アンドロイドはいかがですか

 「アンドロイドを作りませんか」というローランの提案は唐突だった。



「その目的は?」



「私はあくまでもAIですから、物理的な支援は難しいです。これから海中に沈んだ都市をはじめとした地域も探索するなら、ボディーガードとして必要でしょう。それにアンドロイドなら食料は不要です」



 僕は一瞬考えた後に頷く。人員を増やしながら、自身の身を守る。ローランの提案は実に合理的だ。



「それで、設計は君にお願いできるかい? 作るのは得意だけど、考えるのは苦手だから」



「ええ、もちろん」



「じゃあ、その間に偽装服に潜水機能を追加しておくよ。設計図ができたら、声をかけて」



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 ローランの作った設計図を見ながら一人で頷く。センサードローンにシールド機能。索敵と防御を両立させている。だが、肝心な攻撃機能がない。



「ローラン、これ攻撃はどうやってするのさ。設計図には見当たらないけど」



「そこまでの機能を搭載するのには、材料が足りませんでした。攻撃は電気銃を使ってご自身で担当してください」



 なるほどね。しかし、戦闘が苦手な僕にどこまでその役目が務まるか。まあ、アンドロイドを作ってから考えるしかなさそうだ。



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 出来上がったアンドロイドは筋肉質な体型に、黒を基調とした外見。両腕にはシールド機能と索敵用ドローンが装備されている。よし、設計図通りだ。



「どうですか、私の設計したアンドロイドは」とローラン。



「最高だよ。さっそく起動してみようか。3、2、1……起動」



 アンドロイドはゆっくり立ち上がると僕を見つめる。



「私はセキュリティアンドロイドS-01です。ご指示をお願いします」



 あの角モグラの鉄からこんな立派なアンドロイドが出来上がるとは感慨深い。



「よろしく、S-01。うーん、呼びにくいし、名前がある方がいいな。よし、君の名前はニコラだ」



「私の名前はニコラ。了解しました」



「よろしく、ニコラ。さて、次は……」



「ローラン、正直に言っていいかい。戦闘のことなんだけど、すごく不安なんだ」



「分かります。ですが、実戦に備える方法があります。VRシミュレーションです。これを使って戦闘練習をしましょう」



「VRシミュレーションか。それなら少しは安心かも」



 ローランの指示に従い、僕はVRゴーグルを装着した。視界が一瞬で変わり、仮想の戦闘環境が広がる。リアルな風景とともに、敵のアンドロイドや危険な生物が出現した。例の浮遊クラゲも。



「このシミュレーションでは、電気銃の操作や敵の動きを読む練習ができます。さあ、まずは基本の操作から始めましょう」



 ローランの声がヘッドセットを通じて聞こえてくる。指示に従い、僕は電気銃を手に取り、ターゲットに向かって狙いを定める。心拍数が上がるのを感じながらも、集中してトリガーを引く。



「いい調子です、レオン。次は動きながら撃つ練習です。敵の動きをよく見て、正確に狙いを定めてください」



 仮想の敵が次々と現れる。僕は汗をかきながらも、動きながら正確に撃つ練習を続けた。何度か失敗もしたが、次第にコツをつかみ始めた。



「最後に実戦を想定したシナリオを試してみましょう。敵が複数方向から襲ってきますので、冷静に対処してください」



 ローランの指示で始まったシナリオは、予想以上にリアルだった。敵が次々と現れ、僕は冷静に対処しようと努力した。数分後、最後の敵を倒し、シミュレーションが終了した。



「お疲れ様でした、レオン。非常に良い結果です。これで少しは自信がつきましたか?」



「うん、ありがとう、ローラン。まだ不安はあるけど、前よりはずっとマシだよ。ニコラと一緒ならなんとかなる気がする」



 僕はVRゴーグルを外し、現実の世界に戻った。ニコラが静かに立っているのを見て、少しだけ安心感が広がる。



「次の探索に備えて、しっかり休んでおこう。明日は忙しくなりそうだ」

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