聞いたりしたが。
彼は「もう告白はしない」と断言した。
全て累計で99回目の話だった。
彼に聞いた所。
「お前に迷惑が掛かる」という答えだった。
私はその事に何だか...悲しくなった。
そんな思いだったのか。
彼は。
「...」
私はさっきの言葉に酷く落ち込んでいた。
(卒業したら別れ別れになる。顔を見なくても良くなるからそれまで待ってくれるか)という言葉に。
私はかなりショックだった。
「彩香。どうしたの?」
目の前に女子生徒がやって来る。
丁度、髪の毛をツインテールにした様な笑みが絶えない女子。
名前を凜花という。
須山凜花(すやまりんか)という。
私の大切なお友達だ。
「...凜花。...私は...馬鹿だったのかな」
「いきなりどうしたの?」
「...あ。ゴメンね。変な事を聞いて」
「...もしかして柴葉君の事?」
「い、いや。違うけど」
「嘘だねぇ。顔に書いてあるよ」
そんな事を言いながら私を見てくる凜花。
ニヤニヤしながら頬杖をつく。
上目遣いで私を見てきた。
私はその姿に赤面する。
「...違うもん」
「...あのねぇ。彩香。...逃がしちゃうよ?そんな調子だと」
「は、はい!?何が!?」
「...柴葉君。柴葉君とってもいい人だからさ」
「ち、違うもん。そんな関係じゃ無いし」
「でも告白されているんでしょ?99回も」
「...そうだけど...彼はもう告白しないって言った」
そう言いながら私は少しだけ悲しくなる。
彼からの告白が生きがいだったのもあるんだけど。
もしかして彼には...何か。
彼女が出来たのだろうか...。
彼の隣には私は居ないのだろうか。
「あのねぇ...それどう考えても」
そこまで凜花が言ったのだがチャイムが鳴った。
それから次の授業が始まる。
凜花は「また後でね」と言ったのでその姿に手を振った。
そして去って行く凜花。
「...」
私はこっそり横の栄一郎を見る。
栄一郎は友人の彼とずっと話していたがやがてチャイムが鳴って席に座った。
それから外の景色を見ている。
私は胸が締め付けられた。
☆
栄一郎に...その。
本当に彼女が居るのだろうか。
それを私は悩んでしまって部活に集中が出来ない。
私は吹奏楽部に所属しているのだけど全然集中できない。
諦めて私は部活を何とか終えて帰る。
そして歩いて下駄箱までとぼとぼ来ると栄一郎が丁度、下駄箱からローファーを出していた。
何故こんな遅い時間に彼が居る?
そう思いながら「栄一郎。また人助け?」と考えた言葉を発した。
すると栄一郎は「!」と私を見てから「そうだな」と柔和に答えた。
「高い所に猫が居てなぁ。それで助けていた」
「そ、そうなんだ」
「ああ」
「...」
やっぱり栄一郎は優しい。
そう思いながら私は彼を見る。
胸が締め付けられる。
心臓がバクバク高鳴る。
「え、栄一郎」
「ん?どした?」
「...一緒に帰ろう」
「は、はい?」
栄一郎は目を丸くする。
これはチャンスだ。
色々と聞き出すチャンス。
正直このままじゃいけない。
「な、何で一緒に帰るんだ」
「何でも良いでしょ。帰ろう」
「誤解されるって」
「誤解...ああ。栄一郎の告白の?」
「そ、そうだ。ただでさえ俺はお前に迷惑を掛けているんだから」
「栄一郎は本当にそう思うの?」
そう聞いた。
すると栄一郎は「え...!?」という感じになる。
だけど私はそれ以上は突っ込まなかった。
それから私達は2人で帰る。
「なあ。本当に誤解されるってばこれ」
「良いじゃない。私とアンタの仲だしね」
「お前の立場が心配だ」
「...」
通学路を歩く。
そして500メートルぐらい歩いてから私は「えいいちろう」と聞いた。
それからと栄一郎を見る。
栄一郎は「何だ?」と聞いてくる。
「...やっぱりいい。何でもない」
「何だ一体...」
「...」
聞けない。
(恋人が出来たんですか?居ますか?)なんてとても。
そう思いながら私は黙って歩いた。
すると途中で美味しそうなタピオカ屋さんがあった。
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