第14話 終わらない地獄
海のそばにある、ある別荘。そこには世にも有名なお金持ちが住んでいた。その父親は世にも人気のあるSNSを運用しており、総資産1兆円を超えている。そこに住む一人娘、江本夏子は一流大学に通う、将来有望だと言われるほどに、経済や政治に精通している。
「おはよう夏子」
と、友達の光原鈴音が話しかけた。
「おはよう鈴音」
夏子は鈴音の挨拶にこたえる。
「今日もいい天気ですね」
「ええ」
二人はそんな他愛のない会話をしながら講義室に向かう。
そして放課後、
「今夜、お茶会を家で開くの。鈴音さんも来ない?」
「行きたいです」
鈴音は即答した。だが、彼女はまだこれが終わらない地獄へとつながることを知る由もなかった。
「こんにちは……源十郎さん」
と、鈴音は夏子の父親に話しかける。
「そんな硬くならなくても。私の最愛の娘である夏子の友達なんだからな」
と言ってメイドにお茶を入れるように促した。そしてメイドはすぐさまお茶を入れ、夏子、鈴音、源十郎はお茶を硯と飲む。
「おいしいです!」
と、鈴音が言うと、源十郎は「それは良かった」と言った。しかし、それを境に鈴音の視界は暗闇に閉ざされた。
「……ここは……」
鈴音は目を覚まし、周りを府と見渡す。暗くてよくは見えないが、三つほどわかったことがある。一つ……自分は手を上に無理やり上げられる形で拘束されているという事。二つ目……目の前には自分と同じく拘束されている手を上に上げられ拘束されている人や、後ろ手に拘束されている人や、首枷と手枷をつながれている人、木の板で首と腕を拘束されている人、その他さまざまな方法で拘束されている人がいた。その人たちの顔を見るともう絶望しているようだった。
そして電気が消され、灯りのともらない部屋になった。
しばらくたった。もう一週間たった気がする。手もさすがに痛くなってきた。
「気分はどう? 鈴音」
夏子が話しかけてきた。
「……夏子?」
鈴音は弱々しい声で返事をする。
「今の時間知ってる?」
「?」
「じゃあ質問を変えますね。……あれからどれくらいたったと思う?」
「二日くらいですか?」
鈴音は体内時計と、体の衰弱具合でそう推測した。
「正解は五時間でした!」
と、夏子は鈴音のおなかを蹴る。
「痛い!」
「気分はどうですか? 親友だと思っていた人に裏切られた気分はどう?」
「……」
「答えられないの? つまらないわね。じゃあこたえられるまでおなかを蹴るわね」
「……私は……なんでここにいるのかわかりません」
「わからない?」
鈴音は思わす体を後ろにそむける。
「じゃあ訳を教えてあげる! 私はそこらの一般peopleをいじめるの飽きたの。あなたも知っているでしょ! 最近巷で話題の連続誘拐事件。あれの犯人私なの。私は人をいじめるのが好きなの。でも高校卒業して、いじめられる環境がなくなった。でもこの天才は考えたの。いじめることのできる人をさらってきたらいいじゃないってことに」
「私は……あなたの友達だからさらわれたっていう事ですか?」
「いえ、私があなたの友達になった理由はあなたの絶望度を上げるためなの。それよりもやりたいことがあるの。ついてきて!」
と、私の腕の手枷を解除さえ、今度は後ろ手に冷たい手枷をはめられ、私の右手と左手は鎖でつながれた。そしてその鎖はまた首枷とつながれてしまった。
「そして、長い鎖によってある程度の自由が許された足で夏子を追いかける。
「着いたわ! 海よ!」
と、すぐさま頭をつかまれ、海に沈められる。
「ゴボゴボ」
と、口の中に水がどんどんと入っていく。
抵抗しようとするが、腕が腰のあたりで固定され、動かない。そしてそのまま意識が消えようとす……
「ぶあ」
意識を失う寸前に陸に上げられた。
「どうだった? 苦しかった? もし今土下座するんだったら、おとなしくろうに帰っていいよ。今すぐ土下座して!」
と、その言葉に従い、その場で頭を砂浜にこすりつける。
「えい!」
と、夏子は鈴音の背中に飛び乗る。
「ぐふ」
と、そのまま鈴音はその重さに耐えきれず、砂に体をこすりつけられる。
「あら、土下座できなかったわね。ならもう一回!」
と、海の中に体を叩き落される。苦しい……あ……死ぬ……そしてそのまま意識が消えて……
また陸に戻された。
「次!」
と何回も海につけられ、戻され、そしてまた海につけられる。そして最終的に牢獄に戻された。
「はい、わんわん食べしてね!」
と、カレーを後ろ手が縛られた状態でぺろぺろ食べをする。
数分後に満足したのか夏子は戻って行った。だが、そのことは私にこの地獄が続くことを示していた。
「今日のニュースです! 五日前に行方不明となった光原鈴音さんの捜索が打ち切られました。次のニュースです。野球チームkが五〇年ぶりの優勝をしました」
「やったー!」
と、父子は万歳をする。誘拐事件など何も知らないで……。
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