第17話 「うどんの日の謎 - 高松編」

7月2日、私たちは日本の四国地方、高松に到着した。この日は「うどんの日」として知られ、香川県は全国的にその名を轟かせるほどのうどんの名所だ。街はうどん愛好家たちで賑わい、美味しそうな香りが漂っていた。次なる依頼人は、地元で人気のうどん店「さぬき亭」の店主、村上さんだった。


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「探偵さん、どうか助けてください。今日の『うどんの日』のために特別に用意していた秘伝のだしが、今朝見つからなくなってしまったのです。」村上さんは焦燥の色を隠せなかった。


「秘伝のだしが消えたのはいつのことですか?」私は優しく尋ねた。


「今朝、開店準備をしていた時に気づきました。昨夜、しっかりと保管していたはずなのに…。」村上さんは困惑した表情を浮かべていた。


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私たちはまず、村上さんのうどん店とその周辺を詳しく調査することにした。店内は清潔で、うどんを茹でる大きな鍋や香ばしい香りが漂う厨房が整然と並んでいた。消失しただしが保管されていた場所には、何か手がかりが残されているかもしれない。


「まずは手がかりを探そう。」涼介が提案した。


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私たちは厨房を丹念に調べた。調理台の下には微かな足跡が残されており、窓の近くには何かが引きずられたような痕跡があった。


「ここに何かが隠されているかもしれない。」私は窓の周辺を詳しく調べた。


すると、窓枠の下に小さな紙切れが挟まっているのを見つけた。紙には「だしはいただいた。今日のイベントで使う予定だ」とだけ書かれていた。


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「どうやら、これが手がかりのようだ。」涼介が言った。


「今日のイベントに行ってみよう。」私は紙切れを手に、村上さんに伝えた。


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私たちは高松市内で行われる「うどんの日」のイベント会場に向かった。大勢の人々が集まり、うどんを楽しむ姿が見られた。様々なうどん店が出店し、特製うどんを提供している中、私たちは手がかりを探し続けた。


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「ここで特別なだしを使っている店があるかもしれない。」私は周囲を見渡した。


すると、一つのブースが異様なほどの行列を作っているのに気づいた。ブースには「秘伝のだし使用!」と大きく書かれていた。


「これは怪しい。」涼介が言った。


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私たちはブースの中に入ると、そこでうどんを提供していたのは、村上さんのライバル店の店主、佐々木さんだった。


「佐々木さん、どうして秘伝のだしを使っているのですか?」私は問い詰めた。


佐々木さんは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻し、「これは自分のだしです」と主張した。


「では、証拠を見せてください。もし本当に自分のだしなら、私たちも認めます。」涼介が言った。


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佐々木さんはしぶしぶだしのレシピを見せたが、それは明らかに村上さんの秘伝のレシピと一致していた。私たちはこの事実を確認し、イベント主催者に報告した。


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最終的に、佐々木さんは秘伝のだしを不正に入手していたことを認め、だしは村上さんの元に戻された。イベント主催者は佐々木さんのブースを閉鎖し、村上さんのブースで再び秘伝のだしを使った特製うどんが提供されることになった。


「これでうどんの日も無事に楽しめますね。」私は村上さんに微笑みかけた。


「本当にありがとうございます。これでお客様にも喜んでいただけます。」村上さんは感謝の言葉を述べた。


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その日の夕方、私たちは村上さんの店で特製うどんを楽しむことにしました。コシのある麺と風味豊かなだしが絶妙な味わいを生み出していた。高松の美しい夕日が沈む中、街は柔らかな灯りに包まれていました。


「やっぱり讃岐うどんは素晴らしいね。」涼介が満足そうに言った。


「ええ、特にこの秘伝のだしは絶品ね。」私は微笑んだ。


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食事の後、私たちは高松の夜景を楽しみながら、次の冒険に向けて準備を整えた。村上さんも満足そうに感謝の言葉を述べた。


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「世界探偵物語」の第17話「うどんの日の謎 - 高松編」はここまでです。次回もお楽しみに!

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