第9話 「消えた宝石 - カイロ編」

エジプトのカイロから次なる依頼が届きました。依頼人はカイロ博物館の館長、アフメド・ハッサン氏。博物館の展示品である貴重な古代エジプトの宝石が消失し、その宝石の行方を追うために私たちの助けが必要だと言うのです。


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カイロに到着した私、三田村香織とパートナーの藤田涼介は、早速カイロ博物館を訪れました。壮大なピラミッドが遠くに見える中、砂漠の乾いた風が私たちを迎えました。


アフメド館長は私たちを迎え入れ、消失した宝石について説明しました。「この宝石は古代エジプトの女王が身につけていたもので、非常に価値があります。昨日の夜、警備が薄かった時間帯に消えてしまいました。」


「まずは現場を見せていただけますか?」私は館長にそう告げ、展示室へ向かいました。


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展示室に入ると、美しい壁画と古代の遺物が並んでいました。宝石が展示されていたガラスケースは破壊され、無残な姿を晒していました。


「この時間帯に何か不審な人物を見かけましたか?」涼介が警備員に尋ねました。


「はい、昨夜は見慣れない人物が館内をうろついていましたが、すぐに姿を消してしまいました。」警備員は答えました。


「その人物の特徴を教えてください。」私はメモを取り出し、警備員の話を詳しく聞きました。


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私たちはその情報を元に、カイロ市内の聞き込みを始めました。市場や路地を歩き回り、目撃情報を集めました。カイロの街は賑やかで、色とりどりの商品や香辛料の香りが漂っていました。


「この辺りで不審な人物を見かけた人はいませんか?」私は市場の店主たちに尋ねました。


「そういえば、昨夜遅くに怪しい男がこの辺りを歩いていました。」ある店主が答えました。


「その男がどこへ行ったか分かりますか?」涼介がさらに尋ねました。


「確か、ナイル川のほとりに向かって歩いて行ったようです。」店主は思い出しながら答えました。


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私たちはナイル川のほとりへ向かい、さらなる手がかりを探し始めました。川沿いの古い建物や船を注意深く調べました。すると、一隅に古い倉庫があることに気づきました。


「ここを調べてみましょう。」私は慎重に扉を開け、中に入ってみました。倉庫の中には、盗まれた宝石と共に、いくつかの古代エジプトの遺物が隠されていました。


「これが盗まれた宝石ですね。」涼介が宝石を確認しながら言いました。


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その時、倉庫の奥から足音が聞こえてきました。私たちは息を潜め、様子を窺いました。不審な男が倉庫に入ってきて、宝石を手に取ろうとした瞬間、私たちは彼を取り押さえました。


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男が宝石に手を伸ばしたその瞬間、私は涼介に合図を送りました。「今だ!」私は素早く飛び出し、男の腕をつかみました。


男は驚いて抵抗しようとしましたが、涼介が素早く背後から男を取り押さえました。彼は腕をひねり上げ、男を動けなくしました。「動くな!おとなしくしろ!」涼介が冷静に指示しました。


「あなたが宝石を盗んだ犯人ですね。」私は男の目を見据えながら言いました。


男は観念したようにうなずきました。「その通りだ。しかし、私は一人ではない。黒幕がいるのだ。」


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男の供述から、私たちはさらなる調査を進め、黒幕の存在を突き止めました。黒幕はカイロの有名な美術品密売人であり、盗まれた宝石を国外に売りさばこうとしていたのです。


「これで全ての謎が解けましたね。」涼介が言いました。


「はい、この事件も無事に解決できて良かったです。」私は微笑みながら答えました。


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その日の夕方、アフメド館長の紹介で、私たちはカイロの伝統料理を楽しむことにしました。ナイル川沿いのレストランで、コシャリやファラフェルを堪能しました。


「やっぱりエジプト料理は格別だね。」涼介がコシャリを楽しみながら言いました。


「ええ、特にこのファラフェルは絶品ね。」私は微笑みながら答えました。


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食事の後、私たちはカイロの美しい夜景を楽しみました。ピラミッドのライトアップが夜空に浮かび上がり、神秘的な雰囲気が漂う中で、次の冒険に思いを馳せました。


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「世界探偵物語」の第9話「消えた宝石 - カイロ編」はここまでです。次回もお楽しみに!

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